カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「LRAの法理」、「明白かつ現在の危機」、表現規制の基準

以下メモする。法学的な「表現の自由」の制約基準。

「明白かつ現在の危機」 clear and present danger 〔法律学用語〕

 アメリカの判例理論 clear and present danger で、1919年の合衆国最高裁判所の判決でホームズ裁判官によって定式化されて Schenck v. United States,249 U.S. 47(1919) 以来、「表現の自由」(「集会の自由」を含む)を規制する立法及び処分の憲法適合性の判断の基準として判例法上発展してきた。
 表現の自由の行使によって、重大な罪悪が生ずるという緊急の切迫した危険があって、他の手段ではその発生を防止できず、しかも、表現行為と害悪の発生との間に、不可避的な密接な因果関係のある場合にだけ、表現行為の制限が許される」というのがその内容である。
 合衆国裁判所は、その後この原則を厳格に適用したが、その背景には、民主主義社会における表現の自由の重要性に対する深い認識があったといえよう。しかし、朝鮮戦争以来、表現の自由の濫用は国家的利益を損ねるとの主張の下に、この原則は大きく後退したが、暴力行為の扇動については、無法行為を引き起こすような差し迫った状況にある場合を除いては、表現として保護されるという、1969年のブランデンバーグ判決 Brandenburg v. Ohio ,395 U.S.444(1969) の定式に引き継がれている。
 日本では、この原則の採用を説く学説があり、下級審の判例中にも、これを採用したものがあったが、最高裁判所判例はこの採用に消極的である。
  出典;『法律学小辞典』(有斐閣、1994年)1159-1160p。

LRAの法理(基準)

LRA(Less Restrictive Alternative)の法理(基準)とは、人権規制立法の手段審査に関して用いられる基準の一つで、当該目的を達成するためにより制限的でない他の選びうる手段が存在しない場合に合憲とする基準をいう。「より制限的でない他の選びうる手段の基準」ともいう。
例えば、デモ行進の実施には役所の許可が必要であるとする公安条例があった場合に、この制限は公衆の安全・秩序の確保を目的とするから目的は正当だが、許可制より緩い届出制でもその目的は達成できるので、この条例は表現の自由に対する過度の規制であり違憲である、という具合である。
表現の自由に対する内容中立規制などの立法の審査基準として有用とされる。日本では、裁判所においては表現の自由の規制の違憲審査に「LRAの基準」が使用されたのは下級審の裁判例においてのみである。
wikipedia:違憲審査基準

以上メモする。最高裁判例では上記基準は実態として採用されていないらしい。実態を誤りと解したり、理念的基準と解したりするべきかな。

感じるところのあった同志は   にほんブログ村 政治ブログへ  をクリックされたし。