カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

子供を持ちたいか? なぜ日本は不妊知識が乏しいか?

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情報をまずメモ。

妊娠知識 日本人は極端に低いhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20110210/k10013968761000.html
2月10日 4時15分
妊娠について正しい知識を持つ人の割合は、日本では、海外に比べ極端に低いことが、イギリスの研究グループが行った国際調査で分かりました。
この調査は、イギリス・カーディフ大学の研究グループが、おととしから去年にかけて、アジアとオセアニアそれに欧米の18か国で、パートナーがいて妊娠を望む20代から40代前半の男女を対象に行ったもので、1万人から回答がありました。日本での回答を見ると、「妊娠を希望するカップルの10組に1組が不妊症」と知っていた人は32%、「女性の妊娠できる能力は40代では30代より低下する」ことを知っていた人は46%でした。いずれもニュージーランドやオーストラリアの半分で、妊娠についての基本的な知識を尋ねた13の質問全体で見ても、日本での正答率は海外に比べ極端に低くなっていました。18か国のうち、全体の正答率が日本よりも低かったのは、トルコだけでした。これについて、不妊カップルの現状に詳しい聖路加看護大学の森明子教授は「日本では、不妊に直面して初めて、加齢によって妊娠率が下がると知り、仕事のキャリアを優先したことを後悔する人が多い。妊娠についての教育を充実させるとともに、企業も妊娠や出産といった人生設計を支援する態勢を整えるべきだ」と指摘しています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011020900938
「子供ほしい」、日本最下位=18カ国1万人調査−英カーディフ
 男女の子供を求める度合いが、欧米、アジアなど主要18カ国の中で日本が最も低いことが9日、英カーディフ大のジャッキー・ボイバン教授らの調査で分かった。同教授は「日本は独自の問題に直面しており、親であることの価値観を再構築する必要がある」としている。
 調査は欧米、アジア、オセアニアなどで実施され、日本人481人を含む計約1万人の男女から回答を得た。
 その結果、「子供がほしい」とした度合いは、米国、デンマーク、トルコの順に高く、日本は最も低かった。「充実した人生に子供は必要」も最下位で、他国に比べ子供を持つ欲求の低さが際立っている。
 一方、「子供を持つことは社会的価値がある」との回答は、インド、中国に次いで高ポイントを記録。ボイバン教授は「日本人は義務として子供を産もうとしているのではないか」と分析した。(2011/02/09-20:07)

http://www.ninkatsu.net/supporter/0001/
イタリア・ローマ発国際学会海外レポート 妊娠・不妊に関する過去最大規模の国際意識調査
〔略〕回答者のプロフィールは平均年齢31.8歳。53.7%が大学教育を受けており、75.8%が都市部に在住するカップルでした。 調査をサポートしたメルクセローノ幹部のバラット・テワリー氏に取材したところ、「現在、世界レベルで不妊に悩むカップルは全体の約10%。不妊症を医師に相談するカップルは 56%、実際に治療に入るのは22%に留まっている」とのこと。「一体何が治療の妨げになっているのか、今回の調査で各国のカップルたちの妊娠出産、不妊治療への意思決定の過程を探ることで、不妊治療のサポートをより推進できると考えた」と、テワリー氏は調査の目的について話します。〔略〕
気になる日本の傾向はというと、深刻な少子化傾向を色濃く反映する結果になったといわざるを得ません。というのも、「子供を持ちたいという願望」だけでなく、「親になる必要性(充実した人生に子供が重要な位置を占めるという意味)」の項目でも、日本は18カ国中、最も低いスコアだったからです(グラフ参照)。

 こうした日本のスコアに対して、この調査の共同リーダーであるカーディフ大学のジャッキー・ボイバン教授も、「ほかの先進国が押しなべて子供を持ちたい願望のスコアが高かったのに比べて、日本がここまで、スコアが低いという結果に驚いた。今回の調査対象国の中では、インドや中国、ロシアなどと同様に、特異的なスコアを示した国の一つと見ている」とコメント。〔略〕
もう一つ、子供を持つことに大きく関わる要素として、不妊とわかったとき、家族や友人に対してオープンに相談をしやすいかどうか、という国民性の要因があります(グラフ参照)。日本はこの項目でも、最も低いスコアになりました。医学的助言を求める相手や場所、治療の選択肢に関する知識レベルも、インド、中国、ロシアと並び、日本は低さが目立ちます。
 これらの結果というべきか、不妊治療への取り組み意向についても、日本は、他国に抜きん出て最も低いスコアになりました(グラフ参照)。

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以下考察。大学教育を受けた人が比較的に調査対象に多い。
大学教育まで受けさせるとなると、公立ばかり通わせても、昔聞いた話だとだいたい、子供一人につき1000万円かかる。国立大の学費が上がったので今はもっとかかるだろう。子供一人につき1000万円以上の金を支度できるかどうか、というのが、安心して子供を育ていることができるかどうかの、一つの分水嶺になる。自分の経済力に自信のない人はこの時点で自分の子供を持つことを諦める。
大学教育を受けさせたい、と考えると、逆算的に、私立中高に通わせる方が有利、と、大卒者の多くは連想する。私立中高に子供を通わせるために必要な親の収入は、だいたい、年収700万円以上だと言われている。よって、年収700万に満たない家庭では、子供に自分が考える有利な条件を与えることができないことを踏まえて子供を作ることとなる。年収700万を超える家庭というのは、少数派だ。都市部の教育のある人にとっては、子供とは、親の経済力を示すという意味で、「価値」がある。
妊娠を望むキャリア女性は、仕事を放棄すると経済的に望みどおりには子供を育てることができず、仕事を続けると結婚自体のチャンスが減るというジレンマに陥る。
一方、郡部ではそんな計算はあまりしないから、新婚夫婦には「子供はまだできないのか」と挨拶する因習があり、子供ができない夫婦は社会から非難されているかのような圧力を感じる。のだそうだ。私の親戚の夫婦はそうだった。精神的にやばいところまで一時期追い詰められたそうだ。「子供を持つことは社会的価値がある」とは、「一人前の家庭として社会から見なされるためには子供がいて当然」という社会圧力を示しているのだろう。
他方、表現規制派と近接する性教育反対勢力は、性に関する一切の情報を日本社会から抹消したがって政治圧力をかけてきたりしてきた。中高生向けの性教育副読本『ラブ&ボディBOOK』http://popup.tok2.com/home2/education/data/landb-s/landb-s.html性教育反対勢力(その主たる勢力の一つは統一協会。また「日本会議」系列の新興宗教団体。代表的人物としては山谷えり子高橋史朗、八木秀司)による酷いクレームで潰されたのは2002年から2005年にかけてのことだ。http://www12.atwiki.jp/seijotcp/pages/31.html http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050526 性教育反対勢力は、日本を滅ぼしたいのだろう。その目論見はだいたい成功しかけている。国賊に限って「愛国」を自称するのはどこの国でも一緒だが、「日本会議」などの国賊どもに「愛国」を称させるのをいつまでも放置しておくのは宜しくない。

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上記二つ目の時事通信記事へのブクマコメント。

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011020900938
secseek 価値観以前に、無理ですもん。子供なんて。むしろ邪魔になります。 2011/02/09
tkamu 価値観の問題ではなく、経済的な貧困の問題だと思う。 2011/02/10
mit33 そりゃ子育てに対する支援がマトモに無い(保育所すら不足している)日本で子供育てよう!とはなかなか思えないよね。 2011/02/10
shigeto2006 こうなるのも当然。所得は下がる一方で、子育て・教育にはお金がかかるのに、その対策としてできた子ども手当が「バラマキ」だと袋叩きにされているようでは、子どもを作ることはリスク要因にしかならない。 2011/02/10

このブクマコメント見て連想したんだけど、日本人はマゾだから、「子ども手当て」政策を一番腐しているのは、しばしば「子ども手当て」がまさに必要な家庭だったりする。私の親戚のおばあさんがそうでなあ。息子を早くに亡くして孫を二人育てなくちゃならないのに、「子ども手当て」のことをクソミソに言っていた。地上波ワイドショーでしか政策についての情報を得ないとそうなるのでありまして、地上波ワイドショーは情報操作放送なわけでありますが、同時に、当然に日本人はマゾなのであります。だから石原慎太郎如きが多選されるのであります。
だからね、後のない民主党はね、統一地方選では「我々は国民に苦痛を約束する」という言い方を、上手にすべきなんだが、これが巧かったのが小泉純一郎で、あいつは国民に苦痛を約束し、そしてその通り国民生活は苦痛になった。ひょっとしたら菅直人の先の参院選での増税発言は「国民に苦痛を与える」言説のつもりだったのかもしれないけど、菅直人はメディア感覚がイマイチいけてないのと、小泉純一郎みたいに放送を統制する業を使っていなかったから、菅直人は先の参院選でしくじったと思う。難しいものだ。
ムチャクチャなことを書くが、私は民主党の宣伝はファシズム的宣伝から学ぶべきだとずっと以前から思っていて、たとえば自分が文面においてファシズムの手法を使ってみるとこんな感じhttp://d.hatena.ne.jp/kamayan/20061219/1166466929となる。あれ? リンク先の文章、書いたときはめっちゃ右翼的アジテーションに書いたつもりだったけど、いま読み返すとそうでもないなあ。

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関連 『「セックスを嫌悪する」は「性欲がない」を意味しない』http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20110117/1295282480 

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