カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

中学受験関係の知識

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中学受験というものへの知識をそれなりに私は蓄えたが、もう今後使用することがない。覚えているうちにいくか書き留めておく。
中学受験勉強の開始は、小学三年生の3学期2月からが一応の目安である。各塾はそれ以前からの囲い込みを図るが、それより早く開始しても実際のところ意味がない。やや遅めの開始時期としては小学四年生3学期2月開始が目安となる。これより開始時期が遅くなるとそのぶん生徒への負担は増える。
主な中学受験の進学塾は関東圏では、SAPIX日能研、市進、四谷大塚グループで、それぞれにそれなりの特徴がある。この中で一番費用対効果が良いのは、おそらく市進だと思う。学費が安く実績がいい。学費が高ければ効果があるかというとそんなことは全然ない。私は四谷大塚のテキストを使用する塾にいたので、以下、四谷大塚テキストを前提して学習内容などを説明する。
中学受験の学習内容は小学校の学習内容とはかなり違う。特にその差は算数に顕著で、算数では以下の内容を学習する。
鶴亀算、植木算、旅人算、和差算、過不足算、差集め算、流水算、年齢算、時計算、集合算、方陣算、ニュートン算、順列・組み合わせ、食塩水の濃度、割引・割増など。
これら「特殊算」は明治期以来、中学受験界で伝わってきた。小学校ではこれらの学習はほとんどしない。ちなみにこれらは就職活動の時のSPI試験http://saisokuspi.com/と内容がほぼ同じであり、中学入試経験者とそうでない人はSPI試験で大きく差がつく。余談だが算数の講師をしていた同僚は就職活動のときSPI試験で満点をとり、会社から「天才」と認識された。

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中学受験は、関東圏では算国理社の4科目が中心、関西圏では算国理の3科目入試が中心である。
ところで東京の高校受験では英数国3科目が中心であり、理社は都立高校入試でごく軽く扱われるだけである。よって、東京都の中学受験経験者は理社についてかなり深い知識を記憶することになるが、東京都の非中学受験→私立高校受験者は高校へ進むまでほとんど理社を学習しない。これはまずいんではないかと思うんだが、なぜそうなのかは知らない。

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私は国語と社会の講師をしていたので、その2科目を中心に以下述べる。
四谷大塚の中学受験テキストの社会は、以下の構成になっている。
4年生前期…地図記号+雨温図+地方別日本地理の基本。4年生後期…地方別日本地理の基本+農業
5年生前期…系統別(産業別)日本地理+地方別日本地理の発展
5年生後期…日本の歴史
6年生前期…公民分野(憲法・国会・内閣・司法・社会保障・財政)+世界地理の一部+国際連合国際紛争など
理社は4年生の1学期以前から学習すれば、よほど講師がヘタでない限り生徒は理社好きとなり、理社は得意科目になる。5年生時以降に理社の学習を開始すると、ごく少数の例外を除き理社は苦手科目となる。

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四谷大塚の中学受験テキストの国語は、だいたい以下の構成になっている。
5年生前期…文節のはたらき、説明文・小説文
5年生後期…文法(文節のはたらき・品詞の分類)、説明文・小説文・随筆文・韻文
四谷大塚テキストの国語の場合、5年生後期の文法が一つの山であり、私はここを繰り返して教えた。「文法は入試に出ない」と断言して読解ばかり扱う講師もだいたい3分の2から5分の4くらい実際のところいるが、どちらが正解とも言えない。文法は入試に出る。こんなに手間と時間をかけて覚えさせるべきかどうかは判断が分かれる。私自身は知識をみっちり学習させるスタイルだったので、みっちり教えた。国語の成績の悪い生徒は、文法などの知識単元で点を取らないと、得点できるところがない。
5年生時は学校行事が色々多くなり、受験勉強と学校行事の両立に必ず生徒は一度以上悲鳴をあげる。よって5年生時点では少なくとも受験勉強に「慣れている」状態になっていることが必要である。「慣れている」とは受験勉強のための宿題を生徒が欠かさず行なえる習慣になっていることを指す。

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学校見学・学校説明会参加は、保護者は5年生のうちにできる限り参加しておくべきである。受験可能性のある学校を少なくとも5校以上、可能なら10校程度は保護者は見ておくべきである。選択肢をあらかじめ絞るのはバカのすることであり不健康である。選択肢は初めは広く、そして徐々に絞り込むのが正しい。「ここにわが子を進学させよう」と思うなら5年生後半までに生徒をその学校へ一度は連れて行くべきである。この作業を手抜きした家庭は受験に失敗する。6年生になると、もう生徒も保護者も多忙すぎて学校説明会・学校見学に行ける機会がほとんどない。
中学受験は実際のところ「生徒による受験」ではなく、「家庭による受験」である。「勉強する」以外のほとんどのこと、たとえば学校選びなどは保護者がするべきことである。勉強時間の管理も、ごくごく一部の例外を除き、保護者が参加しなくては無理である。小学生が毎日何時間も学習していること自体が本来は不自然な行為であることを自覚すべきである。
「わが子に受験させたい」学校を選ぶ際、合格可能性は重要である。合格可能性のない志望校を選ぶのはバカのすることであり、それは保護者がバカである。
四谷大塚系列の場合、「四谷大塚公開組分けテスト」というものがある。ここで出る偏差値は、四谷大塚の合格判定偏差値にだいたい対応する。このテストを複数回受験したうえで、その数値を見て合格可能性50%くらいを第一志望校、60-70%くらいを第二志望校、80%くらいを「押さえ(滑り止め)」としてイメージするのが妥当である。これを偏差値の数値に換算するとだいたい偏差値5ずつくらいの幅になる。よって偏差値表から見て偏差値5くらいずつ離れたところに一つずつ志望校があり、その志望校を少なくとも第一志望校だけは5年生のうちに本人も見ておく、ということが準備として必要である。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100214/1266156263に続く。

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画像はhttp://piapro.jp/content/5zz14i49iqyqcnzjから。

中学受験関係の知識2

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中学受験において、生徒はどのくらいの時間の学習をするか。
私の働いていた塾では、通塾は5年生時からは週3回、算国の授業がそれぞれ約2時間、これが週2回、理社が各2時間が週1回、となっていた。塾で週に約10時間の学習をする。これに宿題が加わる。
宿題は、だいたい、4年生時で各科目1時間半程度、週で約6時間程度の宿題となる。
5年生時で、だいたい、1科目につき2時間くらいの宿題となる。よって、通塾が週10時間、宿題が週10時間、四谷大塚系だとこれにプラスして毎週「週例テスト」というのがあり、それが約3時間弱。
小学生が週で10時間自宅学習するというのは、これはたいへんなことであり、これをクリアできるかどうかが入試に耐えられるかどうかの分かれ目である。成績の悪い生徒とはつまりこの週に10時間の家庭学習ができない生徒である。週に10時間の家庭学習をした上で成績が悪い生徒というのは、ごく少数の例外を除いてほとんどいない。小学生が週に10時間の自宅学習をするというのは、非常に不自然なことを小学生に要求しているのであり、家庭がこれに協力しなければ無理である。
一般的には家庭学習の時間割を作成させ、塾の授業のない日に4時間程度づつ宿題学習時間を設定し、その時間内はとにかく宿題をさせる。家では落ち着いて学習できない場合、塾の空いている教室を借りて宿題をさせる。宿題を終えたら、保護者もしくは塾講師が一応チェックする。このようなことをする必要がある。
中学受験に子どもが納得していない場合、あるいは納得をしていても、原則的に子どもは、サボるためには全力を尽くすものである。受験しようという意欲よりも、サボるために子どもが全力を尽くすほうが勝っていると判断したら、その状態が2ヶ月続いたら、中学受験という特権を子どもに与えるのはやめるべきである。つまり塾をやめさせ中学入試を断念させ、保護者も断念するほうがいい。

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科目の優先度について。
4科目の優先度は以下である。算数 > 国語 > 理科 > 社会
中学入試での点数の差のつきやすさ、配点から考え、優先度は上記の通りとなる。ただし、「算数ばかり力を入れて社会の宿題を一度もしませんでした」という生徒が受験に合格するわけがない。算数は最も時間のかかる科目であるから、宿題の進め方としては
算数の宿題のうち最も優先順位の高いもの → 国語の優先度の高いもの → 理科の優先度の高いもの → 社会の優先度の高いもの → 算数の優先度2番目 → 国語の優先度2番目 → 理科の…
このように宿題を回すのが望ましい。
なお、4科目の中で比較的早く得点を取れるようになるのは社会である。考える要素が比較的に少ないからである。

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成績のブレについて。
四谷大塚公開組分けテスト」などを複数回受けると、成績がある程度上下して出てくる。
このとき、偏差値が10以上上がったり下がったりする生徒は、「好きな科目・好きな単元だけ勉強し、嫌いな科目・嫌いな単元の勉強を全力でサボっている」生徒である。こういう生徒は家庭がそうとう力を入れて不得意科目の宿題をやらせない限り、受験には耐えられない。
偏差値5未満のブレは誤差の範囲内であるので、ムダに一喜一憂しないほうがいい。
なお、5年生時にはできるだけこの手の大規模模擬試験を受けさせておくべきである。5年生時の2学期後半、3学期の成績から劇的に数字が変化するということは、ごくごく少数の例外を除いてほとんどない。偏差値5くらいは一年間で上昇するが、偏差値10以上上昇するケースはごくごく少数の例外だ。5年生時の大規模模試の結果が受験校選びの重要なデータとなる。
5年生時の模擬試験の数値を信頼できるものとするためにも、どんなに遅くとも5年生のなるべく早い時期、可能ならば4年生の3学期時点から中学受験の学習を始めることが望ましい。

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塾の選び方。
実際のところ、塾の講師のほとんどは学生のアルバイトである。講師の当たり外れというのは大きい。学生のアルバイトだから外れ、社員だから当たり、というわけでもない。校舎責任者の教務能力が学生アルバイトに遥かに及ばないというひどい例もけっこうある。
同じ会社・同じ系列の塾であっても、校舎によってけっこう実績に差がある。通塾可能な範囲の塾の実績は数値化して実際に比較してみるべきである。通わせたい学校・有名中学校の合格者数を、通っている生徒の数値で割り、その商が最も大きい校舎へ通わせるのが賢明だ。私の働いていた校舎は系列の中では規模の小さい校舎だったが、講師の質が良く、とくに中学入試に強かった。近隣の大規模校舎はそれと比較すると、生徒数も多く模擬試験の成績上位者も多いのだが、実際の入試での結果は私の働いていた校舎と比べ見劣りした。これはその近隣校舎の場合、算数の教務力が弱いことと、受験指導の能力が弱いことが最大の原因らしい。
「どうも講師が外れらしい」と感じたら、「講師が外れなようだが、どうにかならないか」と校舎責任者や本部に相談するのはやって損はない。この手のクレームが少なすぎるから塾業界は悪い意味でヌルイのだと私は思う。外れの講師が改善されないようならその塾はやめて他の塾に移るのが賢明だろう。とはいえ4担当全てが当たり、というケースは例外的である。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100215/1266170895に続く。

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