カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

子狸

ウチの敷地を、子狸がウロウロしていた。私も一度見かけた。
老母が夜間、ウチから西へ数十メートルほどの道で、その子狸を見かけた。老母はわざわざ老父を連れ出し、網をもって、捕獲しにもう一度道へ行った。子狸に逃げられた。動作がのんびりしていて、鈍かったそうだ。
私が生まれたころ、我が家では狸を飼っていた。私は幼少期、狸と一緒に育った。その狸は客が拾ったものだ。
狸を飼っていた頃は景気がどんどん良くなった、縁起がいい、と、老母はその子狸をなんとしても拾いたいと思い、飼いたいと思った。老母にしては珍しい感情だ。
以前、ウチの猟犬の小屋に、皮膚病の狸が侵入し、死に、ウチの猟犬に皮膚病が移り、治すのが大変なことがあった。猟犬の皮膚病はやっと恢復した。
その死んだ狸の子供だろう、狸の中で皮膚病が流行しているようだから、その子狸も皮膚病でヨロヨロしていたのだろう、と、老父は想像した。
老母が留守している日に、ウチの、野良猫を捕獲するための猫取り器に、その子狸がかかった。ひどい皮膚病に罹っていた。
老母が帰ってくるまで、一日放っておいた。雷雨がその間にあった。
翌日見ると、だいぶ弱っていた。餌を与えた。
ほぼ丸一日たってから、水も与えないとな、と思い、水も与えた。
老母がやっと帰ってきたので、子狸がかかっていることを老母に伝えた。
老母は「子狸が死んでいる」と私に言った。死んでしまったのではしょうがない、かわいそうなことをした。埋めてやれ、と老父が言うので、埋める道具を持って猫取り器のところへ行った。
子狸は衰弱していたが、耳を動かし、呼吸をしていた。私が手を差し伸べると噛みつこうとした。
水は飲みほしていた。餌を与えた。
「まだ生きている」と老母に報告した。「どうすれば生き返る?」と老母が聞いた。「死にかけている。時間の問題だ」と返答した。
しばらくして様子を見に行った。死にかけていた。水入れを枕にしているので、水を新たに与えるのが難しい。水は汚れていた。
とりあえず餌を与えた。より衰弱していた。猫取り器の扉部分を空け、逃げられるようにした。
新たな水を離れたところへ用意し、離れたことろへ餌を与えた。
子狸は動けないようだ。
一日して、子狸の様子を見に行った。死んでいた。水まで動こうとして、わずかに動き、力尽きていた。
餌と水を死体に与え、埋めてやった。

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