カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

「省略」の技術

私は一応マンガ家としての訓練を積んだ。で、「省略の技術」というのを随分体に染み込ませた。ふと思い出すことがあったので、それについて書く。
マンガは読ませる際、いかに読者へムダなストレスを与えないか、が大事だ。冗長はストレスだ。冗長は悪だ。
昔、エロマンガを初めて投稿した時、「ページ数の割に内容が乏しい、薄い」と、名物編集長斎藤礼子さんに評された。斎藤礼子さんとは縁が薄く、その後飲み会で一度お会いしただけだったが、少ないページ数にいかに多い内容を入れるか、を、以後私は指針とした。結果、盛り込みすぎな、「濃い」タイプのマンガ家になったが、ギチギチに内容を詰め込むことは、それはそれで技術だ。
「省略」の技術は、私は小池一夫劇画村塾のテキストで学習した。http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050422#1114119222 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20070901#1188599582 なんちゅうかねえ、「どう言うか」についてばかり学習と訓練を積み、「何を言うか」についての学習と訓練が乏しい結果になってしまったのは、自業自得なんだが、残念なことだねえ。
「省略」の基本はこうだ。
書かなくても読者が想像できることは削る。
それを書かないと話が通じない、ということ以外は勇気を持って削る。書いた物を「書く必要があるかないか」確認し、必要がないと判断したらザクザク削る。
時系列で描く必要はない。時系列・構成を変えればもっと短いページ数・字数で伝えられる時は、時系列・構成を変える。
言葉の繰り返しは徹底して避ける。言葉の重複・内容の重複は、ザクザク削る。

たぶんこれと同様の訓練は、映画、シナリオ、テレビ、ラジオなど、特に時間の尺、ページの規定がシビアな職種では積んでいるのだろうと思う。
そういった業界を志している人とか、「読ませる」文章力を高めたい人とかは、上記の原則を心がけてみると良いんじゃないかな、と思う。
私はマンガを描くとき、規定のページ数の倍くらいの話を先に書いて、それをギチギチに省略して、ページ内に収める、ということをしていた。それはそれで少しやりすぎだっただろうが、他人にものを伝えることを訓練したい、と思う人は、何回か試してみても良いんじゃないかな。

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画像は http://piapro.jp/content/zxq4ve4yw0xxc93n から。