カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

都議会議員は「表現の自由を守りたい方々」に何を要望しているのか

あさの克彦都議会議員のブログに書かれていた以下の件について

http://asano-k.net/pc/modules/weblogD3/details.php?blog_id=26&cat_id=2
表現の自由を守りたい方々へ
表現の自由には、その裏側に責任も存在する。責任を果たし、青少年が健全に育成する社会環境を作り上げることに積極的に参加をすることは表現の自由を守る近道でもあるだろう。
もちろん、異論、反論もあるでしょう。ただ、手紙などを拝見したとき、実名が載せられていたことには、大きな感動を覚えました。
この問題に取り組む課程で、たとえば同人誌などで、あまりにきつい表現があり、ゾーニングを徹底するため、連絡をとろうとしてもその本には作者名も出版元も連絡先も書いてない。そのようなことも実際にあったのだということ。もちろん大部分の作者は、ちゃんとやっていると思います。
私が言う責任は、少なくても表現者は表現物に対して責任を負いましょうと。そして行政や、権力側は、基本的にタッチしない。消費者、関係者側が自主的に分ける努力を続ける。その方が、健全な社会に近いと思うんですよね。

あさの克彦都議が何を訴えているのか、「オタク」な自意識を持つ人々はイマイチピンと来ないだろうと思われるので、上記の件を少し書く。
上記の件について、以下の書き込みを拾った。

27 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:02:37 :wxwVtAna0

この都議さんは保坂さんみたいに一度コミケに行った方がいいと思う。 ゾーニングも同人誌の連絡先記載もちゃんとなされてることにショックを受けるんじゃないかと。

この場合、説明責任はどちらかというとコミケとか同人誌即売会側にあると思われる。「我々を理解しろ、我々は説明しないが。我々を擁護しろ、我々は君に説明しないが」というのは筋がおかしいと思われる。

30 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:03:17 :6EU9eLGY0

>27  でも、予備知識なくあれ〔コミケを〕みると、別の意味でクラっときそうで

36 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:05:34 tszuPOhF0

>30  そう考えるとしっかりした案内役が必要だなあ。18禁コーナー行く場合とか特に。

38 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:07:15 y9bQZ18e0

>27  メールで伝えてみるか?

ぜひ伝えてほしい。

44 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:08:05 j6xos9x/0

住所氏名載せるなんて無理だろう…  普通に市販されてる本だって、作者の住所氏名のっけてるわけじゃないし

たとえば即売会を代表しての「苦情受付先」のようなものが個々の同人誌に記載されていたら、社会との摩擦並びにストーカー被害のリスクは少なくとも製作者個人がダイレクトに被らなくて済む。その意味で「同人苦情受付窓口」「同人苦情についてのお客様センター窓口」http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100226#1267195563 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100227#1267254927は同人界以外からは要望されている。上記都議の要望はそのように理解すべきだと思われる。

126 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:31:29 Pq2pw6GZ0

カマヤンのブログに書いてあったように衝撃吸収材として消しとレーティング以外の一切の自主規制を行わない同人の組織を作る。 後は何を言われても「親の躾の責任」で返す。 これぐらいは「自主規制はちゃんとやってる。何か言われる筋合いはない」と反撃する武装として必要じゃないか? 表現の自由は絶対の盾だと勘違いしてるとちょいとつまずいただけであっさりぶっ壊れるのは今までの綱渡りでみんな身に染みてるだろうし。

この発言者はけっこう理解してくれている。

132 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:32:53 6EU9eLGY0

>126 即売会には要らないと思うけどなあ。同人書店組合みたいなのがある程度、引き受けるのはあるかも、程度か。

142 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/19(金) 22:35:28 GfZFa2V/0

すまんが、あまり同人に詳しくないもので>14の 「たとえば同人誌などで、あまりにきつい表現があり、ゾーニングを徹底するため、 連絡をとろうとしてもその本には作者名も出版元も連絡先も書いてない」 というのが何を指しているのか、誰か解説してくれないだろうか? 都は同人のゾーニングの指導なんてしないから「連絡をとろうとし」たのは都じゃないよな? じゃあ即売会主催者? サークルの本に不備があるのならその即売会で頒布停止にするだけじゃないのか。 この都議は何を問題にしているの?

カマヤンはあさの克彦都議と面識があるわけでもなく、直接話を伺ったわけでもないので、代弁できる立場にないんだが、都議の言っていることは、つまり以下だと思われる。

議員のところに、「いやらしい同人誌」についての苦情がしょっちゅうくるんです。「同人誌」の人々でその苦情をどうにか処理してください。政治家のところに持ってこられても困るんです。「いやらしい同人誌」についてのクレームの宛先がせめてその「同人誌」に記載されていたら「そこへ文句を言ってください」とかわせるんですが、少なくとも都議会議員のところに持ってこられる「一般都民」からの苦情の「同人誌」にはそれらしい宛先がないんです、政治家に苦情持ち込まれても困るんです、なんかもっと判りやすくクレーム受付できるように「同人誌」な人々のほうで明記してください。

上記これは今私が想像で書いた。以前書いたことを繰り返すと、以下のようになる。

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100227#1267254927
同人は人間の内面のハラワタみたいなものだから、それを理解しない、感性を共有しない人にはどう処理して良いものかわからないグロテスクなものであり、どうにか(精神的に)処理したいと願うものである。よって苦情として議員や行政に持っていかれる。
しかし議員や行政としても対処に困る。業界窓口があれば行政としても「対処しました」という姿勢を取れ、少なくとも「あそこがそういう苦情を処理する民間団体だから、そこへまず苦情を届けてください」と言える。その「苦情を処理する」ところが存在しない。
「苦情を処理する」ところが存在すれば、社会の中で同人業界はより適切な受容のされ方をする。 「窓口」という言葉が仮に適切でないのなら、「緩衝材(バッファー)」が必要である。
以上が(政治・行政の側からの)「要望」である。この「要望」を呑めない、となると、包括的に法律や条令で統制しようという言説に説得力が増す。

で、ちょっと話をここから展開させる。
1 この「緩衝材」「苦情受付先」は、即売会などが引き受けるのが、本当は筋がいい。その意思や能力が即売会にあるかどうかは措いて。
2 この「同人」の側による「緩衝材」「苦情受付先」がないままだと、警察が介入しやすくなる。社会的に要望があり、おそらく警察はそこに天下り先の美味しい匂いを嗅いでいる。警察が裏で「苦情」を言わせている可能性だってある。その「苦情」がそれほど「大問題」なのかどうかは別な議題だが。
3 「緩衝材」「苦情受付先」を「同人誌」の側で設置せず、警察・警察天下り先にそれを代行介入させないとなるなら、各人が苦情受付先として「規定の」連絡先を明記せよ、とかなんかそーゆーアレが出てくる可能性がある。で、この場合、ストーカー被害だのそういうリスクがある。
で、この三つのうち、どれかを選べ、と問われているのが「同人」の現状だと我々は理解するべきだろうと思われる。それが「望ましい」かどうかはともかくとして、都議が「オタク」各位に「要望」しているのは、そういうことだろうと思われる。ひょっとしたら私の理解は全然間違っているかもしれない。「継続審議にしてくださってありがとう」御礼メールを差し上げるついでに、各位議員に質問されると宜しいと思う。
余計な話を付け加えると、1の「苦情受付先」「緩衝材」案は、それほど金はかからない。事務所一室、電話設置、それなりに有能な人間を数人置けばだいたい足りる。最少二人でどうにか廻る。コミケあたりが決断すれば、その後はコミケに参加する同人誌は基本的に奥付にその「苦情受付先」を書いておけば社会との軋轢のかなりの部分がそこで吸収される。以上が最小限規模での青写真。
ところで上記を読んで「すっきりしない」という気持ちがわくことは理解する。これは「即売会が社会的責任を負うのか」「同人作家個々人が社会的責任を負うのか」の二択であり、その二択の前に「そもそも同人が負わなければならない社会的責任とは何なのか」という問いが当然なされ、そこのところにモヤモヤとしたものを感じるだろうことを理解する。そのモヤモヤを一端措いて、責任を負うのは「即売会か」「同人作家個々人か」の二択のどちらが妥当だろうか、という問いとなる。その問い自体には一応の考えを我々は持つべきだろう。ちなみに私自身は自分が描くときは自分が責任を負いたい人です。しかしながらそれが耐えられない人も多いだろうから、同人誌共通の「窓口」を同人誌という「身内」以外に向けて設置するのが一応順当なところではないかな。と思うわけであります。「社会的責任」つーのを解題すると、「不愉快に感じている人」の心情をいかに宥めて無害化するか、ということでありまして、個々がダイレクトに対応するよりは何段階かにクッションがあるほうが少なくとも生命の安全にはなるんじゃないかな。
別な言い方をすると、「即売会は単なる場であり、責任を負わない」という「神話(トリック)」に拠ってきたことのツケをどう払うか、ということでありまして。米澤嘉博さんならそれがトリックであることを自覚していたわけでありますが、そのトリックに自覚なく依存してきた人々、具体的には現在の即売会のケツもちを誰がするか、ということであります。
いい書き込みを拾ったので以下メモする。

955 名前:名無したちの午後 投稿日:2010/03/20(土) 06:37:19 GP205vto0

本来なら同人作家で誰にも連絡して欲しくないなんて人は滅多にない。警察が今オタクに向けてる情熱の半分でもストーカー対策に向けてくれれば、住所ぐらい言われなくても誰だって喜んで書くよ。
昔は個人の住所でやりとりをするのが主流だったのを、"わざわざ"システムを改善しようと躍起になってるのが今。

3年前の記事
3年前の記事 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/05/21/15765.html ← この後、ここで言っていることのうち、どのくらいを実現化したか、あるいは実現化しようとしたか、という問題だと思われる。
 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100321#1269159789へ続く。

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