カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「同人誌並びに全ての文化活動」禁止法のお知らせ/「知的財産推進計画2007」パブコメ〆切本日

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http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20080328#1206713262の続き。
今年は情報統制立法ラッシュである。あまたの情報統制案の一つに「知的財産推進計画2007」というのがある。著作権非親告罪化」がここで再び提言されている。
著作権非親告罪化」になれば同人誌は当然警察がいつでも逮捕可能となる。「同人誌禁止法」と言っていい。何かを引用したブログは全て摘発対象になり得る。「ブログ禁止法」とも言える。著作権が70年に延長すれば何かに似ていない創作なんてありえないから、あらゆる文化活動は潜在的摘発対象となる。日本の文化活動全ては警察の利権化する。

知的財産推進計画2007  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/070531keikaku.pdf P63より

(5)著作権法における親告罪を見直す  海賊版の氾濫は、文化産業等の健全な発展を阻害し、犯罪組織の資金源となり得るなど、経済社会にとって深刻な問題となっている。重大かつ悪質な著作権侵害等事犯が多発していることも踏まえ、海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とされているものについて、2007年度中に非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行い、必要に応じ法改正等制度を整備する。警察庁法務省文部科学省

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pc/080313comment.html

もちろんニュースサイトも摘発対象になります。後述。「全ての文化活動」禁止法だと言える。余計な話だが文化庁とか経済産業省とかは少し警察や法務省文部科学省を怒ったほうがいいと思うぞ。

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著作権非親告罪化」は2007年10月の小委員会で「不適当」という意見が出、その時点ではいったん消えた。にもかかわらず、今回の「知的財産推進計画2007」では「著作権法非親告罪化」が説明抜きに復活している。
2007年10月の小委員会↓

著作権法非親告罪化は「一律は不適当」 小委員会中間まとめ公開
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/12/news109.html
だがDVDやCD、PCソフトなどの海賊版の増加が深刻化している上、PCとネットの普及でコンテンツの無断複製と流通が容易になっている現状もある。このため政府の「知的財産推進計画2007」では、著作権法親告罪とされている現行規定の範囲について見直しが必要であると指摘していた。
 法制小委員会では、
(1)著作権侵害は、組織的な海賊版販売から論文の不適切な引用まで多様な形態がある上、「権利者が処罰するまでもないと許容しているような場合」も実態としてある。多様性や表現の自由を踏まえ、引き続き被害者の意志を尊重すべきだ

(2)財産権と人格権では保護対象となる利益が異なる場合があり、人格権の侵害では訴追により被害者の不利益になる恐れがある場合もあり、財産権と分けて考えるべき
(3)捜査実務上、親告罪であることが捜査の大きな障害になっているという認識はなく、被害者の協力や意向なしに訴追することは非常に難しく、非親告罪化で取り締まりが強化されるとは言いにくいのでは
──といった意見が出た。

 常習犯については「常習侵害罪」として非親告罪化する案や、侵害の結果が「重大」と認められる場合のみを非親告罪化するという意見もあったが、「重大」と判断するには微妙な判断が必要な上、同じ形の犯罪について、一部は親告罪とし、一部は非親告罪とするのは法制的にも捜査実務的にも難しいのではという意見があった。
 議論を踏まえ、中間まとめでは「侵害行為の多様性や人格的利益との関係を踏まえると、一律に非親告罪化することは適当でない」とした。一部の犯罪について非親告罪化するとしても、犯罪とする場合の要件の設定が立法技術的に可能かどうか、また非親告罪化した場合の社会的影響も考え、「慎重に検討することが必要」としている。

上記のように一旦消えた(「慎重に検討」とは政界ではふつう消える・止まる・反対することを意味する)「著作権非親告罪化」の復活は気持ち悪いことだと思わないか? 

3 「著作権非親告罪化」「P2Pによる共有の違法化」は誰が言い始めたのか?/誰の利益になるのか?

著作権非親告罪化」や「P2Pによる共有の違法化」は誰が言い始めたのか? 誰の利益になるのか? アメリカからの要望である。では誰の利益になるのか? アメリカが日本の利益のために要望しているのか?

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070602_annual_reform_request/
日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書=PDF (2006年12月5日)
20ページ目 II-A-3. 職権の付与 起訴する際に必要な権利保有者の同意要件を廃止し、警察や検察側が主導して著作権侵害事件を捜査・起訴することが可能となるよう、より広範な権限を警察や検察に付与する

ディズニー的いいがかりの代行を警察が行なう、ということだ。アメリカでの一例が我々に影響を与えた具体例だと、GIPに関わる騒動を覚えているだろうか? コンピュータプログラムの一部が似ていたら難癖をつける、というのが現在のアメリカの重要ビジネスらしい。これをより大々的に日本のあらゆるところで行うということだ。警察が走狗となるのだが、さて警察は誰の走狗になるのか? 
運用は警察が行なう。賢明なるオタク諸氏なら、警察が点数稼ぎのためにすでに「オタク狩り」を秋葉原で行なっていたことをよく知るだろう。これを、「著作権法非親告罪」で警察はより大規模に行なうのは容易に予想できる。それは日本にとってよいことだと君は思うだろうか? 私は思わない。背景には、「インターネット・ホットラインセンター」の利権が絡んでいると思われる。

インターネット協会、「ホットライン運用ガイドライン改訂案」で意見募集
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/02/07/18387.html
具体的には、違法情報については、わいせつ物、児童ポルノの判断基準となる表現方法、パロディ画像・マンガの該当性などについて検討した。

非親告罪化 → 同人誌・ニュースサイト狩り → さらに権限拡大 という路線だと推測できる。少なくとも同人業界直撃は間違いない。ニュースサイトも全て摘発対象と考えるべきだろう。全てのオタクよ、全てのニュースサイトよ、団結せよ。そしてパブコメを送るべきである。
「ホットラインセンター」関連
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/archive?word=%A5%DB%A5%C3%A5%C8%A5%E9%A5%A4%A5%F3

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著作権非親告罪化」の射程は広すぎるがゆえに想像を絶するところがあるが、少し想像をしてみよう。以下を参考にされたし。

522 :風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 11:19:10 i

著作権法違反の非親告罪化は相当まずくないか? 同人やってる人の大半は間違いなく影響受けるだろ… 今は黙認かお目こぼししてくれてる著作権元もあるかもしれないけど、決まったら同人誌はもちろん、サイトやブログに完全オリジ以外の絵や小説をアップしただけでアウトだよな…orz

529 :風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 22:23:41

版元とか作者の訴えで規制されるなら納得もするが、関係ない第三者に「著作権法違反」で訴えられる制度はどうかと思うが。

530 :風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 22:40:53

初音ミクウィキペディアに記述する時は版元がOK出したのに著作権違反だ!通報汁!とか言うアホが暴れて、内容が変更になった事件まで起きてるからな。通報マニアのせいで創作どころじゃ無くなるぞ。オリジナル作っても「○○は××のパクリだ!通報汁!」って具合になるのは丸見えだし。

532 :風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 23:57:05

現状親告罪なのは、著作権者から見ればどうでもいいようなことまで警察沙汰になるのを避ける意味合いもあるよねえ。 白か黒か決めるには、どうしても著作権者が判断しなきゃいけないから、放っとけばいいようなケースに手間取られて結果的には損、ってこともある。

533 :風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 00:53:11

作家本人の同人誌とかでも警察沙汰になりかねない?

535 :風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 12:24:14

アスキーアートも逮捕。 blogにニュースをコピペしたり、画像貼っても逮捕。 好きなキャラの似顔絵を描いただけでも逮捕。 2chの誰かの書き込みをコピペしただけで逮捕。 オリジナル作っても他の作品を連想させただけでも逮捕。 「七人の侍」→「荒野の七人」というオマージュでも逮捕。
非親告罪化なんていいこと一つも無い。

536 :風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 12:42:22

シェイクスピアの「ロミジュリ」だって元ネタのある二次創作で 「オリジナル(=一次)ではないがオリジナリティ(=独創性)はある」ってのは創作において本質的なことだよね。浦沢の PLUTO なんかもそう。その2つ混同するとろくなことにはならないと思う。二次だからオリジナリティがない、ってのは短絡じゃないかな。

通報マニアと警察が暴走する世界では、あらゆる文化活動は衰退する。たとえば音楽はコード進行に限界があるから、難癖をつけた者勝ちで、音楽活動は滅ぶ。デッドボールP作品削除事件は「非親告罪化」により刑事事件化させられることになる。いったい何から何を守ろうというのか。日本の文化的民衆を警察利権(と親方アメリカの覇権維持)のために食い物にしようという意思以外見えないと思われる。
初音ミクウィキペディア事件関連http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20071020#1192829434

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締め切りは本日4月3日である。同志諸姉諸兄の検討を祈る。

意見提出要項 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pc/080313comment.html
メール送信フォーム(個人用) http://www.ipr.go.jp/kojin_form.html (フォームは「個人用」と「法人・団体用」の2種類あります。間違えないよう注意)

ところで慎重にして賢明なる同志は「知的財産推進計画2007」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/070531keikaku.pdfの全文を確認したうえでパブコメを送るべきだと考えるかもしれないし、理想はその通りなんだが、今回我々が確認した限り、この「著作権非親告罪化」だけがテラヤバスな内容だと判断したので、そこのみ上記採りあげた。全文確認作業するしんどさに心が挫ける前にその旨申し上げおく。「著作権非親告罪化」を止めないと、日本文化が殺されてしまう。

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以下書き送った。参考までにここに置く。

著作権法非親告罪化に反対する。
1;2007年10月に「 著作権法非親告罪化は一律は不適当」という小委員会中間まとめが公開された。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/12/news109.html
この「中間まとめ」で記されている「著作権非親告罪化は不適当である」根拠は説得的である。
以下念のため引用する。
〔以下引用〕
(1)著作権侵害は、組織的な海賊版販売から論文の不適切な引用まで多様な形態がある上、「権利者が処罰するまでもないと許容しているような場合」も実態としてある。多様性や表現の自由を踏まえ、引き続き被害者の意志を尊重すべきだ
(2)財産権と人格権では保護対象となる利益が異なる場合があり、人格権の侵害では訴追により被害者の不利益になる恐れがある場合もあり、財産権と分けて考えるべき
(3)捜査実務上、親告罪であることが捜査の大きな障害になっているという認識はなく、被害者の協力や意向なしに訴追することは非常に難しく、非親告罪化で取り締まりが強化されるとは言いにくいのでは
〔以上引用〕
にもかかわらず、今回「著作権非親告罪化」を提言していることの意味が判らない。説得性もないし道理を欠いていると思われる。引用にすぎないものを「著作権違反だ」と警察が強弁し不当逮捕の道具とするだろうことを懸念危惧する。
2;「海賊版」は現行の法律で対応可能なはずである。近年、現行法で対応可能なものを口実に、警察、とくに警察OBの竹花豊が、新規立法したがる例が多すぎる。警察が、天下り先「ホットラインセンター」などを設置する口実づくりに奔走し、市民の自由を食い物にするのを国民に承認させようとしているかのように見える。
著作権の拡大強化は濫用しているアメリカにとっては国策的利益はあるかもしれないが、日本にとって国策的利益はないと判断する。重要な次期基幹産業であるオタク文化を警察が刈り取ってしまうことを懸念する。ならびに日本の文化活動全てに警察が過剰に介入する回路となることを強く懸念する。
秋葉原で「オタク狩り」と呼ばれる職質を、わざわざ管轄を超えてまで繰り返す警察が、「著作権非親告罪化」という巨大なオモチャ、あるいは巨大な凶器を持ったとき、自制するとは思えない。日本近代史は日本警察が暴走した歴史を示している。
3;「著作権」の強化拡大を検討するのなら、「ジャングル大帝」の著作権違反をしているディズニー社を日本国はまず糾弾すべきであるのに、逆にアメリカによる内政干渉である「米国政府要望書」に従い日本国内統制をしようというのは全く筋が通らないと考える。
日本政府は国益のために、アメリカによる内政干渉である「米国政府要望書」に抵抗すべきである。ハリウッドのライバルである日本のオタク産業を潰すことは国益に叶わないと考える。
よって著作権法非親告罪化に反対する。

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[07:45]以下、規制対象例
  

同志諸姉諸兄はパブコメを送った上で、宜しければ   にほんブログ村 政治ブログへ  をクリックされたし。