カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

夏の新刊「怪宗教 怪候補」から、「統一協会」

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090727#1248699787の続き。「怪宗教」の章から。執筆者は「しょむ系政治勢力研究会」http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Vega/6529/houmatu.htmlさん。

統一協会  神とエイズとゴミ拾い

■ 序章
 ある日学校内をぶらついていると、「エイズ問題や性問題、生き方について考える」という目的を持ったサークルに遭遇した。ちょうど薬害HIV感染訴訟支援運動等に参加していたこともあり、このサークルに非常に興味を持ち、とりあえず説明会に参加することにした。
 説明会は外部から講師を招いての「エイズ教育プログラム」みたいなもので、内容的にはやや難しめで分かりにくいものだったのだが、全体的に真面目な雰囲気のサークルだったので加入することにした。幸いにも(?)、部費は不要だった。しかしこの入部が悪夢の始まりであった…。
■ 「部長」の不可解極まる言動
 「部長」は自然科学系の院生であった。そして何度か雑談する機会があったのだが、妙に言動が不可解なことに気づく。
「この世界は絶対的創造主が創られたという『学説』が最近発見されてねぇ〜……。すでに論文として出版されてるんだよ、ホラ。」
 オカルトめいた表紙の新書の本を差し出されながら、そんなことを言われた。自然科学を学ぶ者としてはかなりトンデモな発言だ。ここで彼が何らかの宗教の信者であることに薄々気づく。しかし「この説を『科学』呼ばわりするのはついていけんが、『思想・信教の自由』は尊重しなくては。」とあまり気にしなかった。
■ 運動に誘ってはみたものの
 表向き学習サークルのはずだったが、実際は「奉仕活動」(ゴミ拾い等)が中心だった。う〜む、これはこれで意義のある活動とは思うが、当初の目的とはちと違うなぁ……。一応「エイズ問題を考える」サークルなのだからと思い、「部長」を「HIV訴訟を支える会」地方支部に思い切って誘ってみた。何度かは顔を出してくれたのだが、数回で来てくれなくなってしまった。誘っても「一体君たちは何を目的にしてるんだ?」と攻撃的な態度をとってくるようになった。
■ 資料で分かったその実態
 どうもサークルの方針に疑問を抱き始めた自分は、彼らが最初の学習会で配った「資料」をもう一度読み返すことにした。そこで「光言社」という出版社の書物が参考文献に使われていることを見つける。どこかで聞いたことあるこの出版社について、「雑誌新聞総かたろぐ」(メディア・リサーチ・センター)をはじめとする出版社紹介の本などで徹底的に調べた。するとここはなんと統一協会機関紙「中和新聞」の発行元ではないか! さらに最初の学習会の講師について身元を洗ってみることにした。「WFWP支部会長」という肩書きだったが、WFWPは「世界平和女性連合」の略であることを知る。そして「世界平和女性連合」は統一協会のダミー団体とのことであった。ヤバい! こいつら間違いなく統一協会だ!
 一応「部長」の後輩の部員に確認を取ってみると、彼は
「ああ、学外スタッフの某さんは統一協会の信者らしいですよ。オレは『部長』と他のサークル(運動部)で知り合いだから付き合いで入ってるんですけど。」
と発言。あ〜、決定的だ! これは直ぐにでも離れねば! いや、それだけじゃなくてこのサークルを亡きものにせねば! とりあえず連絡先を知っている部員に片っ端から連絡し、このサークルの関係者に一切近づかないように訴えた。他の部員はサークルが統一協会関係だということを全く知らず、一様に驚いていた。
「連中と一緒に飯も食っちまったこともあるよ。どうしよう……。」
と困惑する部員もいたが、とにかく毅然とした対応をするよう呼びかけた。そして、自分も次の集まりのときに脱会をアピールしようと決意した。
■ 脱会の日
 脱会宣言をしようと決めた日、その日も「奉仕活動」として駅周辺のゴミ拾いをやった。学外スタッフの某氏は、その日はなぜか自分に頻りに声を掛けてくる。
「いや〜、僕は韓国に非常に興味があってねぇ。」
「性退廃の問題ってやはり深刻だよねぇ。」
統一協会は教主の許可なく性交することを禁止する「純潔主義」を貫き、性教育に反対している。反エイズなのも「エイズ=性病=反純潔・退廃」という発想のため。)
あああ、統一協会信者の典型的発言だ。今まで気づかなかったオイラってそうとう鈍かったかもしれん。
 近くのファーストフードショップで食事しながら雑談することに。自分は脱会宣言をするタイミングを伺う。何しろ他の部員は自分の脱会勧告によって活動には参加していない。周りはほぼ全員が統一協会の息のかかった連中、何をされるか分かったもんじゃない。慎重に慎重に……。
 話題がちょうど「オウム事件」に飛ぶ。これはチャンスだ! 連中の化けの皮を剥がすのは今しかない!
(以下会話再現)
統一協会員某氏(以下某)「オウム事件ってホントにひどいよね〜。やはり思想的に間違った狂信者集団だから。」
自分(以下水)「あ、でも狂信的なカルト教団と言えば統一協会も外せませんよ。」
某「(怪訝そうな顔をしながら)……何? その統一協会って。」
私「キリスト教をトンデモに解釈した韓国生まれのカルト教団ですよ。『純潔主義』を言いながら『血分け』という性交を介した儀式をして教組が逮捕されたり。」
「部長」(以下部)「……つまり『淫教』ってこと?」
水「ですね。他にも一般市民をマインドコントロールして『合同結婚式』や『霊感商法』で壺などを売りつけて法外な金を取ったり、珍味や高麗人参茶、あとメッコールっていう怪しい飲みものを売り歩かせたりして社会問題になってる集団ですよ。元歌手が信者だったり、元スポーツ選手が脱会の記者会見やったり、苦情も多くてTVのワイドショーなんかで結構取り上げられてますからメチャクチャ有名ですよ。本当に知らないんですか?」
 周囲の表情がみるみる変わっていく。怪訝そうな顔をする者あり、悲しげな顔をする者あり。世界平和女性連合支部会長の女性は明らかに敵愾心を剥き出しにこちらを睨みつけている。自分は以前このサークルで配布された資料をテーブルに叩きつけ、畳み掛けるように話を続ける。
水「学習会でいただいた資料の参考文献にやたら出てくる『光言社』って出版社、統一協会の会社じゃないですか。あなた方統一協会なんですか? もしそうなら僕は二度とこのサークルには関わる気はありませんし、そうでないというなら、こんな団体との関係は即刻絶ってください。」
部「でも思想の自由があるから…。」
水「何言ってんですか! 行動が明らかに反社会的でしょう! それが問題になってるのに思想云々は関係ない!」
 全員黙り込む。決定的だ。もはやこれ以上の会話は不要、いや、むしろ危険である。何かされる前にとっとと退散する。出口を出る際振り向きざまに、
「某さん、あんた統一協会の会員なんでしょ。」
の捨て台詞を残して。
■ その後
 その後も性懲りもなく、一度だけ学習会を開いていた。とりあえず自分も潜入し、隣になった下級生と思しき人に、
「彼らは統一協会だから、もう近づかない方が良いよ。」
と注意を促す。しかし彼はヘラヘラ笑いながら、
「何それ〜?」
と一言。糠に釘だった。どうやら自分を除いては「動員」された連中だったようだ。それ以降も部員募集ポスターは貼ってあったものの、幸いにも学校内では一切表だった活動はなくなった。
 学生に知的好奇心は必要不可欠だと思う私だが、注意深く事実を見極める目という物も養わねばならない。何とか命が助かった今回に限っては「良い教訓」となったのかもしれない。

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画像はhttp://piapro.jp/content/dik5zoex44x8s1xfから。