「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」委員の能力
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060420#1145468705 にて、克森さんから教えていただいた情報。
バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会 委員等
〔委員〕
（略）
姉崎昭義 ＰＴＡ全国協議会環境対策委員会副委員長
池田佳隆 日本青年会議所会頭 （略）
我々日本人の、メディア社会ならびに創作行為全てに関わる政治政策をしようとする、これら委員の能力を検証するための材料として、以下の事実を提示したい。
上記２団体が推薦したアニメ作品がある。その作品を知ることで、彼らの審議能力の一端を我々は知ることができるだろう。
「山本弘のSF基地」http://homepage3.nifty.com/hirorin/moviekattakun.htm にて、その作品が紹介されている。以下見てみよう。
『カッタ君物語』
宇部市の常盤公園で飼われている「カッタ君」というモモイロペリカンのお話。このカッタ君、市内の幼稚園に何度も飛来して、子供たちのアイドルになり、ニュースでも報じられて地元で大人気。その人気に便乗した宇部市が、市の予算を使って製作したのがこのアニメだ。映画の冒頭には、いろんな団体からの推薦が、ずらっと並んでいる。
全国子ども会連合会 全国市長会 日本青年会議所 全国保育協議会 日本動物園水族館協会 日本鳥類保護連盟 日本ＰＴＡ全国協議会 青少年映画審議会 山口県市長会 山口県町村会 山口県観光連盟 山口県
……あの〜、みなさん、ちゃんと内容を見て推薦しましたか？ [略]
映画が３０分過ぎたあたりで、突如、湾岸戦争が勃発！ 仕事でアラビアに出張していた翔君の両親も危険にさらされる。両親が心配でならない翔君、何を思ったか夜中に公園にやってきてカッタ君に泣きつき、「お願い、アラビアまで僕を連れて行って」と無茶な要求をする。「僕、宇部の空港にも行ったんだ、でも外国に行く飛行機は飛んでないって」 当たり前じゃ〜っ（笑）！ これだからガキはしょうがない。
その時、月から変な光が放射されたかと思うと、翔君はカッタ君に乗って空を飛んでいた。カッタ君もなぜか喋れるようになっている。そのまま二人はアラビアへワープする。……これ、実話じゃなかったんですか？ [略]
アラビア（情勢からするとクウェートだと思うのだが、なぜか「アラビア」としか言わない）の砂漠で両親と再会する翔君。［略]避難民を救うため、カッタ君と翔君はペリカンの国に行って、ペリカンの長老（声・大滝秀治）に助けを求める。カッタ君の真剣な訴えに、「満月の夜に祈れば願いが叶う」と言う長老。その夜、満月の光の下で長老が叫ぶと、飛び立った数百羽のペリカンが合体、翼長数十メートルの巨大ペリカンになった！
戦場に飛来した巨大ペリカンは大活躍。 口からビームを吐いて戦車をぶっ壊す！ 翼で風を起こして戦車をひっくり返す！ ビームの掃射でミサイル部隊を壊滅！ 巨体の上に避難民を乗せて無事救助！
冗談みたいに思えるかもしれないけど、みんな実際にあるシーンである。攻撃を受けている側は「敵」としか呼ばれないんだけど、これってやっぱりイラク軍だよねえ？［略］
［略］まあ、実話を忠実に描いたって退屈になるだけだから、中盤でアクション・シーンや感動的なシーンを入れて、盛り上げたかったんだろう。それは分かる。でも、口からビームを出す巨大ペリカンってのは、どこから出た発想なんだ？ 誰か止める奴いなかったのか？
ＰＴＡ全国協議会と日本青年会議所はこういう駄作を作ると推薦してくれるんですか？ こういう駄作なら「メディアの悪影響」はないという判断なんですか？ つーか、推薦しているのだから、何か深謀遠慮があるんだろう。彼らの観察眼、推薦基準は、我々俗人には量りがたいようだ。
［追記］
あ、内容を理由とした表現規制は憲法違反ですから、立憲民主制支持者である私は『カッタ君物語』を駄作だからって法的に規制しろなんて言わないよ。「内容を理由とした表現規制」をしようとする「研究会」構成員団体複数がそろって「推薦」している作品がトンデモであり、その事実から推測すると「研究会」構成団体の審査研究能力は極めて疑わしいということを指摘しているわけで。
[03:55]
思ったんだが、ＰＴＡ全国協議会と日本青年会議所には、『カッタ君物語』を、実話として「推薦」したのか、大法螺フィクションとして「推薦」したのか、どっちなのか問うてみるべきかもしれないね。
社団法人日本PTA全国協議会 http://www.nippon-pta.or.jp/ http://www8.cao.go.jp/youth2/dantai/dantaitbl/b39pta.html
日本青年会議所 http://www.jaycee.or.jp/2006/
