カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

創作/シドニーでの安倍晋三

安倍晋三「辞任」は、9月8日シドニーでのAPEC首脳会議が、大きい転機だった。http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2007/09/post_f99e.html http://blog.goo.ne.jp/longicorn/e/9a05d97af56d1abac1e976fd010e8c7f…おそらく、アメリカから「テロ特措法を継続できないのなら、お前はもういらない」と言われたのだろう。以下のようなことがあったのかなあ、と想像する。
〔以下創作〕
国内での参院選選挙結果は惨敗だったが、安倍晋三は継投することを宣言し、外遊を続けていた。「選挙に負けたのはボクのせいじゃない」安倍晋三は心の底からそう思っていた。ママからもそう言われていた。アメリカ政府から最も信頼されているのは、岸信介の血を引く自分なのだという自負もあった。国内では選挙の惨敗という耐え難い現実を思い出さざるを得ないが、海外ではそれを忘れることができた。「ボクの本領は外交にあるんだ」安倍晋三は心底そう思っていた。もちろん安倍晋三を接待する他国の元首や外交官たちは、「日本」の総理大臣を最大級にもてなしていたわけだが、安倍晋三は「岸信介の血筋の安倍晋三、すなわちボクちゃん」だからもてなされているのだと思い込んでいた。
とはいえ、選挙に惨敗した後の外遊での待遇はやや空々しい空気が漂っていた。安倍晋三の政治的実力を他国政府は安倍晋三自身よりはるかによく判っていた。他国から見ると安倍晋三はすでに死んだ政治家であり過去の首相だった。だが、人間の機微というものを生まれてから一度も理解したことのない安倍晋三は、もちろんそんな空気を全く理解しなかった。理解はしないが、APEC首脳たちの安倍晋三への態度が、安倍晋三が期待したほど格別なものではなく、どこかしら空々しいものであったことを、なんとなしに不快には感じていた。安倍晋三は自分自身の脳のできが悪いことへの自覚はなかったが、軽蔑されていることにだけは、それなりに敏感なところがあった。深層心理の奥底で自分が軽蔑に値するほどの低能であることを薄々気づいていたとも言える。だがそれが安倍晋三の思考の上層に浮上することは決してなかった。「自分は一人前の男であり、国民的人気者であり、有能な総理なのだ」安倍晋三は自分をそう信じたかった。参院選での惨敗は、安倍晋三の自己イメージをズタズタに傷つけていた。もちろん粗雑な脳のつくりの安倍晋三は何一つ自己分析していなかった。
ノックの音がした。「ヘイ、ミスタ・プライムミニスタ・エイブ」懐かしい顔だった。安倍晋三がアメリカに留学していたhttp://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060102#1136210587とき、一緒によく遊んだケビン(仮名)だった。今はホワイトハウスの外交部門の重役だ。「うちのプレジデントと話をする前に、打ち合わせがあるんだ。多忙なのは知っているけど、少し時間をとってくれるかい? ミスタ・プライムミニスタ?」
「かまわないよ」安倍晋三は日本語で言い、喜んで部屋へ招いた。ケビンは流暢な日本語を話す。通訳は不要だった。だから英語を全く喋れない安倍晋三はアメリカ留学時代、ケビンを通訳代わりにしていた。安倍晋三が首相になれたのも、アメリカとのパイプ役としてケビンが働いてくれたからだ、と安倍晋三は少しは思っていた。「働く」という概念が安倍晋三の脳では理解不能だったが、首相という激務を経験して、初めてその言葉の意味が安倍晋三にも少し判りはじめていた。
「実は今日は、あまり楽しい話じゃないんだよ、エイブ」ケビンは学生時代と同じように、安倍晋三のことを「エイブ」と呼んだ。ABEの英語読みだ。「インド洋での日本軍による我が軍への給油活動、我々はそれをたいへんに感謝している。それが日本の憲法に抵触しかねないことも我々は判っている。そこを押して給油活動をしてくれていることへは、個人的に感謝をいくら述べても足りないくらいだ」ケビンはそう言った。
「あはは、感謝されるほどでは」安倍晋三は笑った。ケビンが慎重に「個人的に」と言い、アメリカ国家が感謝していると言っているわけではない、と仄めかしていることへは全く気づかなかった。
「『テロとの戦い』の上で、日本軍による給油活動は、欠かすことができない。それはエイブ、君にもわかっているだろう?」
「もちろん」安倍晋三はニコニコと答えた。
ケビンはため息をついた。「エイブ…このままではテロ特措法の期限が切れて、日本軍が帰還しなくてはならないことを、君は判っているのかい?」
安倍晋三はキョトンとした顔をした。ケビンが何を言っているのか判らなかった。
ケビンはさらに深くため息をついた。「気づいてなかったのか。判ってなかったのか? いいかい、日本軍が給油活動をするには日本国内法・テロ特措法を延長しないとダメなんだよ。」
臨時国会で延長するよ、心配要らないよ、ケビン」
「なあエイブ、期限がいつ切れるのか逆算していなかったのかい? 臨時国会開催前にテロ特措法延長について手を打たなければ、衆院で仮に再可決しても、時間が足りないんだ。そのことを君はわかっていなかったのかい? いったい、選挙から今日まで、君は何をしていたんだい?」
安倍晋三はもちろん何もしていなかった。だが何もしていなかったと答えると自分がまるで低能であるかのような気がするから、そうは言わなかった。「選挙以降、色々多忙で… なにしろあんな結果だったから… でも、心配ないよ、必ず間に合わせる」安倍晋三は根拠なく断言した。きっと誰かがうまくやってくれるはずだ、と安倍晋三は思った。
「どう間に合わせるって言うんだ? 小沢一郎をテロ特措法延長に賛成するよう説得するとでもいうのか?」
そうか、そうすればいいのか、と安倍晋三は理解した。「そうだ。小沢一郎を説得する。そうすれば問題ない」
ケビンは眉間に皺を寄せた。「なあエイブ」ケビンの声はやや苛立っていた。ABEのBの発音が破裂音になり、APEエイプと発音しているように聞こえた。「君とアメリカは友達だ。アメリカは君を信頼している。だが小沢一郎とはアメリカはすでに交渉しているんだ。そして小沢一郎はテロ特措法延長に反対すると既に述べている」
「ボクはテロ特措法延長に反対しないよ」
「当たり前だ。…いいかい、エイブ。我々と君は長いつきあいだ。…我々は内政干渉はしない。とはいえ君の国の中の人間が我々に協力すると申し出ることを我々は拒まないし、我々の協力者の応援を我々は惜しまない。だからエイブ、君の総裁選で我々は君に最大限の応援をした」
参院選でも応援してくれればよかったのに」すねたように安倍晋三はケビンに言った。ケビンの目はひどく冷たく硬質だった。安倍晋三は慌てて媚びるような表情になった。
ケビンは続けた。「我々は内政干渉はしない。だがエイブ、君は友人だ。応援はしたよ。とはいえ君が従軍慰安婦の件で君の子分を止めることができなかったから、我々としても意見が割れてね…」http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20070505#1178297065
「ボクは止めようとしたんだよ」安倍晋三は慌てて言い訳した。
「止めようとして止めることができなかったのならば君は統率力が欠けることになるわけだが」
「あはは、実は新聞に載ることを知らなかったんだ」安倍晋三は笑ってごまかそうとした。
「そんな話はどうでもいい。エイブ、君がアメリカの友人であることを我々は知っている。だが小沢一郎とアメリカも、これはこれで長いつきあいだ。小沢一郎もアメリカの友人だ」
「でも小沢は特措法延長に反対だし、国連中心主義だし」
「いいかいエイブ、我々の文化では嘘をつかれることを最も嫌うんだ。できないことをできないと言う人間とは交渉ができる。だが嘘つきとは交渉ができない。キリスト教では嘘つきは地獄に堕ちるとされている」
「ボクはアメリカに嘘をついたことなんてないよ、そうだろケビン」
ケビンは冷ややかな目で安倍晋三を見たままだった。「…小沢一郎とは交渉できる。…我々は何も君一人に依存しなくてはならないわけではないのだ。君ならテロ特措法を延長するためにベストを尽くしてくれるだろうと我々は期待した。その期待は裏切られた」
小沢一郎を説得するよ。テロ特措法を必ず延長させてみせる。」安倍晋三は必死に訴えた。
「エイブ、繰り返すが我々は嘘をつく人間を相手にしない。言葉より行動で示してほしい。我々は嘘つきをパートナーとは認めない。我々は我々との約束を守れない人間には、それ相応の報復をする」
「信じてくれ、嘘は言わない。総理の職をかけてもいい」
「…エイプ」はっきりとPの発音でケビンは言った。「君の総理の職は我々が君に預けたものだ。総理を続けるかどうかは君が決めることではない。我々が決めることだ」
安倍晋三の上唇がめくれあがり、ヒクヒクと震えた。
「エイブ、最後に友人として忠告する」猿を友人に持ったことなどないけどな、とケビンは思った。「友人」という言葉で安倍晋三の表情は滑稽なほど緩んだ。安倍晋三に友人などいなかったからだ。「エイブ、我がアメリカはアメリカのためにならない他国の政治家をいつでも始末できる実力を持っている。そのことを一番ご存知なのは、君の祖父であり、君の母上だ。母上によく聞いておくんだな」
安倍晋三は今にも泣き出してしまいそうな表情になった。ケビンは言った。「では打ち合わせは以上だ。わが国のプレジデントに恥をかかせるなよ。グッドラック」
〔以上創作」
まあこんなことがあったんじゃないかなあ、と想像する。以上、安倍晋三が「総理」を辞職し、低能の安倍晋三が「総理」であるという未曾有の国難が一旦終焉したことを記念し、ここにアップする。
関連 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060904#1157315402

[09/25 5:40]

あ、今になって思い出したけど、従軍慰安婦関連では安倍晋三自身がアメリカを激怒させるバカ発言を連発したんだった。この辺、時系列的に整理しなおして考える必要があるな。…「創作」もそこを書き直すべきだけど、検討するのに時間と手間をかけるべきだろうから、上記「創作」はとりあえずこのまま置いておく。

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