田んぼの草刈り
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老父母は複数の畑や田んぼを持っている。労力がないので、その一部だけしか利用していない。
とはいえ雑草まみれにしておくのは畑や田んぼにとっても良くないらしいので、草刈りはする。というか私がさせられる。
先日バイトさんを頼んだ際、田んぼの草刈り作業をしてもらった。三分の一くらい作業してもらったところで時間切れになり、その後放置しておいた。
本日、老父が、草刈りを終えろ、と、妙にテンション高く私に命じた。老母のテンション高いのがうつったのかどうか判らない。老母は疲労していてここ数日テンションが高い。余計な話だが老母は疲労するとテンション高くなり、機嫌が悪くなるとテンションが高くなり、機嫌がよいとテンションが高くなる。それは今回は関係ない。老父は日頃はテンションが高いことはないのだが、ここ数日老母のテンションの高さに付き合わされてうつったのかもしれない。判らないけど。
で、草刈り機を取り出して、田んぼの草刈りをした。
我が家には草刈り機が2台ある。そのうち安物のほうが操作しやすく作業して疲労度が少ないのだが、そちらの方はひと月ぐらい前に別の畑の草刈りをしたときエンストを起こし、調子が戻らず、先日修理に出し、まだ戻っていなかった。
残るほうの草刈り機は、やや小ぶりで、そのわりに重く、長時間作業していると疲労する。
草刈りし始めて気づいたが、草が強(こわ)く、固い。秋が深まると、草が枯れ、立ち枯れた草というのは固く強(こわ)くなるもののようだ。なので、草刈りにけっこう難儀した。
草刈り作業の合間に、携帯電話の着信に気づき、出てみると、本日日帰りでの施設利用を予約していた客から、「到着が遅くなる」との連絡だった。おっと、朝ちゃんと確認しておかなかったが、本日は日帰り客がいるのだ、準備をしなくては。と、家に戻った。
予約台帳の確認をすると、日帰り客が2組、宿泊客が1組。日帰り客を迎える準備作業をしている間に、ひと組目が到着した。私は運がいい。あの着信に気づいていなかったら色々話が面倒くさいことになっていた。
日帰り客2組のチェックインを終え、昼食を採った後、草刈りに戻る。
草が固い。難儀する。そして作業はひたすら退屈だ。創意工夫の余地が全くない。退屈だ。退屈すぎると、色々惨めな過去を思い出したり、つまらないことを思い出し、情けなくなる。退屈は人生の敵だ。我が子には可能な限り退屈を与えないようにしてやりたいと願うがどんなものか。
三分の一くらい作業を残したところで、腕が重くなり、これ以上作業すると翌日以降の体調に響くので、そこで草刈り作業を終えた。