カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

河野美代子の「性教育」関係

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河野美代子ダイアリーから以下メモする。

http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-7a4b.html
少し昔を振り返ってみようかと思います。〔略〕
 診療を続けるうちに女子高校生が次々と来るようになりました。口コミでしょう。大学病院にはそんなに若い人は来ませんでしたから、本当にびっくりしました。市中の産婦人科にこんなに若い人が来るなんて知らなかったのです。
 特に、当時ある一つの高校の生徒がとても多く来るようになったのです。そこは、当時広島でも性教育に取り組んでいて、画期的な高校とされていました。そこの生徒が次々と妊娠してくるようになったのです。
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-6de5.html
 同じ高校の、それも同じクラスの生徒が4人も次々と妊娠してきた原因は、授業にありました。保健の先生が「生理が終わって一週間は安全日で妊娠はしない」と教えたというのです。びっくりです。月経が終わってすぐに妊娠可能な時期になるし、それに終わって一週間、始まりから二週間、それはまさに排卵日そのものです。もっとも妊娠しやすい時期になります。
 罪なものです。間違って教えて、しかもそれを生徒がすぐに信じて実行してしまうという、本当に現実の社会を見せ付けられました。こんなことは、机上の考えでは、思いもつかないことでしょう。〔略〕
 ちょうどその頃、医師会館で性教育の大会が開かれたのです。当時の性教育は、産婦人科医でも結構お年寄りの先生方がしていらっしゃいました。その先生達が中心となっての「性非行と〇〇」というタイトルでの会でした。会場は超満員。学校関係者やPTAの保護者の方たちも沢山いらっしていたようです。
 大会の内容はとても私が見ている現実とは異なりますし、違和感を強く持ちました。その会で、私はついひどい問題発言をしました。そのために沢山のえらい先生からしかられ、大変でした。でも、それが私の性教育の講演、本の出版へとつながっていきます。
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-e2cb.html
 会場からの質問や意見が求められたとき、私は手を上げました。そして名乗った上で
「私は、今多くの高校生を診ています。でも、私は彼女達を非行少女とは思っていません。普通の家庭の普通の少女達だと思っています。どこかの家庭的に問題のある子の問題と思うのでなく、どこにでもいる若者の問題だと思ってこれからの教育を考えなければならないのではないでしょうか。」
「その上で質問なのですが。私の病院に今、高校生が入院しています。もうすぐ夏休みが終わって二月期が始まります。学校を休むために診断書を出さなければなりません。その診断書がもし性交と関係があるということが学校に分かった場合。今、学校は、どんな対応をされるのでしょうか。これからの彼女をケアし、指導しながら支えてくださるのか。それとも、高校生にあるまじきこととして退学させられるのでしょうか。それに寄って、診断書の内容を考慮しなければなりません。どなたか、学校関係者の方、教えて下さい。」
 司会のドクターの呼びかけで、会場から女性がマイクのところに出てこられました。そして、「そんなことを聞くなんて、どうしたらいいのか、カウンセリングをして上げましょう。」と言われたのです。私は唖然としました。司会の先生が
「カウンセリングって、それはその生徒にするということですか?それとも、河野先生にカウンセリングをと言うことですか?」と尋て下さいました。そしたら、私にだと彼女が答え、会場もざわざわとしました。
 その先生は、性教育が盛んに行われているとして、その日のシンポジウムにもそこの教師が出ていたし、そして同じクラスの生徒が4人妊娠して来ていた、その学校の教師だったのです。私はまたマイクの前に進み出ました。そして、つい、言いました。
「私は、ただ知りたいだけなのです。学校を責めているわけではありません。本当に、今の高校の状況が知りたい、それに寄ってどう彼女を守るか、考えたいのです。こういう質問をする私に問題があるというのでしたら、それなら、申し上げます。お宅の学校の生徒も沢山来ていますよ。」
 会場がワッと湧きました。壇上のシンポジストのその学校の先生も苦笑いをしていました。その反応を見て、すぐに私はしまった!と思いました。そして、ごめんなさい、失言でした。と誤りました。私にカウンセリングをしてあげるといったその女性の教師から、さらにひどい罵詈雑言をあびせられましたが、内容はよく覚えていません。
 でも、私のその発言でそれまでのシンポジウムがぶち壊しになったのは確かです。だって、それまでの内容は、女子少年院の方のレポートや、産婦人科医の先生も「髪を茶色に染めた子が来た」とか、学校の先生からも、いかに性交をさせまいか、それだけの内容の教育、いわゆる純潔教育の域を出るものではなかったし。
 本当はぶち壊したのではなく、その場に参加していた多くの学校の先生や保護者の方たちに「現実を突きつけることが出来た」のだと思うのですが。
 さあ、それから大変でした。叱られましたね。「あなたは、言ってはならないことを言った」と。〔略〕
 その女教師の学校のシンポジストで出ておられた先生は、「やってくれました。彼女は問題があるのです。何かしでかすのではないかと心配していました。」と嘆かれたという話しも伝わってきました。
 福山の松永先生という産婦人科医の大先輩の先生からは、「頑張れ!」という電話がかかって来ました。しばらくの間、私の周りはそれは大変でした。

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誤った内容の性教育を実施した学校は非難されてしかるべきだと思うんだが、それは問題とされず、河野美代子さんの当時の発言が「失言」とされた理由が私にはよく判らない。「それまでのシンポジウムがぶち壊し」というのもよく判らない。「空気を壊した」ということなんだろうか。現実を直視しない、という暗黙のルールで進行していたシンポジウムに現実を突きつけたことが「失言」と見なされたんだろうか。誤った性教育を実施した学校が、非難されないのも理由が判らない。
河野美代子さんが切り拓いてきた道は、こういう、演劇的お約束世界に「現実的問題」を直面させることで、その成果の上に私たちの今があると思う。
これを読んで、都条例や児童ポルノ法関連で、「実際に被害にあった児童の救済」に(規制派が)全然関心を寄せず、ひたすらマンガ規制アニメ規制の話ばかり進んでいることを連想した。

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