歴史教育
鶴見 〔十五年戦争で〕自分たち〔日本軍・日本政府〕がやったことは全部よかったんだという教科書で訓練された商社マンが、韓国、香港、シンガポールに行って通用しやしないですよ。〔略〕
シンガポール虐殺〔原注〕は、戦闘が終わり、かなりたって、平和の中で、華僑に対する猜疑心から行ったことですからね。すさまじいことです。そういうことを歴史の上でちゃんと明らかにしていかなきゃいけない。(52-53p)
〔原注〕シンガポール虐殺 一九四二年二月、日本軍はイギリスのアジア進出拠点であったシンガポールを占領、同地を「昭南市」と改名。その後、抗日機運の残っていた華僑〈工作〉に乗り出した。当時約八十万人といわれた華僑のうち、四分の一にあたる二十万人の成人(十八〜五十歳)の男子全員を市内五ヶ所に集め、「反日」と認定した人をトラックで海岸に運び射殺した。戦後のイギリス側戦犯裁判では「五千人から六千人」が虐殺されたとある。だが、地元の遺族会では犠牲者は「四万人」という。
- 作者: 網野善彦,鶴見俊輔
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/05/11
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