石原千秋『評伝 中学入試国語読解法』新潮選書
国語の塾講師としてはなるべく早期に読むべきだった。私が現在担当しているのは小六だが、ぎりぎりどうにか間に合うか。火急習得し、講義に生かすようにしなくては。
漱石研究者が自身の息子の中学受験に関わる中で中学入試「国語」を解析した、興味深い本。私の塾での国語科研修のとき名前が出たので読んでみた。「国語」教育批判として優れた仕事になっている。
フランスの批評家ロラン・バルトは、「物語は一つの文である。」という意味のことを言っている。〔略〕
〔略〕物語が一文で要約できるということである〔略〕。たとえば、『走れメロス』(太宰治)なら「メロスが約束を守る物語」とか〔略〕。
「国語」で繰り返し語られるのは「子供が成長する物語」である。どういう風にして成長するのか。〔略〕それはいろいろである。だが、それらの共通点が「成長」にあることは紛れもない事実である。それが教育というものだからである。「成長」することが道徳的に価値があるのだ。それを直接教えないことで、子供の内面を子供の気づかないように「管理」(教育)するのが、「国語」教育の目的なのである。
だから、物語を読んだときには、出来るだけ早く、「この物語では、何が成長と考えられているのか」を理解することだ。そこに物語のバリエーションがある。〔略〕
塾や問題集で物語文を解く前に、「一つの文」にまとめる練習をしてみてほしい。〔略〕基本形は二つある。一つは、「〜が、〜をする物語」という型。〔略〕もう一つは「〜が、〜になる物語」という型。〔略〕
物語の型は大きく分けて四つある。〔略〕(179-181P)
- 作者: 石原千秋
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/03
- メディア: 単行本
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