「進歩と改革」/アニメ産業論
以下、コミケ参加の前日に徹夜して描き上げた。
アニメ産業論 鎌倉圭悟
この原稿が載る頃には選挙結果が出てますね。良い結果となっているといいなあ…
ところで日本のアニメ産業ですが、世界のアニメの六五%が日本製だと聞きます。ハリウッドの規模に匹敵します。経産省もアニメを次期基幹産業と位置づけていますが…
二十年前の日本には五千人のアニメーターがいましたが、現在は千人しかいないと聞きます。日本のアニメーターの生活が苦しすぎるからです。
平成十九年の日本の一世帯あたりの平均年収は五五六万円、この八年間で平均年収が百万減ったとニュースになりましたが〔二〕、日本のアニメーターの三十歳代の平均年収は二一四万円〔三〕。…平均世帯の三八%… これは貧民です。共稼ぎしても子育ては苦しげです。アニメーターの所得の厳しさは二十年以上前から言われてますが、全然改善されていません。
聞くところではフランスのアニメーターは住宅と基本給を国が与え、無税とのこと。芸術を保護しているわけです。
関連まで含むと日本のアニメは二兆円産業とも言われます。
韓国では国策でアニメ産業振興を二〇〇一年から行い〔四〕、中国ではアニメ産業への減税免税を行い育成し、二〇〇八年十月には河北省に中韓アニメ漫画発展基地が起工されました。〔五〕
アニメは原画を元に動画を人海戦術で描く必要がありますが、日本の動画家の生活は苦しすぎ、韓国や中国へ下請けされています。これによりアニメ産業の空洞化が進行しています〔六〕。今後数年が臨界点と思われます。
「アニメの殿堂」に一一七億円かけるのなら、日本のアニメーターに住宅手当を与えるべきです。ましてやマンガ規制アニメ規制なんて…〔七〕〔二〕2009年5月21日16時23分配信 産経新聞 厚生労働省「20年国民生活基礎調査」から。
〔三〕http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0905/28/news016.html 日本アニメーター・演出協会(JAniCA)開催、2009年5月22日、東京大学「JAniCAシンポジウム2009」
〔四〕http://animeanime.jp/biz/archives/2009/05/5_8.html
〔五〕http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/0811/20/news058.html
〔六〕動画家 → 原画家 → 作画監督 というように「出世」する。動画家の新人が枯れてしまうと、業界が枯れる。そして事実枯れてきている。
〔七〕児童ポルノ法改悪など。