カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

田舎の生活とか、政治関係とか、表現規制のこととか、狂乱している老母との生活とか

貧困は「見えなくなる」

以下、「読書猿」http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hasuda/DOKUSARU.htmlから転載。評者が執筆したのは90年代、まだ日本は豊かだという幻想をほぼ全ての人が抱いていた頃である。本が執筆されたのは79年、世界一景気のいい国として日本が浮かれる直前である。

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1356/SARU/saru73.html#BOOK3
■■江口英一『現代の「低所得層」---「貧困」研究の方法』(未来社)====■
 現代日本の「貧困」研究は、世界に(発展途上国に)目が行ってしまっていて、まるで日本が豊かで貧乏などとは無縁のごとくである。
 ところが高度経済成長期とその前駆期間を通じて、日本の「低所得層」は増大し続けた。むしろその増大が、高度経済成長を準備し支えたとすら考えられるのである。
 この上中下巻の3巻物で、合計で1500ページはあるというシロモノ。内容はまたすごいものだった。この豊かなニッポンで、貧困を研究するというのがまずすごい。日本中を敵に回すようなものである。だから江口氏はそれを徹底的に実証的にやる。分厚い本の大部分が実証に用いられるデータと、加えてその分析法である。結論を読まなくても、時間さえ有れば読者が自分で確かめることができるようにだ。自分が調査に関わったデータ以外に、国勢調査など誰でも手に入れることができるデータを----これはこのままつかっても「貧困」など出てこないように調整されている----いかに、他の統計データとつき合わせて必要なデータを抽出するか、その具体的作業もまたこの本のかなりの部分を占める。
 要するに分厚いのには理由があるのである。
 貧困は「ない」のではなく「見えない」のである。たとえば交際にはいくらかなりとも金が費用がかかり、低所得なほど交際範囲・行動範囲が縮小する。
逆の立場からすれば「目にふれなくなる」。加えて低所得者ほど、転居が頻繁である(住宅供給と都市構造)。おかげでますます「目にふれなくなる」。
 もっともっと知られていい本だと思うが(実際、触れられないだけで彼の方法はあちこちで用いられている節がある)、「貧困」をないことにしようとする人たちは、この本ごと「ない」ことにしようとでもしているのだろうか。あるいはただ単に未来社だからか。

現代の「低所得層」 上―「貧困」研究の方法

現代の「低所得層」 上―「貧困」研究の方法

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ぽちっとな