カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

無責任一大戦争

保坂正康『あの戦争は何だったのか』(新潮新書、2005年)読了。

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)

読みながら「無責任一大戦争」というフレーズを思いつく。
太平洋戦争は誰が何のために始めた戦争なのか、私はずっと判らず、そんなことすら知らない自分の知識量というものを、長いこと激しく不安に感じていたが、この本を読むと、つまるところ今に至るも誰が何のために始めたのか結論は出ていないようだ。結論が出ていないばかりか積極的な研究すら乏しいみたいだ(私の無知・勘違いの可能性あり)。そのこと自体、恐ろしい話だ。日本は歴史から何一つ学ばない。
保坂正康は、海軍省官僚・石川信吾と軍令部作戦課官僚・富岡定俊による裏工作が対米英戦を牽引したとしている。両者は「海軍国防政策委員会・第一委員会」に参加している。
日米開戦の理由の一つは「石油備蓄がない」ことにあった。が、

首相に就いた東條が、企画院に命じて行なわせた必要物資の調査では、海軍省も軍令部もその正確な数字を教えなかった。〔略〕そのために「項目再検討会議」では具体的な論議ができなかった。〔略〕
〔略〕海軍側は備蓄量の正確な数字を企画院に教えなかった。〔略〕
「開戦前、アメリカに輸入を止められてしまい、石油がなく《ジリ貧》だというのは、一般国民でも知っていることでした。それでそんなに石油がないのならと、ある民間貿易会社が海外で石油合弁会社を設立するというプロジェクトが起こったんです。普通だったら、喜ぶ話ですが、軍は圧力をかけて意図的に潰してしまいました」(88−91p)

引用した部分より後の保坂正康の説明はイマイチ説得的ではないが、上記引用部分は非常に気色悪い話だ。