カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「戦争は儲かる!」@小5社会

諸君、今日は「大正時代」を学習しよう。1914年に、第一次世界大戦が起きた。受験的な覚え方だと、1904年に日露戦争、1894年に日清戦争、1884年に秩父事件、この頃は10年ごとに戦争があった。
第一次世界大戦は、サラエボ事件をきっかけに、ドイツ帝国オーストリア=ハンガリー帝国+トルコ帝国の「同盟国」 対 大英帝国ロシア帝国+フランスの「連合国」が戦争した。「帝国」ばかりだね。で、大日本帝国は「日英同盟」を口実に、ドイツの植民地であるグアム・サイパンなど南洋諸島と青島半島を占領した。ドイツ軍のほうは本土の戦争にかかりきりで、植民地軍なんてのは警察と同じくらいの力しかなかったから、日本は楽に占領したわけだ。
第一次世界大戦ではヨーロッパが激烈に戦争していたから、ヨーロッパの工業製品は戦争にどんどん蕩尽された。戦争では金が激烈に動く。ヨーロッパ製品がアジアまで輸出されなくなったので、日本の工業製品は猛烈に買われるようになった。この時代、戦争のお蔭で突然大金持ちになった人がたくさんいて、彼らは「成金」と呼ばれた。この頃、日本人は皆、「戦争は儲かる」と思っていた。日清戦争では国家予算の四倍の賠償金を清から得た。日露戦争では賠償金は得られなかったものの、南満州鉄道朝鮮半島を得た。第一次世界大戦では日本は「大戦景気」と呼ばれる空前の好景気に沸いた。戦争が終結すると、この好景気が終了する。そして「もっと戦争を!」と求める欲どおしい勢力がこの後発生する。
さて、第一次世界大戦開始時は、「帝国」がたくさんあった。ところが「帝国」というのは実は弱い。なぜなら、「帝国」は「皇帝」の私物であり勝っても負けても「皇帝」に関係があるだけで、奴隷同然な兵士には関係ないからだ。だから「帝国」の兵士は真面目に戦争しない。「帝国」と「共和国」が戦争すると、「帝国」が負ける。共和国では兵士たちは自分の財産と権利を守るために戦うから、自分のために戦うから、一生懸命戦う。ナポレオン時代のフランスが連戦連勝だったのはそれが理由だ。
で、皇帝のボケナスのためになんか戦争してられっか、メシ食わせろ、とまずロシアで革命が起き、ロシア帝国が消滅してソ連になった。さらにドイツも負けて、皇帝はよその国に亡命して、ドイツ帝国も倒れた。オーストリア=ハンガリー帝国も倒れた。
ところでみなさん、「スター・ウォーズ」のこういう曲を知っているかな? てーてっけてー、てっけてーてっけてー、というアレだ。アレには歌詞がある。歌ってみよう。♪帝国は実は弱い、戦艦は実は脆い
ロシアは広い国だ。実は日本のお隣だ。ロシア革命を見て、大日本帝国の皇帝である天皇の側近たちはびびった。やばい、ロシア革命が成功したら、大日本帝国も倒れるかもしれない、ロシア革命を潰せ! と、シベリア日本兵を出兵した。つごう7万人。これが「シベリア出兵」だ。
7万人の派兵をするなら7万人の衣料・食料が動く。7万人を運ぶために船も必要だ。戦争は「公共事業」だ。兵士の食料は必ず必要とされる。食料とはつまり米だ。商社や米商人たちは、米の買占めに走った。その結果、市場から米がなくなり、米の価格が暴騰した。米価格の暴騰に怒った富山県のおばちゃんたちが起こしたのが「越中女一揆」、すなわち「米騒動」だ。
さて1925年にラジオ放送が開始する。「戦争は儲かる」と浮かれた欲どおしい人々が、ラジオで「戦争は儲かる、戦争しよう!」と放送して煽った。そして欲をかいて1931年に日中戦争を開始し、1945年に日本はスッテンテンになるわけだ。
ところで1922年に成立したソ連は1991年に崩壊する。わりとつい最近のことだね。だから大正時代というのは、現代と深い関係がある。ソ連は「社会主義」を名乗ってた。戦争は金持ちが金持ちの都合で起こす、そんな世の中じゃいけない、貧乏人のための世の中を作ろう、という考え方が「社会主義」だ。でもソ連は実際には国の人間をみんな貧乏にして、スターリンだけが金持ちという国になった。ソ連タテマエだけの国だったから、こういうタテマエだけの国っていうのは自分の国のことを自分で把握する力がなくなり、弱くなります。だから崩壊しました。
関連
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20061013#1160682695■[雑記][塾]万葉仮名と日記文学、音訓の法則
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060914#1158180923■[メモ][現代史]太平洋戦争開戦史コンパクト/「これはひどい」将校列伝

ぽちっとな