カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

田舎の生活とか、政治関係とか、表現規制のこととか

矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』への感触

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先の記述http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20150106/1420558763冒頭に以下を最初書いておいたけど、先の記述から削除し、こっちに移す。

筆者は「戦後再発見双書」の企画編集責任者で孫崎享を売り出した人で、鳩山友紀夫(由紀夫から改名したそうだ)との対談http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141215-00040591-playboyz-polとかしているから、なんちゅうかね、山本七平『空気の研究』的いかがわしさを俺は感じる。山本七平『空気の研究』をいかがわしいと感じないエリートさんはぎょうさんいらっしゃって日本の知性に深刻なダメージを与えていると俺は思うんだが、いやいやまてまて、こういう情緒的感想は末尾に書くつもりだったのだが、どうしても抑えられなかった。

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矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』に書かれている内容について、さらに簡略化して以下示す。
1;本来の近代国家は、
憲法最強→国内法も権力者も全て憲法に制約され、国際条約も原則的には憲法に制約される。近代国際社会では各国家は理念的には対等であり相互の憲法を最大限尊重することになっている。
2;だが実際の日本は
日米安保」最強→日本国憲法を頂点とする日本国内法は全て「日米安保」に従属している。
よって高級官僚は憲法に忠誠を示さず、「日米安保」に忠誠を示している。
日本の最高権力者は「日米合同委員会」並びにそのOB(ふつう官僚制度の頂点である事務次官になる)である。
なので「日米安保」補完政党である自民党は政権党で、「日米安保」に異議を唱えた鳩山政権は退陣を迫られた。
3;原発も日米間の「日米原子力協定」により、憲法による制約より上位にある。よって日本の政権は原発を止められないか止めない。
原子力村」は「安保村」の内部にあり、「安保村」を小さく見えやすくしたものだ。
4;「日米安保」が日本国憲法に優先するのは、日本国憲法の成り立ち自体に原因がある。
昭和天皇を戦犯としないために日本国憲法は作られた。
その時書かれた憲法9条2項は当時の国連についての理想主義に依存し、その後国連憲章変質とマッカーサー大統領選敗北により理想主義の基盤を失った。
理想主義に代わり、日本国防衛のため、昭和天皇がアメリカに米軍駐留継続を求め、沖縄米軍駐留が現在まで続いた。
5;日米安保憲法に優先する現況を打開するするには、憲法9条2項をフィリピン憲法のように「外国軍の駐留を許さない」と憲法に記述する形での改憲が必要であり、最も良い解答だ。

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以下感想。
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』は「よくできた物語」だと思う。
現代史関係は俺もそれなりに史学部大学3年生相当程度には教わり調べたことがあるが、そこで知った事柄から鑑みて、大きな間違いは見つからない。
矢部宏治が示した改憲論は順当な内容だと思う。
俺が高校生の頃読んだら熱烈なファンになったかもしれない。

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だが、文体に「誠実さ」を感じない。山本七平的いかがわしさを覚える。
これは俺の深読みのし過ぎかも知れない。俺はオルタナ掲示板常連さんの文章も過度に深読みして警戒した人間だから。

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文体上気になるのは「絶対」という言葉の多用。中学受験国語では「絶対」という言葉の出てきた選択肢は絶対に間違っているという解答法がある。「絶対」という言葉は鬼面人を驚かせるための、ふわふわした言葉であり、誠実な人間は使わない。
文体上記になるのは「驚いた」という言葉の多用。平均以上の脳味噌のある人間ならこの本に書かれていて筆者がいちいち「驚いた」ことはたいがい薄々理解し感じていたことだ。「驚いた」という言葉を多用するのは、過度に筆者に沿うのなら筆者がべらぼうにお坊ちゃまな環境にその年齢までお育ちくださいまして、これら社会の矛盾にお気づき遊ばされまして、驚き召されたことを、我ら下々庶民も共感するものでございまして。死ね。
筆者に共感しないで突き放して「驚いた」の多用を読み解くと、「驚け」というブックマークであり、教科書太字ほど受験的に重要じゃないけど、受験出題率80%程じゃないけど、記述問題の時に出題率30%くらいだから生徒諸君は記憶にとどめておいた方が良いよ的な、オタクが自虐込みで使用している「萌豚」という呼称と同じ意味で現代史無知豚で法学無知豚な庶民豚はこれを読んで驚いてください的な、参考書の黄色マーカー印刷部分出るよこれは的な。死ね。

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他に気になった点としては、鳩山由紀夫は「安保村」により潰された、だから短命政権だった。野田佳彦は「安保村」に気に入られた、だからそれなりに長期政権だった、という記述。
菅直人政権への評価を避けているのはなぜですか? なぜ菅直人政権への言及がないんですか? 不自然に感じて、そのことが気持ち悪いんですが。
鳩山由紀夫に接触して、菅直人との対談をしていないのはなぜですか? これからひょっとしたら接触対談するかもしれませんが。鳩山由紀夫って誰よりも近衛文麿に似ていると俺は思うのもあって、鳩山由紀夫に媚びる奴って、リベラルを称していても俺は信用できないんですが。
民主党政権への言及はあるのに、自民党政権への言及がないのはなぜですか? たとえば麻生太郎安倍晋三への言及がないのはなぜですか? そのことが気持ち悪いんですが。

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昭和天皇側近について、実名を出した側近に関する点は事実に即しているけど、昭和天皇側近グループって、終戦工作時から日米合作での世論工作世論誘導をしていた連中が含まれるんだが、その世論工作系の人々への言及がなくて、昭和天皇側近グループについてはふわっと称賛しているその感覚が俺には共感が全くできないんですが。
この本の執筆は、彼らと似た位置からの発言なのですね?

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筆者の立ち位置は、安倍政権発足以前の、頭のいい自民党改憲派の位置だと思う。自自公政権時の小沢のブレーン的な。田中角栄の系譜の自民党保守本流的な。加藤紘一のブレーン的な。
この本は矢部宏治が実際に書いたというより、複数の覆面作家が書いたと想像する。その覆面作家の重要な一人は小林節ではないかと想像する。
小林節なら、この本の大筋を書いて不思議じゃない。小林節が自分の来し方を反省しつつこの内容で記述していたら、それはそれで迫力があったろう。だが俺の想像ではわざわざ覆面作家として別の人を立ててこの本を書いた、書かせたのではないかと思う。仮にこの想像が当たっていたら、気色の悪い話で、日本の大衆を随分と虚仮にした話だ。俺の想像は間違っているかもしれないけど。
この本全体に感じる「いかがわしさ」はそういうものだ。

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そういう「いかがわしさ」を感じるので、法学専門家と現代史専門家にはこの本をねちっこく批判してほしいと俺は思う。
内容の大筋はそれなりに順当だと思う。

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この本が主張する内容に政治思想的に一番親和的なのは、政党的には民主党だ。
筆者は鳩山由紀夫へはそれなりにラブコールがあっても非鳩山由紀夫的な民主党を嫌っているようだが。そこのとこの人選感覚が俺とはずいぶん違う。
この本が主張する形での憲法改正がもしあり得るとしたら、民主党が国会議席の三分の二を得て、矢部宏治が唱えるところが日本人の過半数の共通認識に近くなることが必要だと思うが、それ程の熱量がこの本にあるかどうか。
〔追記〕
以上書いてから気づいたが、もっとこの本の主張に親和的な政治勢力がある。自民党石破茂だ。

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