戦前のシリアの郵便マークは?
宮崎市定『西アジア遊記』を今読んでいる。昭和19年に原書発行。昭和12年ごろに宮崎市定が中東を訪問した時の紀行文。121pに以下の記述があった。
ベイルートの街を歩いていて、ポケットに日本へ出す手紙のあることを思い出し、〒の記号のある運送店のような店へはいった。切手を何枚か買って〔以下略〕
あれ? 〒記号は「逓信省」のテの字を図案化したもので、他国では使われていないはずだよな、と思って検索した。
画像検索しても、シリアの郵便マークは出てこない。
宮崎市定がこの旅行をしたのは昭和12年頃で、当時シリアはフランスの委任統治下だったようだからフランスの郵便マークだろうか。だとしたら
http://matome.naver.jp/odai/2133954741809608001/2133955024410002503
http://tokuhain.arukikata.co.jp/paris/2013/11/post_91.html
こんな感じのマーク…だったのかなあ。
宮崎市定がなぜここで説明を怠ったのかよく判らない。郵便マークについては省略すべき事柄だと判断したのだろう。
117pに、以下の記述がある。
乾燥し切った砂漠に蚊がいるということは、実際に来て聞いてみないと想像のできぬ話である。どうも地理学は地図や統計だけでは駄目である。今の地理書には、余計なことが少しも書いてない。やはり昔の本のように、たとえ雑駁に見えても、実地にぶつかった体験などを、ごちゃごちゃと寄せ集めた方が本当のところが表れて面白いと思う。この点では地理と関係の深い歴史学においても同様なことが言える。
郵便マークについても雑駁にさらりと実際のところを書いてほしかった。
- 作者: 宮崎市定
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ブクマコメント読んで思ったけど、「郵便の記号」と宮崎市定が書いたものを、編集か校正が気を利かせて「〒の記号」と記述を変えてしまったのかもしれませんね。それが一番ありそうかな。