カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

『タテ社会の人間関係』― 「田舎っペ」

 〔略〕前述した枠による集団の構成のあり方からは、およそ社交性というものを育てる場がない〔略〕。
 すなわち、社交性とは、いろいろ異なる個々人に接した場合、如才なく振舞いうることであるが、一体感を目標としている集団内部にあっては、個人は同じ鋳型にはめられているようなもので、〔略〕個人は、集団の目的・意図に、よりかなっていれば社会的安定性が得られるのであり、仲間は知りつくしているのであり、社交などというものの機能的存在価値はあまりないのである。〔略〕
 このようにして生産され、教育(社会的な意味で)される人間関係の特色は、地域性(ローカリズム)が強く、直接接触的(タンジアル)であるということである。
 地域性(ローカリズム)が強いということは、その集団ごとに特殊性が強いということと、一定の集団構成員の生活圏がせまく、その集団内に限定される傾向が強いということである(「地域性」という日本語より、〔略〕感覚としては「田舎っペ」という表現がよく当たる。すなわち、自分たちの世界以外のことをあまり知らない、あるいは、他の世界の存在をあまり知らず、それになれていないということである)。
 〔略〕派閥集団を形成している政治家は、自分たちだけで他の派閥内のことがよくわからず、政治記者が他の派閥の情報提供者であったりする。学者や知識人は〔略〕第三者や他のグループとは同じ分野の専門でありながら、さっぱり意思が疎通せず、ディスカッションが不可能だったりする。[略〕(52-53p)
 [略]集団構成員の異質性からくる不安定さを克服するために、集団意識をつねに高揚しなければならない。そしてそれは多分に情的に訴えられるものであるから、人と人との直接接触を必要とし、また、その炎をたやさないためには、その接触を維持しなければならない。(54p)

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

 丸山真男の言う「タコツボ型社会」*1と同じものを差してますね。これが書かれた頃よりは現在は社会流動性が高くなっているし、2chみたいな24時間井戸端会議所があるから、少しはマシになっているけれど。webで「厨房」と呼ばれる人は、この「田舎っペ」ではありますね。「田舎っペ」で社交性が欠落しているから、言説がムダに過激になる(「ネット右翼」と呼ばれたりする)。「田舎っペ」だからものを知らず、騙されやすい。

*1:

日本の思想 (岩波新書)

日本の思想 (岩波新書)