カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

桂枝雀によるギャグの4分類、松本人志のギャグの20項目

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松本人志のギャグを20項目に分類した人がいた。
http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3331847.html#
各項目名称と各項目についての説明が今三つくらい判りにくいが、この書き込みの中で、松本人志桂枝雀好きであるとの情報があった。桂枝雀はギャグを4つに分類した。この4分類それぞれに5つの要素を掛け合わせ、4×5=20のギャグで定式化してコントを作っているというのは、ありそうに思う。

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ずっと昔にメモした、桂枝雀によるギャグの4項目については以下。
   『らくごDE枝雀』よりhttp://d.hatena.ne.jp/kamayan/20111224/1324743201

 (四八p) 落語、漫才において、人間は何を「おもしろい」と感じるか。知的には「」。情的には「他人のちょっとした困り」。生理的には「緊張の緩和」。社会的・道徳的には「他人の忌み嫌うこと」ないし「エロがかったこと」。
 (九二p) ものごとを分類しようかちゅう時に、いちばん先にしとかなならんことは視点を定めることですわ。どの立場から対象物のどの面を見て判断するかということを決めとかんと、あっちこっちから視点定めんというだけでは統一性がおまへんがな。で、視点はお客さんです。お客さんが何をどういう形で受け止めてくれはって快感を得てくれはるか。逆の立場で言うと、演者なり作者なりがどの趣向でお客さんに快感を与えるかという、聞き手対演者という関係で判断する。
 (九四p) 「オチ」は、四つに分類される。「ドンデン」「謎解き」「」「合わせ」である。

*ドンデン;サゲの前に安堵がある。

(例)主人公、谷に落ちた小判を拾う。いざ谷から上がろうとするがどう上がればいいか分からない。竹のバネを利用したりして、やっとの思いで谷から戻る。(ここで聞き手はああよかった、と安堵する)=ドン。で、小判は? しまった谷底に忘れてきた。(それまで隠されてきた状況が明らかになる)=デン。ドンで安堵、デンでサゲ(ひっくり返し)。

*謎解き;不思議な状況の提示。その解答がサゲとなる。

(例)皿屋敷のお菊さん。いつも九枚しか数えないのに、ある夜十八枚数えた。「どうして?」「二日ぶん数えといて、明日の晩休みまんねん」

*変

(例1)猪を目の前で仕留めたのに、疑い深い男が、「これ、新しいか?」と尋ねる。漁師は腹を立て、鉄砲の台尻で猪をど突くと、猪、ピョコリと起きて、トコトコトコ。「どうじゃ客人、あのとおり新しい」
(例2)真夏の炎天下、大阪中にたった十個残ったミカンを千両で買取り、若旦那に食べさせたと言うところまでを人情噺風に語る。ミカン一個百両、という価値観の錯覚が生まれる。番頭は三百両持ったつもりになって逐電する。「ミカン三個持ってドロンしよった」

*合わせ;台詞や状況を、人為的に「合わせる」(対応させる)

(例1)『天狗裁き』嫁に寝ているところを起こされ、「どんな夢を見たん?」という発端から、次々にいろんな人に尋ねられ、しまいには天狗から夢の話をせえと脅迫される。と、うなされている主人を嫁が揺り起こし、「どんな夢を見たん?」
(例2)『死ぬなら今』とどのつまり、地獄の役人連中がひとりもおらんようになっていて、「死ぬなら今」

『らくごDE枝雀』、倉庫のどこかに眠っているんだよなあ。昔書いたメモだけだと不完全すぎて。
枝雀の言う「4種のオチ」に「4種のおもしろさ」を掛け算すると、とりあえず16項目になる。あと4項目足すと、冒頭リンク先の20項目になったりするんじゃないかな。リンク先の動画見てないけど。

らくごDE枝雀 (ちくま文庫)

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画像は http://piapro.jp/t/Ftsu から