カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

ネティズン極右的な言論は「生長の家」などのカルト的な宗教団体が反動的な政治家と組んで組織的に展開している

以下、メモする。

http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/FEATURES/2005/link3.htm

日本におけるオーマイニュース・モデル成功の条件 市民参画型ジャーナリズムを創出するために

2005年2月23日 浅野健一(ジャーナリスト、同志社大学教授)

日本は米国の植民地

「日本の主権が侵された」というフレーズは、02年9月17日に朝鮮の金正日総書記が日本人拉致を認めて以来、よく使われてきたが、日本は本当に主権国家なのかという問い掛けがいま必要ではないか。
04年8月13日、沖縄県宜野湾市にある沖縄国際大学本館ビルに米軍の輸送ヘリ(全長25メートル)が激突、墜落炎上した大事件があった。米兵が沖縄県警、報道関係者や住民を完全に排除した。大学の学長も構内に入れなかった。〔略〕大事件なのに日本本土の企業メディアの扱いはきわめて小さかった。〔略〕巨人軍の「渡邊恒雄オーナー辞任」のニュースにかき消された感じだった。〔略〕
04年10月22日、自衛隊と詐称する日本国軍のサマワ基地にロケット弾が着弾したことを、防衛庁が発表したのは発生から8時間後だった。その後も19時間も隠蔽した。派兵された自衛隊員の数さえ報道できない。軍と警察が情報統制を強める中で無抵抗の大新聞、通信社、放送局。
イラクにいるメディアは共同通信NHKだけ。〔略〕サマワからの自衛隊の「活躍」に関する写真はすべて陸上自衛隊提供だ。ジャーナリズムの責任放棄である。
日本ではかつては、朝日・毎日が進歩的で、読売・産経・日系が保守という区分けがあった。ところが、朝日・毎日の読売・産経化が急速に進み、朝日は01年、護憲派論説委員を一掃した。
04年10月のイラクでの香田証生さん殺害事件では、沖縄の二紙と北海道新聞を除く新聞社が香田さんを「軽率」「無謀」と非難し、「日本人殺害事件と自衛隊イラク派遣を切り離せ」と主張した。「週刊朝日」「アエラ」は「週刊文春」と酷似してきた。自衛隊派兵そのものは是と強調している。  
日本のジャーナリズムは瀕死、危篤の状態、1960年の7社宣言。89年、昭和天皇の死に「崩御」を使用。朝日が01年11月、米軍のアフガニスタン空爆を「限定的なら支持」と表明。04年元日、毎日新聞イラクへの自衛隊派兵を完全支持。 

極右政治家安倍晋三氏を擁護するメディア界

日本の報道界が一斉に右傾化する中で、再び、朝日対読売という構図が一時的に復活した。歴史問題にかかわる「言論抑圧」問題が起きたからだ。〔略〕日本の極右勢力と御用メディアは、歴史を改竄してきた。そのリーダーが安倍晋三・現自民党幹事長代理(東京裁判A級戦犯岸信介氏=東条内閣の商工相=の孫)である。
〔略〕朝日新聞は1月12日、NHKが2001年1月に放送した「裁かれた戦時性暴力」の番組改竄事件で新事実を報じた。本田雅和、高田誠両記者の署名入りだ。〔略〕中川昭一・現経産相安倍氏(当時、内閣官房副長官)が放送前日にNHK幹部と面談して「偏った内容だ」などと指摘していたことが分かった。〔略〕番組制作にあたった現場責任者が昨年末、NHKの内部告発窓口である「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に「政治介入を許した」と訴え、調査を求めていた。
〔略〕四年間も悩んだという長井暁チーフ・プロデューサー(NHKの現場制作責任者)が実名と顔を出して記者会見して、朝日新聞報道を裏づけ、「NHKが海老沢会長体制になって以降、権力の介入を恒常的に受け入れる体質を作ってきたことが最大の問題」などと批判した。
〔略〕読売、産経、新潮社などの御用メディアは「女性国際戦犯法廷」そのものを貶める作戦に出た。〔略〕

準備された市民が稀な現代日本

〔略〕日本の若者には仕事が不足して高度経済成長の時代に比べると政治からあまり恩恵を受けていないのだが、逆に「左翼」を忌み嫌い、内向きに、偏狭なナショナリズムに魅せられ、安倍氏のような右翼、ブッシュの米国のような弱肉強食のパワーポリティックスを評価している。書店には、韓国や中国を貶めるような人種差別主義の本がいっぱい並んでいる。〔略〕
とくに歴史認識が1930年代と酷似してきた。
日本のネティズンの特徴は国家主義的であり、歴史認識が反動的だということである。
ネット上でも、言論の主流が歴史修正主義者によって担われている。国家や大企業による犯罪、反人民的な行為はあまり取り上げられず、凶悪犯罪で捕まった市民の本人、家族を中傷、侮辱する言論が花盛りだ。大学生の反動化も悲惨なほどである。
 ネットでの「表現の自由」は活発なのだが、〔略〕社会科学をきちんと学ぶ若者がほとんどいないので、日本人にとって耳障り〔「耳当たり」の誤り〕いい言説に強く影響されるのである。
 ネティズン極右的な言論は自然発生的な面もあるが、生長の家」などのカルト的な宗教団体が反動的な政治家と組んで組織的に展開している。〔略〕
 私は日刊ベリタの設立に参加し、現在は論説委員をしている。ロンドン特派員として記事も書いた。まず、専任スタッフが一人しかいない。事務所もない。
 有料制だが、日本の市民は情報をただで入手できると考えているので、なかなか金が集まらない。あるネット新聞は、IT業界から資金を提供されて運営している。ひもつきだから独立メディアと言えない。〔略」