カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「国体」

http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050419/p1

(7)国民の生命・財産を守るのは警察・消防の仕事であり、「軍隊」が守るのは「国体」とである。それは国家目標の上位にある至上の価値で、日本古来の「伝統文化」(皇室伝統)と言い換えてもよいものだ。

 これら論点の中で、「日本国憲法」とのかかわりという意味で最も注目すべきものは、やはり(7)の“「国体」の概念についての理解の仕方”です。端的に言ってしまえば、ここで潮氏が提示しているのはまさに「軍事国体論」です。それは、「軍隊」(自衛隊)の最高目的は“国民の生命・財産を守ることではなく、「国体」(皇室を中心とする日本の伝統文化)を守ること”だという主張に現れています。これは、先に「Ⅰ「国体論」、「軍事的国体論」とは?」で見てきたとおり、「明治維新」から「第二次世界大戦」までの間に日本が過酷な近代史の流れの中で経験してきた「国体論」の発展のエッセンスを語るに等しい内容です。日本古来の「伝統文化」(皇室伝統)の掛け替えが無い稀少な価値を大いに誇るのであれば、それは民主主義国家のあり方と何らの矛盾も問題も引き起こすものではないと思われます。しかし、皇室伝統を頂点とした日本古来の「伝統文化」を軍事力で守るのが「軍隊」の最高使命だということになった途端に大きな疑念が湧いてきます。それは「ニ・ニ六事件」前後の「国体論」をめぐる一連の出来事を連想させます。何故に、我われ日本国民は、直近の歴史経験を無視してまで、このように愚かな道程を再び歩まなければならないのでしょうか?