金銭に関しての老母の悪癖
この件どう書くべきか悩んで、書かない方が賢明だと思ったのだが、書き方を思いついたので以下記す。
私は私立大学に5年間ムダに在籍して、まるっきり勉強しなくて出席もしなくて時間と学費を浪費した。その悔いは30歳代後半くらいから強くなり、ここ数日もそのことで煩悶していた。
ところで我が自営業を老父から私に相続する件で、相続税を適切に節税する対策を、我が老母老父はあまり熱心にしていないので、しかしながら我が老父の余命は5年くらいだと予測できるので、税理士さんと真面目に検討してくれと帰郷してから老母をけしかけていた。たびたび税理士さんのところへその件で老父母は行き、ある程度話が固まったから、お前は心配しなくていい、とか老母は言っていた。
老母が昨日来軽く錯乱し、老父が税金対策で加入している生命保険を解約して老母がそれに加入しなおすというよく判らないことを言い出した。つまるところ老父の保険の掛け金を会社の金で毎月払うのが老母には気に入らないということだが、節税のために会社の金で払っているのにそれが気に入らないとか意味不明なことを言っている時点で錯乱しているんだが、その件で税理士事務所に行くから時間とれと税理士さんに要求し、私もそれに付き合わされた。そのため私の貴重な休日がなくなった。
老母はいつも錯乱しているんだがこのときも錯乱して変なことを言い続けていた。この生命保険はそもそも相続税対策のための保険で、と、税理士さんが老母に説明し直しした。錯乱している老母の戯言を横で聞き続けるのは苦痛だったが、私の人生で最も大金が動くことの一つであるので苦痛に耐えながら聞いていた。
で、節税のためには現在老父名義になっている土地と建物を会社名義に書き換えるのが順当だ、と、税理士さんが言ったところで老母が会社名義になんか書き換える必要はない、個人名義でいい、相続税は現金で払う、とか言った。
老母の錯乱はその言葉の前から聞くに堪えなかったのだが、これはさすがに聞き捨てならず、会社名義にしなかった場合、どのくらい相続税が発生するかその場で税理士さんに試算してもらった。私が5年間で浪費した学費の6倍の金額になる。老父が死に老母へ財産を書き換え、その後老母が死に私へ財産を書き換え、という作業に仮になった場合、私が5年間で浪費した学費の12倍の額を国庫へ払うことになる。家を3軒くらい建てることのできる金額だ。我が自営業が現在溜めている貯金、現金資産をほとんど吐き出すことになる。老母はそれを現金で払うのは構わないとか頑として言うので私がブチ切れた。
我が老母は金の桁が大きくなると、損するように損するように振る舞いたがるクセがある。そういうクセがあるから相続税の対策を税理士にお願いするよう老母に要求していた。だが老母はいつも錯乱しているし、錯乱していなくても節税という観念があまり理解できない人でもあるので、ムダに税金を払いたいと、本人は自分がそう言っているということを全く自覚していなかったが、そう息巻いて譲らず、実に、なんちゅうか。
我が自営業はわりと成功しているが、成功しているのは立地条件が抜群に良いからであり、そのわりに我が自営業はムダに苦労が多かったが、苦労が多かったのは老母の商売が下手だったからだ。商売が下手という以上に「ここぞ」というときに我が老母は大損をしたがるという奇怪な悪癖が。