「贔屓の引き落とし」
1
我が老母老父、「エコポイント」の使い方を理解できずして、理解できぬを正しく表明できず相手に質問するあたわず、しこうして「エコポイント」使わんと欲し、色々ありて、贔屓の電器店に迷惑をかけ、自らも大金を損する。
我が老母老父、自業自得なれど憤怒せり。されど性、悪しからず。時に自省せり。曰く、是、「贔屓の引き落とし」か。
ああ、老父よ、それ言葉が間違っているなりよ。「贔屓の引き倒し」なり。
我が老母老父、国語力貧しく、自身の意図を他者に伝うる力なし。相手の意図を聞き取る力すこぶる乏し。よって我が発言、老父老母の癇に障れども、老父老母我が言を容れることあたわず。
なぜこんななんちゃって漢文読み下し文を書いているんだ俺は。
2
我が老父母との喧嘩が2日に及ぶ。情けない。
我が老父母は耄碌のせいも多少あるが国語力が貧弱だ。私はなぜか国語だけは県内で1位とったりしたことがあったんだが、どういうわけだったんだろうなあ。国語力だけ異常に伸びたタイプの人は、人の気持ちを忖度する習性が人生の早い時期に形成されてしまうようで、私はそこから脱却するのにムダに労力を要した。ついに脱却できなかったとも言える。
『銃・病原菌・鉄』の中に、中南米は同緯度に土地が広がっておらず栽培できる植物が乏しく、そのため農業を複数回発明せざるを得なかった、ユーラシア大陸では同緯度に土地が広がっていて農業の発明は一度だけでよかった、これが新大陸と旧大陸の運命を分けた、といったことが書かれていた(ように思う)。農業という大発明を複数回行なったインディアンは、一回しか発明しなかった旧大陸の住民より優秀だったんではないか、と私は思った。そして旧大陸が新大陸を征服した。
連想なんだけど、こういう例を出してしまっていいのかどうか判らないからずっと前から思っていたが書かずにいたんだけどここで出してしまうが、たとえばid:BUNTENさんとかは、私がかつて知っていた大学教員の何人かよりは間違いなく脳の出来が優秀なんだよな。もっと言うと、文章から優秀さが伝わる人というのはそんなに多いわけじゃないけど、BUNTENさんはその一人なんだよな。でもBUNTENさんは長い失業中なんだよな。世の中が病んでいるという言い方はしたくないけど、いったいどういうことなんだろうな。私の想定する優秀さというのと社会が要求する優秀さとの間にズレがあるのかな。私の想定する優秀さには何らかの苦労の重みが滲むものだから、そこでズレがあるのかな。優秀であることと成功との間には深くて暗い川がある。
スティーブン・キングは「悪い場所」という言い方をしているけど、自分にとって今いる故郷は「悪い場所」で、だからここにいたくなかったんだが、どうしたもんだろうな。*1
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*1:たとえば『シャイニング』で父が悪霊にとり憑かれたのは「悪い場所」のせいで父のせいではない。