カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

90-91年「有害コミック」問題の発信源・和歌山の「子供を守る会」は、極右新興宗教「念法真教」

90-91年「有害コミック」問題の発信源・和歌山の「子供を守る会」は、仏教系新興宗教「念法真教」 - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記/はてダ版
90-91年の「有害コミック」撲滅運動と、宗教右翼 - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記/はてダ版 の続き。
『気持ち悪い人達 6 コミケ最後の日!』(同人誌。発行;「クロスファイト!!」、1991年7月)24-25pから以下転載。

 そもそも、ことの起こりからして妙だった。有害コミック追放運動の発端を『創2月号』より引用してみよう。

  投書を機に始まった田辺市の運動
 和歌山県田辺市でコミック本の追放運動が始まったきっかけは、〔90年〕八月九日の「紀州新報」にコミック本批判の投書〔★同人誌原注〕が載ったことである。その投書を読んだ一市民が九月二日、生駒市長の自宅を訪れ、「本屋で買ってみたらあんまりひどいので、なんとか善処してほしい」と買い求めたというコミック本を二冊手渡していった。『バージンショック』という題名のそのコミック本を一読し、驚いた市長は翌日、社会教育課長を市長室に呼んだ。
 それと相前後して、市長のもとへ一通の投書が届く。投書の主はのちに「コミック本から子供を守る会」の代表を務めることになる中尾いさ子〔★★同人誌原注〕さんである。中尾さんはこう書いた。「今ここで歯止めをかけなければ、小学生の読む本にもっともっと露骨なものが連載されてくると思います」「大手の小学館講談社集英社がこのようなコミックマンガを多く出版しているのですから驚きです。お金もうけのために子供をターゲットにし、性を商品化し、女性を侮辱し、許せることではありません(要約)」
 中尾さんがコミック本のことを知ったのは同年八月。田辺市に住む友人から1冊のコミック本を「あまりにひどいから」と見せられたことがきっかけだ。自分の考えていたマンガのイメージとあまりにもかけ離れていることに驚き、何冊か買い求め、友人たちに見せて回った。同時に会を結成、婦人のネットワークを広げていった。
 中尾さんは小学校の教師や教育委員会などに「何とかならないか」と訴えたが、つれない返事ばかりだったという。だから、思い余って市長に手紙を出したわけである。
 それから事態は好転する。〔90年〕九月十一日に開かれた田辺市青少年育成市民会議でこの問題が取り上げられ、多くの委員たちが初めてコミック本に目を通した。
 田辺市教委は市内の小・中学校校長に実態を把握するように指示、「読まない、読ませない」運動を実施することを確認し、〔90年〕十月二日には書店代表者との懇談を実施し販売の実情を聞いた。八日には生駒市長自らが先頭に立ってJR田辺駅前など市内九ヵ所で街頭キャンペーンを行った。
 〔90年〕十月十九日には十八点を「有害」図書指定するに至り、十月二十三日には田辺市長、教育長、青少年育成市民会議会長などが、集英社小学館講談社リイド社、富士見出版の五社に対して「少年少女誌の編集についての要望」を送付した。

 〔同人誌原注〕20ページの朝日新聞の記事http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050406/1112804830 とてらしあわせてみるとわかるけど★の8月9日の投書の主(中年男性)は★★の「コミック本から子供を守る会」代表、中尾いさ子の夫なのだ。

 ということなのだが…
 だいたい、そこいらにいる一介の主婦(たとえばこれを読んでいる、あなたのお母さん)が投書をしたくらいで市長や市議会が動くなんてことが現実にあるだろうか? とりあってもくれないのが普通じゃないだろうか。しかし信者八十万、自民党と深いつながりを持った教団がバックについているとなると話は別だ。
 ただし教団が有害図書追放運動をスムーズに広めるために政治家を動かしたのか、政治家の意向をうけて教団が運動を開始したのか、どちらが先にあったのかはわからないが。
  出典;『気持ち悪い人達 6 コミケ最後の日!』(同人誌。発行;「クロスファイト!!」、1991年7月)24-25p。

「コミックマンガ」というのも変な言葉だよな。「悪いインターネット」の親戚かな。宗教右翼系は日本語への理解度が低いようだ。
この『創』の重引部分、「マンガ」「コミック」を全部「新興宗教」「カルト」に置き換えてしまいたい。
90-91年「有害コミック」問題と、「宗教右翼」 - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記/はてダ版 へ続く。