カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

日本における「宗教右翼」の台頭と「つくる会」「日本会議」

日本における「宗教右翼」の台頭と「つくる会」「日本会議

日本の戦争責任資料センター事務局長 上杉 聰
http://www.h2.dion.ne.jp/~kyokasho/0_conb07.htm
  これまで、日本社会における反動勢力として、日本を守る国民会議日本遺族会英霊にこたえる会軍恩連盟などがよく知られてきた。しかし、これらの団体には、近年、大きな変化が起こっている。その背景の一つに、構成員が高齢化し、組織的力量が急速に減退していることがある。たとえば日本遺族会の中心を担ってきた婦人部の平均年令は、すでに85歳となり、その政治的な影響力を急速に減退させつつある。
  いっぽう、最近、教科書問題や教育基本法の改悪、あるいは女性や在日の人々の権利伸長に対抗し、反動的な運動を活発に進めている勢力に、宗教団体が目立つようになってきた。彼らは、豊富な資金力や組織力を活かし、さまざまな運動を支えているばかりでなく、その大きな動員力によって、選挙において国会議員や一部の首長などにも影響をもつに至っている。そのため、現在の中央や地方の政治状況を分析しようとすれば、宗教界の動向を組み入んだ視点が不可欠になってきた。こうした「宗教右翼」の台頭は、世界的な動きの一環でもある。本稿は、その実態解明を今後本格的に行うための端緒的な試みである。〔略〕

教基法改悪運動の真の組織者

  〔略〕以上は、1月26日の当日、会場で配布された資料から直接に判明する事実だが、そこから分からないある重大な事実が、この集会には隠されている。それは、真の組織者についてである
 それは、先に述べたように、「つくる会」の副会長である高橋史朗ではないか、と言われるかもしれない。だが、矛盾して受け取られるかもしれないが、「つくる会」は教科書問題を専門とする運動体であり、教育基本法に関わるとなると、さらに広範な教育分野全般において人物を組織する必要がある。「日本の教育改革を進める会」を結成した際、「日本の高等教育を考える会」とともに活動しなければならなかった必然性はそこにあった。さらに今回のように大かがりな組織であればなおさらのことである。多数の著名人に連絡をとって役員就任を申し入れ、承諾を取り、また当日1200人以上の参加者も集めねばならない。財政をどうするか、という問題も当然起こる(当日の入場料は無料であった)。明星大学に置かれた狭い研究室とわずかのスタッフだけで、これだけの組織を立ち上げることは、とうてい不可能に思える。〔略〕
  結論から述べるならば、私の確認し得たところによると、裏の事務局は「日本会議」が仕切り、役員の選定はすべて同会議の専従職員が交渉し、当日の聴衆には関東の宗教団体を組織動員したというのである。「日本会議」とは、最近かなり知られ始めているが、会長は三好達(前最高裁長官で、愛媛玉串訴訟の最高裁判決の際、合憲の少数意見を主張した)、全国9ブロック47都道府県になんらかの組織をもつ日本最大の右派組織である。2002年9月以来、「10万人ネットワーク」(設立5周年事業リーフレット)を目指して活動を続けている。また、これに協力する「日本会議国会議員懇談会」(現在242人、会長・麻生太郎衆議院議員)を持ち、国会と地方議会に強い影響力がある。1997年、「日本を守る国民会議」(運営委員長・黛敏郎)と「日本を守る会」が組織統合して結成されたもので、機関誌『日本の息吹』を毎月発行してきた。

背後にある日本会議という組織

 〔略〕
 1、 日本会議は、現在、①憲法改正教育基本法改正③靖国公式参拝の定着④夫婦別姓法案反対④より良い教科書を子供たちに⑤日本会議の主張の発信、の5大スローガンを掲げて活動しているが、教基法改悪は第二番目であり直近の課題でもある。〔略〕
 3、 昨年11月に開かれた日本会議設立5周年記念大会に、全国から2000人を集めたが、そこに西澤潤一を招き、特別挨拶をさせ、民間教育臨調への理解を求めている。
 4、 26日の集会の翌日には、日本会議のホームページに民間教育臨調の設立をトップ記事として掲載し、「本会の協力により『「日本の教育改革」有識者懇談会』(民間教育臨調)が設立されました」と解説している。
 5、 『日本の息吹』本年2月号にも、「本会が中心となって『「日本の教育改革」有識者懇談会』(民間教育臨調)が発足(1月26日…次号にて紹介予定)しました」と明記している。
 6、 表1と表3の役員名簿のうち▼印を付したメンバーは、同時に日本会議の中央の役員(顧問・会長・副会長・代表委員・理事長)も兼ねているが、とくに民間教育臨調の副会長は5人のうち4人までを日本会議の役員が占め、同会に大きな影響力をもつ体制が作られている。
 7、 26日の聴衆のうち女性は全体の約3割りを占めていたが、その半数ないしそれ以上が、異様な髪形をした女性たちであったことが複数の参加者から報告されている(教科書情報資料センターのHP)。彼女たちは日本会議の有力な構成団体であるキリストの幕屋と呼ばれる宗教団体のメンバーであることが、その容姿から確認できる。
  ところが、日本会議を真の組織者と考えると、奇妙なこともある。表4に日本会議(中央)の役員名簿を載せておいたが、三好会長をはじめとして理事長・事務総長など同会議を代表するメンバーが民間教育臨調に1人も加わっていないのである。もし日本会議が設立を実質的に推進していたとしたら、彼らが加わってもよさそうである。
  この疑問を解く鍵は、表4そのものの分析から与えられる。日本会議の役員77人のうち、民間教育臨調に名を連ねている者は30人〔略〕にも達する。いっぽう、名前を加えていない47人のうち25人〔略〕は宗教団体役員であり、4人が軍恩連盟日本遺族会日本郷友連盟英霊にこたえる会など旧軍・自衛隊関係団体の役員〔略〕、そして会長・事務総長の2人〔略〕である。これらいずれにも属さない者は、わずか16人(21%)にすぎない。
  日本会議の四割近い(39%)役員を民間教育臨調に送り込みながら、明らかにそれと分かる会長・事務総長、および3分の1以上を占める宗教団体および旧軍関係者等を表に出さない工夫と努力がなされているのである。
  つまり、日本会議は、自らの姿を隠そうとしているのであり、そのことは、上の7で、同会議の構成員であるキリストの幕屋の女性たちが大量参加したことを指摘したが、この事実のうちに明白に表れているように思う。当日の集会参加者のうち、女性(全体参加者の約3割)の半分ないしそれ以上という数字は、185人前後ということである。男性の信者には髪形などの特徴がないため見分けられないが、この団体は男性の方が女性の人数を上回っていることから200人前後とすると、合計400人以上の参加があったことになる。これは、1200人余のうち3分の1を意味する。
  約3分の1を動員をした団体の関係者が、民間教育臨調の役員に1人も名前を出していないことは異様であろう。むしろこの事態にこそ、宗教団体を注意深く隠そうとする統率と自制を見るべきである。そのことは、表3の末尾に(財)モラロジー研究所理事長・廣池幹堂と(社)倫理研究所理事長・丸山敏秋が載っていることからも、間接的に立証される。すなわち、この2団体は、宗教の影響を受けながらも宗教法人の形をとっておらず、財団法人や社団法人の形態をとる修養団体として、自ら宗教団体でないことを強調してきた経緯がある。後者は、「朝の集い」(朝起き会)の実践などで知られており、表4にあるように日本会議の構成員でもある(47、51)。そうした事情からみて、彼らなら役員に名前を加えても、宗教団体でない、と言い訳がたつ。細心の注意を払って宗教団体を隠し通そうとしているのである。
  では、なぜ日本会議の名前を表面から消すとともに、宗教者や旧軍・自衛隊関係者だけは隠す必要があったのだろうか。考えられる第一の理由は、教育基本法を改悪する意図を隠すためであろう。教基法の改悪は、平和憲法の改悪の前段として計画されているが、改憲を正面から打ち出さず、子供たちの荒廃などを理由に教基法改正の必要性を説く方法をとってきた。今、旧軍関係者を表面に立てるならば、世論の激しい抵抗が起こるという判断があると思われる。
  第二に、宗教者を出さない理由として、彼らは宗教教育の必要性を教基法改悪に盛り込むよう「6つの提言」などで訴えてきた(第3「宗教的情操の涵養と道徳教育の教化」)。ところが、中教審の中間報告で、この条項の改悪は全く進んでいない。26日のシンポジウムでも、この点の遅れが強く指摘された。こうした状況にあって、宗教教育の必要性を推進しているのがほかならぬ宗教団体であることが明らかになれば、決定的に不利になるという判断があると推測される。
  さらに、与党として創価学会公明党が教基法改悪に強く反対を続けていることが彼らの前に立ちはだかっている。日本会議に結集している宗教のほとんどが、反創価学会・反公明党活動の経歴を持っている。これらの団体が公然と姿を現すことは、法案の制定・審議にとって学会等からの反発を生み、マイナス要因を背負い込むと考えているのであろう。
  第三に、日本会議をよく知る者にとって、この団体がいっぽうで、かつての「日本を守る会」という宗教組織から構成されていることを意識せざるをえないからであろう。つまり、日本会議とは、すでに述べたように、1997年に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が合体して結成されたのだが、「国民会議」は、なんといっても右翼文化人を中心としつつ旧軍関係者とも共闘する組織であった。ところが「守る会」の方は、神社本庁生長の家仏所護念会念法真教モラロジーなど宗教・修養団体が中心となり、そこに曹洞宗管長・日蓮宗管長なども名前を連ねる宗教関係者中心の団体であった。
  日本会議の結成は、文化人中心の「国民会議」(実際には右翼的政治団体もいた)が、献身的で巨大な財政力・組織力・動員力を持つ宗教団体連合の「守る会」と合体することにより、国民動員的な巨大組織を目指したものであった。その結果、彼らはこれまで夫婦別姓反対や在日の選挙権反対などで大きな成果を挙げてきた(いずれの法案も提出されたが棚ざらしになっている)し、首相の靖国公式参拝にも力を入れてきた。そして「つくる会」と積極的に協力し、地方におけるその実働部隊となってきた。ただし、教基法改悪に向けては、「新しい教育基本法を求める会」の結成に協力したものの、まだ部分的なものにとどまっていた。それが今回、全面的なかかわりへとシフトしたのである。
  しかし、その姿が全面的に見え出すとき、日本会議といえば実働部隊は宗教団体であり、あるいは前身の「国民会議」は右翼や旧軍人団体と結びついた組織という見方が定着しており、閉鎖的で軍国主義的というイメージがつきまとうことになる。今回の役員構成は、そうした識者の目をくらまし、役員の中核部分に関係者を送り込みつつも、日本会議の中心人物は中に入らず、集会の動員にあたって宗教団体を動員していても、組織の性格を表すことになる役員には絶対就かせなかったのである。彼らは、教育臨調の多数の役員を含め、日本社会全体を欺こうとしているのである。

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