カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「支持団体」がない業界は搾取され続ける

以下メモする。

http://d.hatena.ne.jp/sivad/20070129#p1
ですが実は、日本の技術者や研究者の社会的立場がいつまでたっても弱く、「搾取」され続ける理由は明白なんです。

支持団体がないから

これですよ。もちろん瑣末な理由はいくらでも出して来れますが、社会的に観るならば間違いなくコレです。
例えば米国。かの国には世界最大・最強の理系支持団体、"AAAS (American Association for the Advancement of Science)"があります。262の支部と1000万人の加入者を誇るこのNPOは世界最高峰の科学雑誌「Science」の発行元として有名ですが、ホームページを読めばその活動はまさに「アメリカ理系力」の土台となる極めて重要なものであることが分かります。
* 科学・技術の公共理解促進
* 科学・技術教育の充実
* 科学・技術の応用促進
* 科学・技術従事者とそのインフラへの支援
* 科学・技術を促進する企業への支援
* 科学・技術従事者の権利保護
* 科学・技術政策へのロビイング
などなど。AAASは学部生の時点で加入でき、企業や政府機関でのインターンやミーティングを通じて科学分野間はもちろん、政、官、産、学に渡って人脈と見識を築く手助けをしてくれます。もちろん、奨学金やキャリアサポートも充実しています。
また、AAASは広くサイエンスやテクノロジーに従事する者の団体ですが、米国ではそれ以外にも各職業別にも支持団体が成立しています。
* UCS (Union of Concerned Scientists) (憂慮する科学者同盟
* National Postdoc Association (ポスドク連合)
* NAGPS(the National Association of Graduate-Professional Students) (院生連盟)
* Research America (研究者連合)
* IEEE USA (Institute of Electrical and Electronics Engineers) (エンジニア連合)
どれも現場から活発にロビイングや社会活動を行っており、日本のなんたら会議のような死に体の組織とはわけが違います。シリコンバレーベンチャーの下には実はこういう巨大で堅固な基盤があるのです。小手先の意識改革などではとても太刀打ちできないことがよ〜く分かりますね。技術者の待遇がいいのも、起業家が「バカ力」を発揮できるのも、こういった「リアルな後援者」がいるからこそなのです。いくら心頭滅却しても、火に飛び込めば大火傷します。必要なのはお経ではなく、実用的な耐熱スーツなのです。競争が激しいのはその通りでしょうが、その分互助システムも発達している。その辺を見落とすと日本も理系も悲惨なことになりますよ、諸先輩方。

マンガとかオタクの世界も同じ。
プロ市民」なんて揶揄している人は、自分の権利を捨てることに熱中しているバカである。と思う。
とはいえ、欧米文化のこういう組織はギルドという伝統に乗っていると思われるので、近代化の課程で民間の組織が解体させられた日本でどうそれを再構成すべきかはやたらと重たい課題である。少なくとも、真面目にこういう組織を作ろうと日本ですると、権力が陰湿に潰しにかかる。たとえば電通などを使って。

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