カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

バカ親列伝/中学受験補遺/「姫」の受験

「姫」と心中秘かに呼んでいる女子生徒http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060603#1149268934の受験について。「姫」は塾で勉強をはじめた時機が遅かった。塾の側の講師配置の貧乏くじを引き、全然教務力のない算数担当に5年生のときあたり、そのため算数力がなかなかあがらなかった。国語力は上がったので、6年生になるときに私が提言して算数教務力のあるうちのクラスへ引き上げた。うちのクラスの算数担当講師は、性格は私とは対照的だが、教務力は絶品だ。
「姫」はたいへん努力家で、小学校女子サッカーチームのエースストライカーだった。母親が受験に不熱心で、受験勉強モードに入るのが遅れた。我々が説得し、11月にようやくサッカーをやめ受験勉強モードに入った。なぜか知らんけどそのタイミングでこの家は他県に引越しをし(引越しの話は「姫」の志望校と母親の志望校が合致したことから「それなら引越しはしばらくやめよう」と9月に一旦立ち消えていたのに、結局引っ越した)、通塾はどうにか可能だったものの、志望校選択を一からしなおすことになった。「姫」の母親はわりと若い。「姫」と歳が近い。だから無意識のうちに「姫」と張り合い、「姫」の希望を砕こうとしてしまうのかな、と私は想像した。
冬期講習の頃、「姫」の新しい家から元の志望校までの路線を調べたら通学可能圏内だと気づき、「姫」に伝えた。それを知った「姫」は喜び、第一志望校を元の志望校に戻し、それで受験勉強にいっそう身が入った。
2月1日からの受験、初日、押さえ気味の第三志望校(スポーツが強い)合格。二日目、午前受験の第二志望校合格。午後受験の押さえの第四志望校(サッカーが強い)合格。三日目、第一志望校、補欠合格、繰り上がり待ち。
第二志望校の入学金支払を待ってもらって、五日目の第一志望校受験に急遽出願。またも補欠合格、繰り上がり待ち。
今年の我がクラスの受験には神の加護があったかのようだった。ほとんどの生徒の入試が終わっていたが、「姫」ともう一人だけ入試が終わっていなかった。そのもう一人、初日に第二志望にだけ合格していてあとは連日不合格だった男子生徒は、6日に第一志望校を再び受験し、7日に合格の報告があった。最後まで奇跡が続く入試だ、と私は思った。
「姫」の補欠の繰り上がりの発表があるのは8日だった。私はこのクラスの受験の成功を、一年前から、毎日1回以上、通算でだいたい500回くらい、我が守護神である神社へ祈ってきた。この日も塾へ行く前に守護神の神社へ「姫」の合格を祈念した。
これはたぶん私の思い込みに過ぎないのだけど、祈念するとき、神殿に爽やかな風が吹き、御幣(紙垂)が悦ばしげにひらめくときは、精霊が近くにいるように感じる。この日、我が守護神はご機嫌麗しかったらしく、小気味良く御幣がひらめいていた。
塾で「姫」に会った。「繰り上がり合格した」と「姫」は私に言った。「お母さんが粘ってくれたから」と「姫」は言った。「姫」が言うには、第二志望校へ入学金を納めた後、留守番電話に第一志望校合格の連絡が三回入っていたことに気づいたのだそうだ。「姫」の家は共働きで、日中人がいない。だから気づかなかったそうだ。「職場に連絡してくれればいいのに」と「姫」の母が後に語った。それもどうかな、とは思うが。定められた時刻までに学校に返信しないと繰り上げ合格が無しになってしまうところだったが、母親が学校に粘って繰上げ合格となったそうだ。母親によると「姫」は補欠で1番だったそうだ。いつになく母親らしいと、失礼ながら私は思った。「姫」の家庭の場合、「姫」の母親の成長に「姫」の受験は貢献したかもしれない。
彼女が合格したことと、神殿に爽やかな風が吹いていたことは、たぶん何の関係もない、ただの偶然だ。これ以上は望めないほど綺麗に終わった中学入試だった。「姫」の繰上げ合格が、私のクラスでの今年の中学入試最後の報告だった。「姫」は受験に結局のところ全勝した。

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