カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

国会方面へ送った意見書/児童ポルノ法

mixiで作った意見書と一緒に国会方面へ持っていった、AMIが作成した「児童ポルノ法」の意見書を以下資料として置いておきます。以下、文面。

児童ポルノ禁止法での単純所持規制に反対します!

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児童ポルノ法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)とは?
「児童買春・児童ポルノ禁止法」(正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」)は、実在する18歳未満の児童の人権を守るための作られた法律です。子どもへの商業的性的搾取、アジアでの子ども買春などの国際犯罪を取り締まる事への国際的な要望によって1999 年に制定されました。2004 年に一度改正されており、現在のところ実在する児童を対象とした買春や性的な虐待およびそれらへの斡旋、実在する児童をモデルとした性的な動画や画像の撮影、複製、頒布、提供などが処罰されます。そして、本年2008 年に再び改正の時期を迎えました。

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単純所持規制とは、児童ポルノを「覚せい剤」等と同様の禁制品に指定するということです。しかし覚せい剤等と違って、児童ポルノは定義が曖昧な点があります。このような不明確な禁制品は、恣意的な摘発の可能性に繋がります。「覚せい剤」が何かは化学的な分析などにより、客観的に特定することが可能です。しかし、児童ポルノはそうではありません。児童ポルノ法2条3項3号には「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という主観的な観点で、児童ポルノを定義しています。単純所持規制を導入した場合、非常に曖昧な禁制品を創設してしまうことになり、恣意的な捜査に繋がりかねません。例えば以下のような運用が考えられます。

1;当人が存在を知らずに、児童ポルノを所持していた場合(古い書籍に掲載されたヌード写真や、パソコンのハードディスク内など。特にハードディスクへは外部から画像ファイルを入れることも可能です)。
2;当人が被写体の人物を児童とは知らずに、所持していた場合の所持。
3;親族によって撮影された子どもの裸の所持。
4;現行法下で合法的に流通している、子どもの裸の実写画像を含む作品の所持。
5;検挙実績を上げるための、強引な摘発。

例えば、特定政治家へのスキャンダルを捏造したいと考えた場合、1を利用することは充分にありえます。さらに単純所持規制を導入しているアメリカやイギリスでは、実際に次のような事件が発生しています。

◆ 裸で浴槽につかる幼児の写真を見たフィルム現像業者が、当局に通報、母親は尋問された。
◆ 非常に古い違法化される前に撮影された写真の所持を、犯罪とみなした。
◆ 子ども時代に虐待された経験を著者が、自伝執筆するため参考として児童ポルノサイトへアクセスした結果、逮捕され起訴された。(2003 年英)
児童ポルノ摘発の大規模な捜査の際に、社会的地位を失った逮捕者から32人もの自殺者が出た。この自殺者の多くが妻帯者だった。さらに誤認逮捕もあり、この捜査を疑問視する声も上がっている。(2004 年英)
FBIがおとり捜査をした。自ら、児童ポルノの偽装リンクをつくり、クリックした者を強制捜査し検挙した。(2006 年米)

〔注1〕

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現状でどの画像が児童ポルノにあたるのか、あたらないのか、判然としません。「何を所持してはいけないのか、何を所持してもよいのか」という、極めて基本的なことが不明確なのが現状です。処罰の必要性について、「インターネット上での公開は海外からでも閲覧できるため、日本からの画像流出が問題視されている。」(2008 年3 月9 日読売新聞)、「児童ポルノは、ネットで複製した画像や動画が多数出回っており、これらは海外のサーバーを経由しているケースが多い。このため、発信源となっている所有者を摘発するのが難しいという。」(2008年03月04日朝日新聞)との報道がなされています。
しかし、アップロードされている画像についても(児童ポルノ法7条4項違反)、アップロード目的で所持されている画像についても現行法で摘発可能です(児童ポルノ法7条2項違反)。あえて恣意的な摘発の危険性のある法改正を冒す必要性はありません。また、上記のような問題点があるばかりに、真に規制すべき違法な児童ポルノの検挙が、難しくなってしまう危険性すらありうると危惧します。
制作:NGO-AMI

漫画やアニメの違法化は、児童保護には繋がりません! 被害児童を救済するために、「個人法益」に徹底すべきだと考えます。

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下、「児童ポルノ禁止法」)の改定が近づいています。「(財)日本ユニセフ協会」(以下、日本ユニセフ)は「子どもポルノ問題に関する緊急要望書」を提出し、漫画やアニメ、ゲームを規制すべきだと主張しています。しかしその要望書にはいくつもの問題があります。
■「児童買春・児童ポルノ禁止法」とは?
「実在する18 歳未満の児童の人権を守るため」に作られた法律です。子どもへの商業的性的搾取、アジアでの子ども買春などの国際犯罪を取り締まることへの国際的な要望によって1999 年に制定されました。2004 年に一度改正されており、実在する児童を対象とした買春や性的な虐待、それらへの斡旋、実在する児童をモデルとした性的な動画や画像の撮影、複製、頒布、提供(それらの目的の所持)などが処罰されます。本年2008 年に再び改正の時期を迎えました。

1  漫画やアニメなどを「児童ポルノ」として規制する事の問題点。

■児童の人権保護という本来の目的から、社会性風俗取締りの法に変わってしまいます。今回の改正の中で特に大きな問題となっているのが、単純所持規制と性的な漫画やアニメの規制です。日本ユニセフは要望書の中で「被写体が実在するか否かを問わず、猥褻な」漫画やアニメなどを『準児童ポルノ』として、規制するよう求めています。
しかしこれは児童ポルノ禁止法の本来の「性虐待にあった児童個人の権利を保護する」という目的から、大きく逸脱します。
そもそも児童ポルノが問題なのは「児童が性的虐待にあった結果、生じる成果物」だからです。性虐待によって心身を傷つけられ、人権を侵害された実在の児童がいるからこそ、その救済がこの法の目的となっているのです。
しかし漫画やアニメなどの架空の創作物にはそもそも人権も無く、被害者も存在しません。また実在する児童の人権が侵害されることもないのです。それにも関わらずこれらを規制対象にするという事は、実際に人権侵害が生じたかに関係無く、漫画やアニメで描かれた表現が猥褻か否かだけで、児童ポルノと判断するという事を意味します。これでは児童ポルノ禁止法は、児童の人権保護の為の法から、社会性風俗取締りの為の法に変質してしまいます。
日本弁護士連合会は2003 年に出した意見書の中で、この様に指摘しています。

本法の保護法益は、実在の子どもの権利である。児童ポルノコミック規制を本法により行うことは、本法の保護法益を刑法のわいせつ物陳列、頒布、販売罪の保護法益である「善良なる性風俗」に対象範囲を広げることになる。これは本法の目的をかえって曖昧にし、子どもの権利保護の実施を後退させる危険をはらむ。また児童ポルノコミック規制により、児童の性的搾取、性的虐待が減少するという証明はない。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」見直しに関する意見書より

また日本では保護法益を「児童の人権保護(個人法益)」に徹底していないため、被害児童の救済が放置されている状況があります。例えば99 年の施行以降、何人の被害児童をどう保護したのか、警察はカウントもしていませんし、第16 条にある「心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備」という項目は、全く実現されない空文と化しています。
改正は漫画やアニメの規制の是非ではなく「救済されない被害児童」をどのように救うか、議論をするべきです。
■漫画やアニメに対する検閲法に変わってしまいます。
日本ユニセフは要望書の中で「アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合も、これ(準児童ポルノ)に含む」とし、18 歳未満の児童に見えるものは全て規制せよと主張しています。ですが、ここにも大きな問題があります。
まず下の絵をご覧ください。〔画像省略〕
何歳に見るでしょうか? 実は3が児童で、あとは成人として描かれたものです。描かれた絵が18 歳未満か18 歳以上か、一体誰がどうやって判断するのでしょうか? もし児童ポルノ禁止法が日本ユニセフの要望書どおりに改正されれば、執筆者が成人のつもりで漫画やアニメを描いたにも関わらず、警察に「18歳未満の児童に見える!」と言われれば、そこで逮捕されるのです。当人には児童性虐待の意思も意図も無いにも関わらず、児童ポルノ禁止法違反者として、その後の人生を送らねばならなくなります。これでは検閲と一体何が違うのでしょうか?
この様に日本ユニセフの要望は、法の拡大解釈や濫用をもたらすだけでなく、児童ポルノ禁止法の本来の目的を歪め、冤罪の温床や検閲のための法案に変えさせる、大変問題のあるものなのです。

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Q1:日本は「児童ポルノ大国」なのでしょうか?
A1:いいえ、違います。日本は「児童ポルノ大国」でも「大量消費国」でもありません。イタリアの児童保護団体「テレフォノ・アルコバレーノ」の2007 年調査「国籍別の小児性愛者サイトのユーザー・訪問者数」(2007年度)によると、G8諸国の中でも日本は最も少ない国であるという調査結果が出ています。

アメリカ(22.82%)、ドイツ(14.57%)、ロシア(8.39%)、イギリス(7.02%)、イタリア(6.14%)、フランス(3.56%)、カナダ(3.16%)、日本(1.74%)

では発信はどうでしょうか? 国別「児童ポルノサイト数」2007年度では、日本はアメリカの約8 分の1、カナダの約3 分の1と、全体の1%程度でしかありません。

世界全体の総数(39418)、1位ドイツ(25599)、2位オランダ(4530)、3位アメリカ(3174)、4位ロシア(1569)、5位キプロス(1514)、6位カナダ(1167)、 7位日本(457)

一般に言われている「日本は児童ポルノの消費大国」「日本は児童ポルノの輸出大国」という言説は、全くのデマなのです。
Q2:18歳未満の性的描写を描いた漫画やアニメ等は欧米諸国で規制され、日本にも世界中から要望されていると、日本ユニセフは主張していますが?
A2:いいえ。そうした規制を行っているのは、ごく一部の国だけです。確かに日本ユニセフが言うようにスウェーデン、カナダ、米国(連邦法)は漫画やアニメを規制しています。ですが、スウェーデン憲法表現の自由に制限を付けている国(スウェーデン統治法典第2 章第13 章「表現の自由および情報の自由の制限」)で、日本とは大きく事情が違います。
カナダは日本では誰でも自由に読める探偵漫画ですら刑法で禁じているという、世界でも類を見ない漫画規制大国です。(例えば『金田一少年の事件簿』はカナダでは規制対象になります)

〔資料〕カナダ刑法163 条
(7) 本条においては「犯罪コミック」とは次のいずれかを内容とする絵画化された雑誌、定期刊行物、または図書を意味する。
(a) 事実にせよフィクションにせよ,犯罪の実行を扱うもの
(b) 犯罪の実行の前後を問わず,事実にせよフィクションにせよ,犯罪の実行に関連するイベントを扱うもの

アメリカでの連邦法による規制は、過去に違憲判決が出たため、現在ではその定義を「児童に見えるもの」ではなく、「実在の児童と全く区別がつかないもの」としており、フィクションを使った絵画や漫画などは対象外である事が明記されています(米国連邦法典第18 編、第1466A 条)。
英国においても性的な漫画や「18 歳以上の成人が未成年を装うAV 」なども児童ポルノ禁止法では規制してません。「児童保護」と「わいせつ規制」を明確に区別し、日本の刑法175 条『わいせつ物頒布罪』に当たる『わいせつ物出版法』や『ビデオレコーディング法』に基づいた業界団体によって自主規制を行っています。
さらに欧州評議会の『子どもの性的搾取、性的虐待からの保護に関する条約』でも漫画やアニメへの規制は留保が認められています。
欧米諸国では児童ポルノ禁止法は「児童個人の人権(個人法益)」を守るためにあるとされ、有害なメディアを取り締まる法律とは明確に区別されているのです。
Q3:欧米各国と比較して、日本の児童ポルノ規制は遅れているのでは?
A3:日本は世界で最も規制の幅が広く、その意味では規制が厳しい国のひとつと言えます。例えば児童のヌード写真などは欧米諸国では、芸術や研究目的であれば規制対象にはなりません。しかし日本では全て規制されます。またその範囲も欧米諸国に比べ、日本の方がより幅広く定義されています。
Q4:日本ユニセフは性的な漫画やアニメが児童への性犯罪を誘発させていると主張しますが、本当ですか?
A4:いいえ、違います。日本ユニセフ自身も因果関係を否定しています。日本ユニセフ自身が引用したクエール博士の報告では、「子どもポルノをオンラインで見るということと、(実際の子どもへの)接触犯罪を犯すということとの正確な関係ははっきりしていません」(日本ユニセフ公式HP「被害者のいない子どもポルノ?」より)と、その因果関係を認めていません。
また一方で、児童性犯罪者の4 割〜8 割が子どもの画像やアニメを収集していたと主張しますが、これにはそうした画像など見ても犯罪を犯さなかった大多数の人々がいる事が全く考慮されていません。
そもそも性犯罪を犯すような人間が自らの嗜好に適するような類の画像等を集めていても不思議ではないのですから、「原因=収集、結果=性犯罪」という結論は、極めて恣意的な分析といえるでしょう。事実、性的メディアを世界でも最も厳しく規制しているカナダと日本の性犯罪発生率を比較すると、それが明らかになります。

国連調査による犯罪率統計(2002 年)
国 名  犯罪総数(件/10万人) 殺人(件/10 万人) 強姦(件/10万人) 強盗(件/10万人)
アメリカ         4118.76        5.62         32.09      145.87
スウェーデン     13836.67          2.45         24.47      100.56
カナダ          8025.37         1.67         77.64      85.13
日本           2244.39         0.59          5.49        4.07
(出典:UNITED NATION Office on Drugs and Crime 「国連薬物統制犯罪防止部」調査による各国の犯罪統計データ。URL:http://www.unodc.org/unodc/index.html )より。

もしポルノなど性的メディアに触れた人間が、性犯罪を犯すという分析が正しければ、カナダが最も性犯罪発生率が低くなるはずです。しかしながら実際にはそうではありません。さらに言えば、規制の厳しい国は凶悪犯罪の占める割合も遥かに高いのです。
Q5:例え漫画であっても、子ども達へ性犯罪防止のために「児童ポルノ禁止法」で規制するべきでは?
A5:残念ながら、全く効果はありません。日本の主要産業のひとつである、コンテンツ産業を壊滅させるだけです。一般に有害メディアを規制すれば、犯罪を未然に防止できると思われがちですが、実際に表現規制を行った国で、それが犯罪防止に効果を表した例はありません。
1954 年にアメリカでは、漫画が殺人など凶悪犯罪を誘発するという理由から、『コミックスコード』という規制を行って漫画を厳しく規制しました。しかし抑止効果は全く上がらず、逆にアメリカの漫画文化が死滅しただけという結果に終わりました。韓国でも同し理由で1997 年『青少年保護法』を制定しましたが、凶悪犯罪は減少どころか増加しました。[出典:「ニッポンマンガ論」フレデリック・L・ショット著]〔注2〕
特に日本ではポルノだけでなく、芸術や文学的な意図を持って描かれたものでも規制対象になります。そのため児童ポルノ禁止法が制定された1999 年には、紀伊国屋書店が『バガボンド』(井上雄彦講談社刊)、『ベルセルク』(三浦健太郎白泉社刊)、『あずみ』(小山ゆう小学館刊)など、文化庁メディア芸術祭受賞作品まで撤去するという事件を起こしました。この時は勘違いで済みましたが規制が現実のものとなれば、これら公式に芸術と認められた作品まで発禁となり、コンテンツ産業に与える打撃は計り知れません。(吉川英治の小説『宮本武蔵』を漫画化した井上雄彦著『バガボンド』は文化庁メディア芸術祭大賞受賞作品だが、17歳の性交シーンがあったという事で、撤去された。)
漫画やアニメ、ゲームに夢をかけている子ども達が今も大勢います。漫画を読んだり、描いたりするだけで犯罪者になってしまう世の中。これが本当に子ども達のためなのでしょうか?
制作:NGO-AMI
〔注1〕
関連情報。外務省 海外安全ホームページ vol.50 より

http://www.anzen.mofa.go.jp/jikenbo/jikenbo50.html
『とある先進国に在住の邦人一家。現地校に通っている娘さんが、作文に「お父さんとお風呂にはいるのが楽しみです。」と書いたところ、学校から警察に通報され、父親性的虐待の疑いで逮捕されてしまった。』
『家族で撮った写真のフィルムを現像に出したところ、子供が入浴している写真があるということで、警察に通報され事情聴取を受けた。』(略)
ヨーロッパやアメリカでは、風呂場はプライバシーが強く保たれるべき場所だと考えられており、たとえ親子であっても一緒に入浴することは非常識な行為で、特に父親と娘の場合は、性的虐待が強く疑われることになります。
また、児童ポルノに関する規制・処罰が厳しく、入浴中の写真を撮る等子供をポルノの対象にしている可能性があると疑われれば、警察に通報されることもあります。

〔注2〕

以上。この意見書はmixi有志に協力を仰ぎ作成したもので、mixiが作成した意見書に表現が似ているところがあります。mixi有志に感謝します。

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本日の画像は文章内容とはまったく無関係にhttp://piapro.jp/a/content/?id=n8dwfl16mz9zv0a3から。