島泰三『はだかの起源』『サルの社会とヒトの社会』
島泰三は名文家だ。『はだかの起源』は、人類がいつなぜ毛皮を捨てたかについての考察。アクア説への反論がリアルで面白い。…とはいえ、「いつなぜ毛皮を捨てたのか」の結論、若干読み取りにくい。リンクを見たら誤読している人も見かけた。筆者の下した結論は後期旧石器時代(20万年前以降、5万年前以前?)になってから、火・家といったものを作ってから、環境に不適な「毛皮のない」人類が生き延びることが可能になった、というもの。筆者の結論ではネアンデルタール人は毛皮に覆われ、言葉を持たなかった。「毛皮のない」突然変異と「声を出す」突然変異はともに環境に不適だが、重複する偶然により不適者の生存が可能になった、と筆者は結論している。
『サルの社会とヒトの社会』は同族殺しの観察と考察。サルの「子殺し」は人間がサル社会に介入することで発生する。では人間の社会の「子殺し」は? この本は日本の霊長類研究史にもなっている。「『テキストブック〔教科書〕・オブ・ニホンザル』はまだか?」が島泰三の抱える課題。それに習うなら、「『テキストブック・オブ・表現規制』はまだか?」
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