カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

法務委員会で発言してくださった野党議員に以下書き送りました。

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090626#1245981941の続き。法務委員会で発言してくださった野党議員に以下書き送りました。

本日は法務委員会、お疲れさまでした。たいへん興味深く「衆議院TV」にて拝見させていただきました。以下、今後の議論の参考になればと思い、申し上げます。
1;「児童ポルノ」をPC使用者の意思とは無関係に収集するウィルスが実在しています。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080523_mellpon_noped/ 
MELLPON.Aに感染すると「mellpon」というフォルダがPC内に作成される。mellponフォルダには約4.46MBの児童ポルノ画像が保存されているという。

2;冤罪可能性の例…近所の誰でも利用できる状態になっていた無線LANに別人が「ただ乗り」していた可能性があるにもかかわらず、FBIが「おとり捜査」で撒いた「偽リンク」をクリックしたとして、テンプル大学学生が児童ポルノを「ダウンロードしようとした」という罪で懲役10年に問われ、既に有罪が2007年11月に確定した例もあります。http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080323_fbi_fake_hyperlink/
3;定義関連
3-1;「児童ポルノ法」は、初めには「わいせつ」とは別概念で「児童ポルノ」を定義しようという意思があったと記憶します。しかしながら、実際上の運用では「わいせつ」に準じた運用がなされています。「児童虐待があったか否か」が軸で考えられるべきだというのが当初の概念だったと思います。捜査上これはハードルが高いのかもしれませんが、本来の主旨はここ、すなわち「児童虐待があったかどうか」にあると考えます。
3-2;論戦上の技術として、葉梨議員が枝野議員に対して行っていた「これは含まれますかどうですか」というのは、「児童虐待があったかどうか」という本来の主旨を故意に欠落して質問しているように感じます。「児童虐待があったかどうか」が「児童ポルノ」の本来的軸であり、従来の「わいせつ」とは別にそれを軸に「児童ポルノかどうか」判断すべきという考え方はありえます。これは「わいせつ」概念に引きずられた「児童ポルノ」という枠組みの不充分性・欠陥性によって発生しているように思います。「わいせつ性」「性的喚起」とはいったん切り離して思考するのが適切なのかもしれません。
3-3;葉梨議員が田島教授に質問していた、「わいせつ」定義の海外と日本の違いについて。たしか枝野議員がその前のほうで少し言及していたようにも記憶しますが、米国と日本では「猥褻」の定義が違います。このことはもっと強調されてしかるべきと思います。

http://www.translativearts.com/log20080416.htmlからメモ。
米国での「猥褻」は1973年の最高裁のミラー判例が現在の米国の猥褻の基準となっています。現在アメリカで特定の表現が猥褻と認定されるのは次の三つの条件が判断基準の焦点となります。
 1)一般市民の視点からして、在住する地域の基準を踏まえ、特定の表現の全体が「好色な興味に訴える」表現と認められる。
 2)一般市民の視点からして、在住する地域の基準を踏まえ、特定の表現に於いて非常に不快な形で性行為などを描写している。
 3)一般市民の視点からして、在住する地域の基準を踏まえ、特定の表現がその全体に於いて文学的・芸術的・政治的・科学的価値が一切欠如している。
 この三つの条項を満たしていると法廷の場において認められたモノのみが米国では猥褻と認定され、表現の自由が及ばないものとされています。

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090307#1236362475
欧米諸国では、わが国の児童買春・児童ポルノ禁止法第二条3項三号に定義される「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」のすべてが必ずしも児童ポルノと定義されているわけではない。諸外国において児童ポルノの定義は法律の条文上だけでは曖昧な部分が存在することもあり、より詳細なガイドラインが存在する場合もある。
例えばイギリスのガイドライン「Sentencing Guidelines Council」の「Sexual Offences Act 2003」の109ページでは、以下のものが児童ポルノであるとして掲載している。
Level 1「性交類似行為なしでエロチックにポーズを取った裸などの画像」
Level 2「児童同士あるいは児童単独の性交類似行為」
Level 3「大人と児童との性交類似行為」
Level 4「児童同士、あるいは大人と児童による性交渉」
Level 5「獣姦やサディズム
 ここではソフトヌードや芸術目的のものなどは完全に除外されている。

以上、何らかの参考になれば幸いです。この審議は今まで政治に無関心だった多くの若い人々が強い関心を持って注目しています。たいへんだと思いますが、いっそう頑張っていただければと思います。応援しています。

3-3に関しては、もうちょっと端的な資料がほしいなあ、と思う。何かご存知の方がいらっしゃいましたらお教え願いたく候。
関連 
衆院法務委員会】児ポ法改正審議(2009年6月26日) まとめ http://source-stat.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26-1
児童ポルノ改正案 与党案はジャニーズも規制範囲 http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-2066.html

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画像はhttp://piapro.jp/content/w4gnd3ej6a39rmo0(乃亜)から。