カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

メガ・チャーチ

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宗教右翼」という言葉は元々はアメリカのキリスト教原理主義者を指す。らしい。アメリカのキリスト教原理主義は「メガ・チャーチ」により大衆を獲得し、ブッシュと結託し政治を強引した。

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メガ・チャーチ」関連

http://blog.goo.ne.jp/motoyama_2006/e/d764ca5870ee01c5132c5e2d23df150a
 メガ・チャーチとは、日曜日の礼拝に参加する人数が2000人を超える教会を指す。メガ・チャーチの特徴は、牧師がケーブル・テレビで専用の番組をもち、ベストセラーとなる宗教本を作り出し、教会内をロック・コンサートのような雰囲気に作り変える点にある。メガ・チャーチは,1955年前後に誕生したが、急成長したのは、レーガン大統領が福音派教会を利用し始めた1980年代に入ってからである。以後、年率5%の水準でメガ・チャーチは増えてきた。 とにかく、メガ・チャーチは、巨大になるのに、長期間を要しなかった。〔略〕
 メガ・チャーチは、ブームに乗ってフル操業をしている企業そのものである。食堂から喫茶店、日用雑貨店に薬局、運動クラブに各種文化的催し、等々、イベントが目白押しである。〔略〕メガ・チャーチの特徴は、カリスマ的な人気のある司祭たちが、抜群の経営センスをもっていることである。宗教上の教理への理解よりも、経営センスの方が重視されているとも思える。その証左が、メガ・チャーチの運営者の3分の1は、伝統的な教会で訓練を受けたことのない人たちであるという点にある。

http://aquarian.cocolog-nifty.com/masaqua/2004/12/post_1.html
 アメリカ政治とアメリカ・キリスト教をよく知る蓮見博昭は、近著『9/11以後のアメリカ政治と宗教』(梨の木舎、2004/10)の中で、アメリカはキリスト教国ではなくなりつつある、それが問題だ、と書いている。世論調査をすれば、80%程度が自分はキリスト教徒であるといい、50%程度が教会の日曜礼拝に行くと答え、過半数が妊娠中絶や同性愛は聖書の教えに反すると考え、ダーウィンの進化論を学校で教えることに反対する。アメリカは、最も熱心なキリスト教徒が住み、政治に強い影響力を持つ国である。そのアメリカが、じつはキリスト教国ではなくなりつつあるというのだ。〔略〕
 蓮見が、アメリカがキリスト教国でなくなりつつあるというのは〔略〕アメリカのキリスト教が、本来のキリスト教ではない、変なキリスト教に変質しつつある、あるいはしてしまったとの観察に基づいている。それはNHK の番組で、緒方や長田が、アメリカ社会の変質を言ったのと同一線上にある見方だ。
 蓮見は、アメリカのキリスト教の変貌をこのように書いている。キリスト教は地域の教会を中心に活動してきた。その教会はさまざまな会派のもとにあった。日本の仏教にさまざまな宗派があるようなものである。かつては大部分の会派が、違いがあっても概して穏健で、寛容に共存しあっていた。極論を主張する会派はあったが、それは少数だった。ところがその勢力地図が近頃めっきり変わってしまった。極論が大きな影響力を持ってきたのだ。極論とは、聖書無謬説(聖書に書かれていることは一言一句誤りがなく、言葉通り信じなければいけないとの主張、神が7日で世界を創造したとか、アダムを創造し、その肋骨からイブを創造したとか、をその通り信奉し、従ってヒトがサルから進化したなどとはとんでもないなどと主張する)をとる原理主義ファンダメンタリズム)である。福音派エヴァンジェリカル)とも呼ばれる。
 教会と信徒のあり方も変わってきた。地域に古くからある教会に属し、それを中心に地域コミュニティを形成してきた社会のあり方が変わってきた。最近では、テレビで霊感的で説得力のある説教をし、信奉者を百万人も持つというテレビ伝道師や、メガチャーチと称する何万人もの参会者を持つ組織が、影響力を持つようになってきた。それらはすべて、原理主義的なキリスト教の色彩が強い。これが既存の教派や地域の個別教会を超えて、アメリカのキリスト教会を横断的に再組織してしまった。いくつかの既存教派は、戦術家の策動によって原理主義者に乗っ取られてしまった。かつて極右に少数派として存在していたに過ぎなかった原理主義キリスト教が、今ではアメリカのキリスト教で最もアクティブな勢力となった。
 しかも「カイザルのものはカイザルに、神のことは神に」と政と教を分離してきたはずのキリスト教が、政治に影響力を及ぼすことで、地上に神の国を実現しようと図るようになった。共和党が選挙戦術として、福音派を利用するようになったことがそれを助長した。レーガン大統領の頃から、その傾向は始まっていた。2000年、ブッシュが大統領に選出される際に決定的な役割を演じた。ブッシュに投じられた票の40%は福音派キリスト教徒のものだといわれる。
 昨夜〔2004/12/22〕のNHKの番組で、メガチャーチの実態が紹介されていた。巨大な大ホールで聖歌隊などの効果的な音楽を伴って行われる礼拝に、陶酔したように参加している信者たち。一方では、ローンが払えず生活破綻に追い込まれた信者を経済的に救済するメガチャーチ草の根運動的な側面。それらはいかにもアメリカ的だが、決して健全な姿ではなく、むしろ古き良きアメリカのコミュニティが壊れてしまったことの端的な表れで、アメリカ人の抱いている不安感の一時的な救済に過ぎないと、緒方も長田もコメントしていた。
 どのようなキリスト教をまともなものと考えるかは、人によって、まちまちだろうが、少なくともこれまでの正統的なキリスト教の考えからすると、個人のレベルでも、社会や政治のレベルでも、アメリカのキリスト教は、まともなあり方から大きく逸脱したものになってきている。

http://homepage2.nifty.com/aquarian/Essay/Es030430.htm
 アメリカの、特に北東部のジャーナリストは、南部の保守的なキリスト教のことなど、ちょっと小馬鹿にしている。進化論を否定して、悪魔の存在など信じている遅れた連中だと。学校での性教育に反対し、コンドームの使用に不快感を示す連中だ。そんなこと放っておいたら、エイズ患者は野放しで増えるし、だいたい連中の反対している中絶手術をせざるを得ないケースが増えると、気がつかないのだろうか、そう思っている。ニューヨークあたりの、エリートたちが集まるパーティーで、ある犯罪が問題になるとする。「それは、犯人の不幸な生い立ちが問題だね」といった会話のなかで、「いや、それはサタンの仕業です」などといおうものなら、みんなが白けてしまうことだろう。
 ところが、アメリカ人のじつに68パーセントは、悪魔がいることを信じている、との統計がある。それに対して、進化論を信じている人は、28パーセント。神様が、聖書に書いてある通り、1週間で宇宙を創造した。われわれ人間はサルから進化したのではない。最初から特別な存在として、神様が創造したのだ、と信じている人の方が、はるかに多く、48パーセントもいる。そのことがブッシュの戦争に至る底流だと、クリストフ〔ニューヨーク・タイムズのコラムニスト〕は気がつき、われわれ北東部のジャーナリストは、そのことを忘れていた、無視していた、といっているのである。この無視されてきた保守的キリスト教は、福音的キリスト教とひとまとめにいわれる。「福音派」(エヴェンジェリカル)と、省略していわれることもある。
 「福音的キリスト教」とは、何か。〔略〕
 私は、福音的キリスト教とその信者を、二つの点で定義する。一つは、一人一人が霊的に覚醒した経験を持ち、キリストを信じ生まれ変わったと、自覚している人たち。その点を強調するキリスト者集団であること。〔略〕大人になってから、キリストが直接自分に呼びかける声を聞き、そこでこれまでの生き方を変えて、神の福音のために生きていこう、という「生まれ変わり」を経験した。そう自覚する人たちが福音派キリスト者である。
 その生まれ変わりの経験は、たとえば、エヴァンジェリストと呼ばれるカリスマ的説教者(一昔前はビリー・グラハムという人が代表的なエヴァンジェリストだった。今も何人か著名なカリスマがいるらしい)が開く大伝道集会で起きる。何千人という人を一堂に集め、魂を底から揺さぶるような説教をし、音楽が奏されるなかで、本当に悔い改めようとするものは、前に出てきなさい、というな呼びかけが行われる。最初は、おずおずと一人二人、立ち上がるが、そのうちに、何百という人が、涙を流しながら、前に出ていって、信仰を告白する。そういう機会に福音派クリスチャンになっていく。〔略〕「生まれなおした」とでもいおうか。この霊的経験を重視するのが、福音派である。
 もう一つ、私が福音派の定義として採用したいのは、聖書をそのまま、神の言葉として受けいれる、ということである。〔略〕聖書は、直接的な神の言葉である。神が、直接ある人に霊感を与えて書かせたものである。それはそのまま神の言葉なのだから、一言たりと間違いはない。そういう立場をとる人たちがいる。聖書霊感説(Verbal Inspiration)という。ファンダメンタリストキリスト教原理主義と呼ばれるのは、もともとこの一点をてこでも譲らない主義のことをいった。こういう立場をとる人たちは、聖書の言葉を歴史的に批判することなど、とんでもない、と考える。そもそもそういう態度が、教会の、そしてキリスト教社会の堕落を生んだ、と考える。聖書には、この宇宙は、神が7日で創造したと書いてある。それをそのまま信じる。現在世界は、悪魔に支配されているから、この世の中には邪悪なものが充ち満ちている。しかし悪と闘い、福音を全世界にもたらすことが、世界を救う、と信じている。そして、やがてキリストが再びこの世に姿をあらわすこと(再臨)を信じている。
 ファンダメンタリストは、いささか滑稽な側面もある。イエスが教えをのべたときに、楽器を使ったという記載が福音書にないから、教会の礼拝で、オルガンなどの楽器を一切使ってはいけない、ということにこだわる教派がある。聖餐式には葡萄酒ではなく、ブドウジュースでなければいけないとか、キリスト教信者になるための洗礼は、全身を頭まで水槽につける方式でないといけないとか、関係のないものにはいささか末梢的と思うことにこだわり、絶対に譲らない。
 こういう福音派キリスト教は、政治的には保守であり、共和党支持である。かつては、アメリカでは、政教分離がはっきりしていて、政治と宗教とは直接結びつかなかった。しかし人工中絶の是非や、ホモセクシャル容認フェミニスト運動などへの反発から、福音派キリスト教が、大同団結し、あからさまな政治活動をするようになってきた。その核となったのが、キリスト教徒連合(Christian Coalition)であるが、そのことは、またあらためて書こう。ブッシュが大統領選挙に勝ったのも、去年〔2002年〕の中間選挙で、保守が予想以上に健闘したのも、この福音派=保守派キリスト教が、まとまった政治活動をしたからだといっていい。
 ブッシュは、こういう人たちの側にいる。こういう人たちに支持されて、大統領になった。彼自身、大人になってから、神の存在とキリストの救いを、リアルに体験し、回心した人である。自分が、神の約束された聖なる国アメリカの大統領になり、世界の悪と闘うことが使命だ、と信じている人である。彼のスピーチに、しばしば、神とか、悪とかの言葉がでてくるのは、そのせいである。

クリスチャン連合http://homepage2.nifty.com/aquarian/Essay/Es030508.htm
2004/06/22米大統領選の決定的要因は「信仰」?http://aquarian.cocolog-nifty.com/masaqua/2004/06/post_13.html
2004/11/05 疑似宗教が勝った米大統領http://aquarian.cocolog-nifty.com/masaqua/2004/11/post_1.html

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