書庫ができた、長居
1
我が人生にほとんどなんの役にも立たなかった本たちを収めるための書庫が出来た。
書庫に本棚を収める作業をする。本棚が物凄く汚れているので、汚れを落とすのに一日かかる。本の量に対して、本棚の数が全然足りない。11年ほど前に下宿から家へ送っていた本棚の在り処が判り、汚れを取る。11年前の自分の字を見る。今よりも尖っている。
この、書庫を手に入れ、本を収める作業とは、11年前に夢想して、その時はついに夢想なまま終わった作業だ。
土曜は10年前では火がついたように忙しい曜日だった。忙しさとはあくまで煩雑さであり、それでも10年前は20年前より遥かに煩雑さを減らしていたのだが、煩雑さを減らすのに、結局、20年以上かかった。
10年前は、汚れを落とすための対処法を知らなかった。清掃というスキルを覚えたのが10年間の収穫なのかもしれない。
土曜にこのような作業をできるようになったことは、たぶん、幸福なのだろう。この大量の本が、私の人生の役に立っていたらもっと幸福だったのだが、それは贅沢というものなのだろう。
2
昼時前、老母の知人男性が来客。長居して昼食を食べ、さらに長居する。
あまりに長居する人は利口だと判断されないな、とか思う。この人は利口者だという自意識を持ち、老母もそう思っているようだが。
ずっと以前、ロビー活動の時、切り上げるタイミングを失い、やけに長居してしまったことがあったが、適切に切り上げることの上手さはある程度大事だな、とか思う。もっとも、私は人との繋がりや付き合いが淡白すぎるところがあるが。
3
なんか知らんけど、高校時代に告られたことを不意に思い出す。あの時が明るい青春と暗い青春の分水嶺だったのかなあ、とか思う。シャイであることをもっと上手に処理できていれば。昔のことを、とくに「ああ、あれは判断ミスだった」と悔やむ出来事を、えらい実感を伴って不意に思い出すことが、ここ数年ぽっつりぽっつりある。http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100402#1270139749 人生の後半生に入ったということなのかなあ。その、ぽっつりぽっつりと個々に思い出すエピソードは、なぜか順を追って昔に遡行している。塾講師をしていた時、急に、とてもブログで公開できない酷いことをエロ漫画家を始めた頃に自分がしでかしたことを思い出したのが、意識に残る最初だ。自分は酷い人間だ。遡行が高校時代にまで来たようだ。