カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

我が老母様の悪癖

1

我が老母様にはいくつか変な癖があるが、その一つは「蓋が嫌い」というものだ。
「蓋」という機能を嫌っていて、蓋を機能不全にしたがり、捨てたがる。
客に貸すための鍋がいくつかあるのだが、老母様が蓋をお隠しになられたので、客に貸すことができず、客から鍋を要望された私がムダに疲労する。
ていうか、読んでいるブログ読者さま方も、「蓋が嫌いって、それどういうこと? 意味判らない」とお感じになると思われるだろうが、その意味不明感は私や嫁が日々感じていることで、蓋という名のつくものをことごとく捨てたり隠したり壊したりするという意味不明な悪癖を我が老母様はお持ちになられ、我が家並びに我が店から蓋と名のつくものが刻々消えていく。
なんちゅうか、想像しにくいと思うけど、これって、不条理マンガ的趣があるでしょ? マンガのアイデアノートを作っていて、「もしも『蓋を嫌う人間』がいたら」というアイデアからどの程度連想湧きます? あまりわくわくしないテーマだから俺なら自主没するネタだけど、我が老母様はそのテーマを延々実践なさっていらっしゃる。密閉も老母様は当然にお嫌いなようなのだが、だからある種の閉所恐怖症なのかと思うんだが、まあ、老母様の言動の不条理さは意味判らないであります。
老母との生活は、そういう不条理に耐え続ける苦行であります。

2

老母様の他の悪癖に、人が最も頻繁に通る、そこしか通り道がない、というところに、物を置きたがる、という悪癖がある。
嫁が分析するに、この悪癖は、猫が捕まえたネズミを人間の通路に置きたがるのと同じ習性で、「私は今働いています」「私は働きました」というアピールなのだろう、とのことだ。たしかにその解釈は筋が通る。だが通路を遮蔽するように物を置かれるのは邪魔くさいことこの上なく、毎回その障壁を排除しなくてはならないという無駄な作業を人に課しているのだが、我が老母様は老母様のそういう行いを私が褒めずに邪魔くさがり毛嫌いしていることに憤慨なさる。
早くお亡くなりになってくださればいいのに。

3

通りに道に物を置きたがる、という悪癖から連想して思い出したが、老母様は特に、濡れた、不潔なものを、通り道に置くのを好む。生ごみ的なものとか、濡れた雑巾とか。水の入った何かとか。人が無意識に歩くと、踏んづけて、ぬるっとした不快感を覚えたり、水をムダにまき散らしてしまったり、壊してしまって濡れた何かにしてしまったり、蹴飛ばしてぶっ零して不潔な汚水まみれにしてしまいそうな、そういうものを通り道に置きたがる。
意味判らないでしょ。
我が老母様との生活はそういう不条理に耐える生活だ。なぜ私はこんな苦行を今までもこれからも続けにゃならないのか意味判らない。
書いていて思ったけど、我が老母様の行動って、ちょっと恐怖小説的な趣があるな。幸いにかどうか知らんけど、嫌悪感は感じても恐怖は覚えない。が、老母様が認知症になられたら生活がきついだろうなあ。とにかく老母様より私の方が何日であろうと長く生きないと、嫁が可哀そうだ。老母より長く生きられますように。

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