カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

『社会新報』11月9日号/小熊英二

社民党機関紙『社会新報』11月9日号16面に小熊英二福島瑞穂の対談が載っている。以下そこから引用。

福島 小熊さんは月刊誌『論座』(六月号)などで「基本的には9条を変えない方がいい」と語っていますが、9条改正問題についてどう考えていますか。
小熊 私は人に聞かれた時には「9条を変えても良いことは何もありませんよ」と答えることにしています。一部の右派の人たちの論調を見ていると、改憲すれば若者のモラルが高まったり、学級崩壊が収まったりすると勘違いしている傾向があるように思います。冷静に考えれば、そんなことがあるわけがないでしょ。
 それに9条2項を改正して日本の「自衛軍」が「国際的に協調して行なわれる活動」に参加できるとなると、現在以上に米軍の補完兵力として活動することを求められる可能性がある。ベトナム戦争における韓国軍のように、米軍と一緒に武力行使をする位置に立たされるかもしれない。もともと1950年代から「自衛隊を増強して米軍の保管兵力としてもっと貢献してほしい」というのがアメリカ政府の要望でしたが、それを日本側が拒む口実となっていたのが9条でしたからね。〔略〕
 〔略〕9条を変えて「自衛軍」と明記すれば、日本は独自の判断で自由に軍隊を動かせると勘違いしている人もいるようですが、それは現実には不可能だと思います。もともと自衛隊の前身の警察予備隊ができたばかりの1952年から有事の際には日本の「軍事力はアメリカ側の指揮下に入る」という密約が交わされていました。〔略〕ですから憲法に「自衛軍」と明記したところで、アメリカの指示を逸脱して軍隊を自由に動かす権限はおそらく得られないでしょう。〔略〕
 〔略〕戦後の日本ではナショナリズムの悪循環が続いてきました。戦後日本は対米従属の状態にあり、アメリカからの要求を拒むことができません。そこで対米関係で傷ついた日本のナショナリズムを癒すために、歴史問題や靖国参拝などで代償行為が行なわれる。
 ところが、それがアジア諸国を刺激し、日本は孤立を深め、ますます外交的にアメリカに頼らざるを得なくなる。こうした悪循環を私は戦後日本の「ナショナル・スパイラル」と呼んでいます。憲法9条を改正したら対米従属の度をさらに深め、この悪循環をより強めざるをえないでしょう。

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