カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

光市母子殺害事件について、何が語られていなかったか

1

光市母子殺害事件での、語られない重要な情報断片

子供ばかり責められるのはなぜか http://ruhiginoue.exblog.jp/7950145/
少年事件のたびに疑問なのは、どうして被害者と社会一般の多くが、子供を責めて親を責めないのかということだ。〔略〕
 光市事件なんてその最たるものだ。〔略〕
 報道は煽りばかりが目立つため知らない人も多いが、犯人の父親は、妻子への暴力が日常茶飯事だった。団地住まいであるため泣き叫ぶ声などから近所中に知られていた。幼い息子の目の前でその母親を執拗に殴り、怯える息子も見かねて止めに入ると今度は息子をぶちのめしたうえ風呂場へ引きずって行き水の入った浴槽に頭を突っ込み押さえつけるなど壮絶を極めた。母親の前に立ちはだかってかばったために、ぶん殴られて失神したこともあった。
 耐えかねた母親は自殺し、首を吊って脱力し糞尿を垂れ流してぶら下がる母親の無惨な姿を見ながら11歳の息子は泣きじゃくっていた。そのあたりから普段の言動に異常さが表れてきて、近所で「あの子はおかしい」「かわいそうだ」「父親があれでは」というような噂がささやかれていたところ最悪の事態となり、こうなる前になんとかしてやれなかったかと悔やまれていることが地元紙で報じられたことがある。
 こんな状態だから、少年はいつもおどおどしていて、学校ではいじめに遭い、あいかわらず父親の暴力は続き、高校生のときには鼓膜を破られた。最後の暴力は、あの忌まわしい事件を起こしてしまう前々日であった。つまり、逮捕されてやっと父親の虐待から解放されたのだ。
 こんな事情があるのになんで最初から裁判で問題としなかったか。そう疑問に思う人たちから、最初ついた弁護士は責められた。けれども、被告が未成年者であるため親の意向に従わないといけなかった。〔略〕言えば被害者に知られて親の責任ということで損害賠償請求される。それを父親は恐れたというのだからひどい話である。弁護団を途中で離れた今枝弁護士も、前の弁護士がいいかげんだと最初は思っていたが、あとからこの事情を知って怒れなくなったとインタビューで言っていたほどだ。
 後から付いた安田弁護士らも、こんな事情を知って義憤にかられたというなら、そのしょうもない親父を証人として呼び出して厳しく尋問してやるべきだったのに、なぜしなかったのかと批判されている。いまさら遅いが。〔略〕
 犯人を極刑にしたところで、亡くなった犠牲者らは生き返らない。だから、再発防止などの観点から、そもそもこの事件は防げなかったかが問われなければならないはずだ。

この情報を読んで、「ほお」と思った。この情報が今までぜーんぜん語られてこなかったのは、光市母子殺害事件報道における不思議な点だ。

3

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20110821/1313937133原発と政権について書いたものを、今回の事件に即して以下書き直す。

事件の重要な原因を「見せない断片」として、そのことに視聴者読者が決して気づかないよう情報を加工しアナウンスする、これが「呪的闘争」であり「情報操作」というものであり、日本大衆を常に呪い縛り続ける「呪術戦」である。
「少年犯罪報道」は(なぜか)常に加工されている(加工の手際の良さは悔しさを覚えるほどだ)。加工の際、「事件の再発を防ぐ」検討材料・情報断片は、あらかじめ欠落される。
事件の発生原因のうち最も重要な情報断片を欠落させた「少年犯罪報道」は一種のポルノであり、視聴者の暗い欲望を煽るタイプのエンターテーメントだ。それが「報道」の顔をして情報流通し、その煽りにより我々に特定の感情を抱かせようとする。
日本人が過去の事を忘れやすい、とされるのは、情報操作者が短期的目的のためにあまりにたやすくこの欠落情報洪水を起こすが故に、事件から教訓が導けないからだ。事件が常に安いポルノエンターテーメントして加工され消費されるからだ。
日本人が合理的ではない、とされるのは、土台となる情報、共通の認識とする情報が、常に欠落情報だからだ。その話題について語る際、合理的な結論を導きにくくなるからだ。加工されたポルノエンターテーメントが「報道」と呼称され流通されることにより、そのストーリーが読者の「憤怒感情」を喚起し、そのストーリーを批評する際、話者相互に強い偏見が喚起され、冷静な対話が困難になる仕組みとなっているからだ。
「少年犯罪報道」では、他の場合(他の情報操作・情報加工)以上に、情報操作者の手際が手馴れている。情報操作者の中のエース級が担当しているのかもしれない。情報操作者はどういう人なんだろう。そんなに死刑制度を存続させたかったのか、というのが逆に透けて見える。ように思う。
新聞テレビの報道部と社会部が怠惰で臆病な馬鹿揃いという考え方もできるけどね。
[02/22 01:26 追記]

https://twitter.com/#!/Morimicha/status/171978469947871234
茉莉蜜茶 @Morimicha これを読んで、2005年に東京板橋で起きた管理人夫婦殺害事件もそうだと思った。

板橋区・管理人夫婦殺害事件http://yabusaka.moo.jp/kanrinin.htm
  光市母子殺人事件の件、以下へ続く http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20120221/1329840773

感じるところのある同志は  ブログランキング・にほんブログ村へ   をクリックされたし