カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

フルフォードについて、先日、ずいぶん辛辣なこと書いたけど

フルフォードについて、先日、ずいぶん辛辣なこと書いたけど、『日本マスコミ「臆病」の構造』*1桃源社社長・佐佐木吉之助インタビュー(「住専」の章)はわりと面白かった。以下、一部抜粋。

佐佐木 経済と言うのはね、結局法律によって最後の決着を見るんです。経済は経済で終わらないというのを、私はイヤというほど見てきました。日本は世界2位の経済を持っている国かもしれないですが、肝心の法律というものがないんですよ。日本人は本当に、裁判所に抵抗がなさすぎる。(142p)
佐佐木 〔略〕RCC〔整理回収機構〕は特別会計で監査が必要ないんです。それをいいことに、民間企業ではありえない杜撰な経営(債務超過)を続け、04年8月にも金融庁から業務改善命令を受けました。福岡支店の職員が、信託財産の土地を勝手に売却し、2700万円を着服していたんです。(143p)
佐佐木 〔略〕若い女性の記者は非常にプライドが高い割に、トンチンカンなことを言う人が多かったですね。〔略〕この経済の実際の問題は、社会の下世話な連中も多く関わってくるわけなんですよ。でもね、彼女たちはヤクザとか、全然、分からないんです。実態としての社会、経済の仕組みがね。だから全然困っちゃう。説明しても分かってもらえない。もちろん、ノンリコース型融資、あるいはプロジェクト・ファイナンスと、リコース型融資の違いとか、そうした基本的な制度の知識もなかったわけですから、いまでも住専問題は根本的に「理解されていない」と思います。(144-145p)
佐佐木 〔テレビによる報道では〕フジテレビはひどかったですね。ある日、うちの事務所がビルの4階でね、ひとつ上の5階に「捜査員」という連中が来て、段ボール箱を持ち出すシーンをカメラで撮っている。何の捜査だと思ったら、テレビ局のスタッフなんですよ。そこで段ボールを50箱くらい造って、自作自演をやっているわけ。つまり、いかにもウチ〔桃源社・佐佐木吉之助〕が捜査を受けているような映像を撮るために八百長をやっているんです。それをちゃんとフジテレビのニュースで使ってましたよ。(145-146p)
佐佐木 〔略〕私は、あのバブルの時期に体験したことを『蒲田戦記』*2という本にまとめました。この本は売れましたが、版元に何か関係者のほうから圧力がかかりましてね。文庫は版元を変えて出すことになったんです。〔略〕
佐佐木 〔略〕言論の府である国会で行った証言が平気で改竄され、その結果偽証罪に問われ、逮捕された。私は裁判で4台のテレビモニターを持ち込んで、徹底的に議事録とビデオを比較し、言っていないことが議事録に書かれていることを証明し、勝利しました。しかし、こんなごく当然のことを証明するのに、何年もの時間と費用がかかるというのは、いったいどういうことなんだと思います。こんなことであわや刑務所行きとは、フランスのドレフュス事件〔原注1〕もびっくりのインチキ裁判ですよ。そして、それを問題視しないマスコミにも疑問です。(146p)
佐佐木 〔桃源社だけが悪者になったのは〕こっちの口封じの目的もあったと思いますよ。その最大のものは、富士銀行の赤坂支店問題だったと思います。日本の政治・金融・行政・暴力がからんだ富士銀行の不正融資事件〔原注2〕について、その内容と周辺を知悉していたからでしょうね。橋本龍太郎サイドから、桃源社潰しの号令がかかっていたことは間違いないところですから。彼らにはしょっちゅう車やバイクで追い掛けられました。
〔略〕恐喝をやっていた勢力がね、いろいろやっていくうちに、金融機関が一番スキャンダルや恐喝に弱いということを、発見したんじゃないかな。(147p)
 〔原注1〕【ドレフュス事件】1894年10月、フランス参謀本部付のユダヤ人陸軍大尉ドレフュス(1859〜1935)が対ドイツ通牒の容疑で逮捕されたことに始まり、1906年の無罪判決にいたるまで12年間にわたってフランスの政治・社会を揺るがした事件。
 〔原注2〕【富士銀行不正融資事件】富士銀行赤坂支店の渉外課長がノンバンク相手に架空預金証書を捏造し不正融資を展開。仲介者として橋本大蔵大臣(当時)の秘書、小林豊機が登場する。

*1:

日本マスコミ「臆病」の構造

日本マスコミ「臆病」の構造

*2:

蒲田戦記―政官財暴との死闘2500日 (文春文庫)

蒲田戦記―政官財暴との死闘2500日 (文春文庫)