菅直人前首相の東電訓示
1
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20110913 の続き。菅直人前首相の東電訓示。
http://twitpic.com/6i49re
菅直人前首相訓示全文
今回の事の重大性は皆さんが一番分かっていると思う。政府と東電がリアルタイムで対策を打つ必要がある。私が本部長、海江田大臣と清水社長が副本部長ということになった。これは2号機だけの話ではない。2号機を放棄すれば、1号機、3号機、4号機から6号機。さらに福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。これらを放棄した場合、何ヶ月後かにはすべての原発、核廃棄物が崩壊して、放射能を発することになる。チェルノブイリの二〜三倍のものが十基、二十基と合わさる。日本の国が成立しなくなる。
何としても、命懸けでこの状況を押さえこまない限りは、撤退して黙って見過ごすことはできない。そんなことをすれば、外国が「自分たちがやる」と言い出しかねない。皆さんが当事者です。命を懸けてください。逃げても逃げ切れない。情報伝達が遅いし、不正確だ。しかも間違っている。皆さん、萎縮しないでくれ。必要な情報を上げてくれ。目の前のこととともに、五時間先、十時間先、一日先、一週間先を読み、行動することが大事だ。金がいくらかかっても構わない。東電がやるしかない。日本がつぶれるかもしれないときに、撤退はありえない。会長、社長も覚悟を決めてくれ。六十歳以上が現地に行けばよい。自分はその覚悟でやる。撤退はあり得ない。撤退したら東電は必ずつぶれる。
訓示の背景
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110907-OYT1T01246.htm
枝野氏によると、清水氏〔清水正孝当時東電社長〕はまず、海江田氏に撤退を申し出たが拒否され、枝野氏に電話したという。枝野氏らが同原発の吉田昌郎所長や経済産業省原子力安全・保安院など関係機関に見解を求めたところ、吉田氏は「まだ頑張れる」と述べるなど、いずれも撤退は不要との見方を示した。
菅氏はこの後、清水氏を首相官邸に呼んで問いただしたが、清水氏は今後の対応について明言しなかったという。このため、菅氏は直後に東電本店に乗り込み「撤退などあり得ない」と幹部らに迫った。
枝野氏は菅氏の対応について「菅内閣への評価はいろいろあり得るが、あの瞬間はあの人が首相で良かった」と評価した。
(2011年9月8日11時01分 読売新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011090902000035.html
「命懸けて。逃げても逃げ切れぬ」 前〔菅直人〕首相の東電訓示
2011年9月9日 東京新聞 朝刊
菅氏は海江田万里経済産業相(当時)から「東電が撤退意向を示している」と報告を受け激怒。清水社長を官邸に呼び政府と東電の統合本部設置を通告し直後に東電を訪れた。
http://www.asahi.com/national/update/0913/TKY201109130265.html
2011年9月13日17時30分
「ベント不成功なら致死量の被曝」保安院、震災翌日想定
東京電力福島第一原発1号機の格納容器の圧力を下げることができなかった場合に発生が想定される事象として、原子力安全・保安院が、敷地境界での被曝(ひばく)線量が「数シーベルト以上」に達すると見込んでいたことが、情報公開法に基づき開示された同院の内部文書で分かった。7シーベルトが全身被曝の致死量と言われており、敷地内では人が生きていられない状況になる可能性が政府部内で検討されていたことになる。
〔略〕保安院の文書は「ベントができない状態が継続する場合、約10時間後(午後11時)に大量の放射性物質が放出される」「気象条件によっては、発電所から3〜5キロの範囲において著しい公衆被ばくのおそれがある」としている。
2
鉢呂「失言」について
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19475?page=2
-朝日の検証記事によれば「放射能をうつしてやる」発言の第一報はフジテレビだったとされている。フジの記者は懇談の場にいたか。「フジテレビはいなかった。フジの記者は○○さん(実名)という女性なので、それは、あの場にいれば分かります」。
フジは「放射能を分けてやるよ、などと話している姿が目撃されている」と伝聞情報として第一報を伝えている。鉢呂の話でも、フジの記者は現場にいなかったという。ここは大事なポイントである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19475?page=3
「原発反対派を加えて、賛成反対を半々にするつもりだった」そして、ここからが重要な部分である。
-脱原発依存やエネルギー政策はどう考えていたのか。
「政府はエネルギー政策を大臣レベルの『エネルギー・環境会議』と経産省の『総合資源エネルギー調査会』の二段構えで検討する段取りになっていた。前者は法律に基づかないが、後者は法律(注・経産省設置法)に基づく会議だ。調査会は今年中に中間報告を出して、来年、正式に報告を出す方針だった」
「このうち総合資源エネルギー調査会は私が着任する前の6月段階で、すでに委員の顔ぶれが内定していた。全部で15人のうち3人が原発反対派で残りの12人が賛成派だ。私は事故を受けて、せめて賛成派と批判派が半数ずつでないと、国民の理解は得られないと思った。それであと9人から10人は反対派を加えて、反対派を合計12、3人にするつもりだった。委員に定数はないので、そうすれば賛成と反対が12人くらいずつで半々になる」
-それには役所が抵抗したでしょう。
「役所は『分かりました』という返事だった。私が出した委員候補リストを基に人選を終えて、後は記者発表するばかりのところだった」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19475?page=4
- もう一度聞くが、それで役所と激論にならなかったのか。官僚は面従腹背が得意だ。
「私は〔略〕賛成と反対の両論が記載されてもいいと思っていた。〔略〕」
この話を聞いて、私は「これで鉢呂が虎の尾を踏んだ可能性がある」と思った。〔略〕官僚にとって重要なのは法律に基づく設置根拠がある調査会のほうなのだ。
〔略〕法に基づく会議は〔略〕政権が代わっても、政府の正式な報告書が原発賛成と反対の両論を書いたとなれば、エネルギー政策の基本路線に大きな影響を及ぼすのは必至である。官僚が破って捨てるわけにはいかないのだ。