カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「立憲民主主義」

「民主主義は多数決」ではない。「少数意見の尊重」が「民主主義」の本義であり、「立憲民主主義」である。憲法を遵守する義務を負っているのは議員や官僚などの公務員であり(99条)、庶民ではない(ただし守ろうと「努力」し続けないと、権利は時効を迎える)。(日本の司法は腐れていて官僚や議員による憲法違反はスルーして、末端公務員の拘束時間外の政治活動にだけ「憲法違反」を判決するようなおバカな判決の歴史を持っているが)

http://www.jicl.jp/chuukou/backnumber/20040705_2.html
 では、国民の多数が正しいと考えただけで本当に正しいのでしようか。皆さんも歴史で勉強したように、そのときどきの多数派は過(あやま)ちを犯す危険性があります。〔略〕ナチスドイツもそうでした。日本も国民の多数が熱狂的に戦争を支持した時代もありました。〔略〕
 そこで、そうした人間の弱さに着目して、あらかじめ多数派に歯止めをかけることにしたわけです。多数決で決めるべきこともあるけれども、多数決で決めてはいけないこともある。それを前もって憲法の中に書き込んでおくことにしたのです。それが「人権」であり「平和」です。〔略〕
 国民の多数の意見に従って政治をすすめる「民主主義」に対して、それに歯止めをかけていく考え方を「立憲主義」といいます。「国民の多数意見に従った権力であっても、歯止めをかけなければならないときがある」という考え方です。
 民主主義はとても大切です。ですがそれと同じくらい、立憲主義も大切なのです。人間は不完全な生き物で過ちを犯す危険性をもっているからです。憲法は人間に対する謙虚(けんきょ)さから生まれたものといってもいいでしょう。そのときどきの必要性によって多数派が法律を作り、社会の秩序を維持していきますが、憲法はもっと長い目でみて、この国に住む人々の幸せにとって本当に大切なことを規定するものなのです。
 ところで、憲法は公務員だけに「憲法尊重擁護義務」を課しています(第99条)。公務員は、国や地方自治体において権力を行使する人たちです。国民の人権を侵害してしまいがちな立場にいるために、特に憲法を守らなければならないとされているのです。日本の憲法は国民には「憲法を守れ」といっていません。国民はむしろ「憲法を守らせる側」にいるからです。その意味では、権力を行使する側の人にとって、憲法は常に「押しつけられた」と感じるものなのです。
 法律が「国民の自由を制限するもの」であるのに対して、憲法は「国家権力の自由を制限するためのもの」といえます。ですから、憲法が「人権規定」中心で「国民の義務や責任に関する規定」が少ないのは当然なのです。もし憲法の中に国民の義務や責任を多く入れてしまうと、それは憲法ではなく単なる法律になってしまいます。〔略〕

http://www.jicl.jp/chuukou/backnumber/20040705_3.html
 〔略〕「立憲主義」とは、自分たちが多数派となって過(あやま)った判断をしてしまう危険性に対して、あらかじめ憲法で歯止めをかけておこうという考え方です。こうした自己抑制的な、考え方は、「人は誰でも過ちを犯すものだ」という謙虚(けんきょ)さに基づいた、きわめて合理的なものといえます。〔略〕
つまり憲法は、単に国家権力を制限して国民の人権を守るものというよりも、強い力を制限して弱い立場の者を守るための道具と考えた方がよさそうです。強弱の力関係から理不尽が生まれるところでは、つねに憲法が問題になるといっても過言(かごん)ではありません。〔略〕
 はっきりいってしまえば、強者にとって憲法なんかなくてもかまいません。むしろ自分たちに歯止めをかける道具など、うっとうしいだけです。ですから、権力を持っている人や強者の側の人は、憲法なんていらないと思うはずです。〔略〕
 これを邪魔だと思う人たちが、憲法を改正したいと考えるのは当然のことでしょう。ですが、そもそも憲法はそのような考え方にあらかじめ歯止めをかけて、国家が軍事的に暴走したり、その結果国民を犠牲にしたりすることを防ぐために作られたのですから、憲法を改正して軍隊を持たないという歯止めをなくすとなると、国民のほうは相当の覚悟が必要になります。
 ここで「憲法改正」の問題を「立憲主義」の観点から考える上で3点ほど考え方のヒントをあげておきましょう。
 第一に、その「改正」をすることが、国家権カヘの歯止めになるのかを考えてください。〔略〕
 第二に、国家権力に歯止めをかけるためのものだとしても、それが本当に必要な「改正」なのかを考えてみてください。〔略〕
 第三に、その「改正」によって、具体的に誰がどのように幸せになるのかを考えてみてください。〔略〕