カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

読書

『ひみつのひでお日記』と、俺が異世界転生していた時期のこと

1 吾妻ひでおが癌で入退院したとツイッターで知った。(吾妻ひでおと面識はないので敬称はつけない。) 俺は中学生から高校生にかけて吾妻ひでおから物凄く影響を受けた。ウィキペディアを見たら、吾妻ひでおは俺より17歳年上だった。吾妻ひでおが初めて失踪…

「なろう」小説読んでいたり、『僕だけがいない街』を読んだり

1 河口湖の11月くらいがだいたい東京の冬の気温で、12月から3月初めくらいまでさらにもう一段階寒冷な極寒期が来る。 今年の12月は晴れの日が多く、日中日差しがあるので、感覚的に過ごしやすかったが、それでも日中の最高気温が東京の最低気温と同じ…

始皇帝の夫人たちと、劉邦についてのおもいつき

今、藤田勝久『項羽と劉邦の時代』を再読している。kindleで。 32%位置No.1156に以下記述があった。 『史記』には、なぜか始皇帝の夫人について、まったく記されていない。しかし始皇帝までの秦王の婚姻をみれば、すでに昭王と孝文王が楚から夫人を迎えてお…

英雄アフガーニー略伝、19世紀最大のムスリム改革者

タミル・アンサーリー『イスラームから見た「世界史」』455p〜491pから、英雄アフガーニーについて以下抜粋する。第十三章 改革運動 西暦1737〜1918 イスラームの改革と復興への三つのアプローチ 18〜19世紀、オスマン帝国後期から、イスラム世界は西洋文…

宮崎市定の文章論

1 宮崎市定『東風西雅抄』に以下記述がある。これは宮崎市定の文章論だと言っていい。以下記す。 概説と同時代史 概説書ならどの時代でも書いて見せる、といった失言がたたって、罰として今まで書いたことのない近代史の部分〔略*1〕を書かねばならぬ破目に…

中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』

夏のシーズンの前の頃、山川出版社の「世界史リブレット」をamazonで何冊も購入した。『グローバル・ヒストリー入門』がその中でピカイチに面白かった。 その56-58pに以下記述あった。 中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』は農耕文化基本複合という概念を用い…

礪波護とか宮崎市定とか

1 宮崎市定の解説者「礪波護」ってどんな本書いている人だろうと思ってamazonで『馮道(ふうどう)』を購入して読んだ。 馮道という五代十国時代(唐と宋の間)を代表する宰相が、現代の価値観に即すと凄い偉人で同時代的にも偉人扱いだったが、後に『新五代…

星野之宣、ホーガン、人工知能、アシモフ

1 星野之宣がホーガン原作で何作も描いていたことを知らないでいたので、まとめてamazonで購入した。 2 『星を継ぐ者』ホーガン原作。最近はてなブクマで見かけたのでまずこれを購入。原作は随分昔、大学生の頃に読んだけど、あれ? こんな話だったっけ? 印…

この頃読んだもの

この頃読んだもの 1 私たちはなぜ税金を納めるのか私たちはなぜ税金を納めるのか: 租税の経済思想史 (新潮選書)作者: 諸富徹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/05/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る判り易い面白い税制史。以前、ドイ…

陶朱公のエピソード

1 「史記」の「越王勾践世家」に、勾践の謀臣「范蠡(ハン・レイ)」が登場する。 「范蠡」については、なぜかニコニコ大百科に良い説明があったりする。http://dic.nicovideo.jp/a/%E8%8C%83%E8%A0%A1 越王勾践が臥薪嘗胆の末、戦国の覇者となると、越王勾…

戦前のシリアの郵便マークは?

宮崎市定『西アジア遊記』を今読んでいる。昭和19年に原書発行。昭和12年ごろに宮崎市定が中東を訪問した時の紀行文。121pに以下の記述があった。 ベイルートの街を歩いていて、ポケットに日本へ出す手紙のあることを思い出し、〒の記号のある運送店のよう…

矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』への感触

1 先の記述http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20150106/1420558763冒頭に以下を最初書いておいたけど、先の記述から削除し、こっちに移す。 筆者は「戦後再発見双書」の企画編集責任者で孫崎享を売り出した人で、鳩山友紀夫(由紀夫から改名したそうだ)との対…

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』要約

売れているそうだ。読んだ。自分が知っている限りの所では間違いとか嘘は見つからなかった。 [以下、この冒頭に書いた感想を http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20150107/1420638509 へ移動の上、削除] 以下、内容を極力簡潔にまとめる。まとめるだけで力尽きた…

「幕末の攘夷論と開国論」

宮崎市定『古代大和朝廷』収録「幕末の攘夷論と開国論」に、こんなことが書いてあった。 1 問;なぜ長州藩と薩摩藩はあんなに攘夷論を熱心に説いたか、そして政権を獲った後開国に豹変したのはなぜか 答;幕末の長州と薩摩の藩財政を支えていたのは、薩摩の…

清官と濁官

1 「清官の害は濁官の害より甚だしい」 といった言葉を初めて知ったのは、高橋和己についての評論集だったと記憶する。 学生運動が盛んな頃、高橋和己は学生から人気のある教授であり作家だったが、やがて学生から「清官の害は濁官の害より甚だしい」と弾劾…

『社会運動の戸惑い―フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』読了

凄い本だった。 1章で、「ジェンダーフリー」が原典への誤読に基づくことを明らかにしたところから凄い。原典は「ジェンダーフリー」ではなく「ジェンダーセンシティブ」を求めていた。 2章で、「バックラッシャー」本家の『日本時事評論』へ山口智美さんが…

しまたけひと『敗走記』

『アルキヘンロズカン』の書評を、深町秋生さんが書かかれた。http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2014/04/post-94.html アルキヘンロズカン : 上 (アクションコミックス)作者: しまたけひと出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2013/02/12メディア: Kindle…

江村洋『カール五世』

1 江村洋『ハプスブルク家』を再読して、良い本だな、良い執筆者だな、と思い、ドイツ30年戦争http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20140303/1393857546に時代の近いカール5世の評伝も書いていると知り、購入、読了。 文章は奇を衒うことなく、簡明で判り易い。…

「表現の自由」のルーツとしてのドイツ三十年戦争を調べようと思っているんですけど

1 「表現の自由」の法的起源は、ドイツ三十年戦争のウェストファリア(ヴェストファーレン)条約にある。 ので、ドイツ三十年戦争について、ぽっつりぽっつり、日本語で読める本を読んでいる。そんなにたくさんあるわけではないようだ。どうやらドイツ語か、…

フェイガン『海を渡った人類の遥かな歴史』『水と人類の1万年』

『137億年の物語』に取り掛かる前の、最繁忙期前期の友として読んだ。 フェイガンの気象歴史学はすげえ面白かったんだけど、でもって『海を渡った人類の遥かな歴史』の方はフェイガンの船乗りとしての経験も語られていて、その辺は読ませるんだけど、出てく…

『137億年の物語』読了

最繁忙期の友としてちょっとずつ読んだ。読了した。 人類史部分は、『銃・病原菌・鉄』とかマクニール『世界史』の面白さには及ばない。 この本は筆者が子供の勉強の手助けとして書いたとのことだ。 人類史部分では、スペイン人が新世界のマヤの書物などを焼…

]『イスラームから見た「世界史」』、さらに続き

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20130407/1365289368の続き。 ところで、ムハンマドと聖徳太子と玄奘三蔵は、だいたい同時代人物で、7世紀というのは、釈迦と孔子とソクラテスが登場した紀元前7世紀頃と同じく、人間の英知があるハードルを越えた時期なんだ…

『イスラームから見た「世界史」』、続き

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20130403/1365011432 の続き。 この本によると、al-という接頭詞は、英語で言う「THE」みたいなもので、アッラーとは「THE 神」のことだそうだ。 そういえば、「FATE/ZERO」登場人物イスカンダルはアレクサンドロスのアラブで…

『イスラームから見た「世界史」』

少し前に読了した。あまりに面白くて、読んでいる間はネットするのもテレビ見るのも忘れていた。 この本は塾講師時代末に西荻窪に住んでいた時、「信愛書店」という趣味のいい本屋に飾ってあって気になっていたが、当時の財政では買うのをためらった。 一読…

『羆風』

1 矢口高雄『羆風』読了。 wikipedia:三毛別羆事件を漫画化したもの。 講談社漫画文庫で今回読んだが、俺、中巻の第11章だけ、どこかで読んでいるんだよな。たぶん雑誌で読んだんだと思うけど、何の雑誌で読んだんだろ。 と書いて記憶が蘇ってきたが、大学…

『ヨーロッパ史における戦争』とか

1 日本史と世界史の両方を高校で履修できるか片方しか履修できないかは、年代によってバランバランで、私は高校時代、片方しか履修できなかった。この時日本史と世界史のどっちを履修しようか相当悩んだんだが、当時まだ若かりし我が老母は「日本史が判らな…

近世イギリスを範型とした晩婚社会

川北稔『イギリス近代史講義』は実に面白い本で、その内容の全てを紹介したいが、今回は近世イギリスが晩婚社会だった件について。 イギリスは早い時期から、少なくとも17世紀から、単婚核家族社会だった。 イギリス近世は、晩婚社会だった。 イギリス近世は…

近況とか

1 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20130213/1360764637の続き。 で、2月17日に、親戚呼んで娘の誕生祝をした。老母が仕切った。老母の好きなようにしてもらった。 それからは嫁と娘と同居している。 2 老父母が今週初めに近所の温泉ホテルに一泊した。老父母…

娘の誕生前後に読んだ本

1 『叩かれても言わねばならないこと。』『枝野幸男学生に語る 希望の芽はある』叩かれても言わねばならないこと。―「脱近代化」と「負の再分配」作者: 枝野幸男出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2013/05/02メディア: Kindle版この商品を含むブログを…

娘の誕生前後に読んだマンガ

娘の誕生前後に読んだマンガ 1 『母がしんどい』母がしんどい作者: 田房永子出版社/メーカー: 新人物往来社発売日: 2012/03/24メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 10人 クリック: 144回この商品を含むブログ (33件) を見る親族の中で母親だけがエキセン…