カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

民主党はなぜ宣伝広報に不熱心なのか

1

都条例記事の載った『週刊朝日』2010年12月24日号で知ったのだが、先の国会で放送法改正案が可決したそうだ。日本では同じ地域の新聞社・テレビ局・ラジオ局を一つの資本系列で支配するクロスオーナーシップ体制になっていてhttp://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060327/1143396645、これは世界で例外的であり不健康だから規制しようという議論が国会で続いていたが、結局法律には盛り込まれなかった。民主党は新聞・テレビの改革に敗北した、と言える。
原口一博総務大臣を続投していたら、違う結果になっただろうに。

2

この放送法改定は周期が決まっていて、かつて自民党政権末期に異様に政権寄りな報道が目立った頃、いったいどういうことだ、この放送法改定を脅しの材料として報道が捻じ曲げられているんじゃないのか? という疑問を当時私は持っていた。
改正放送法クロスオーナーシップ規制をしなかったということは、新聞・テレビは改革をしないということを意味するのだろう。新聞・テレビが国民の味方ではなくなって久しいが、今後、より国民から乖離した存在に転落していくのだろうと思う。国民から乖離し国民と利害が一致せずとも、まだしばらくの間は影響力は持続する。

3

民主党はなぜ宣伝広報に不熱心なのか。私にはこれが長年の謎だ。「我々の説明の努力が足りないのは反省すべきですが」と毎回民主党執行部は言っているが、広報に努力している気配がない。
外から見ると、たとえば新聞・テレビは、原則的には民主党の敵だと前提しておく方がいいと思われる。政策を決して報道しようとせず、無意味に政局を煽ることしか新聞テレビはしない。『朝まで生テレビ』でのツイッターでの集計では国民のうち小沢一郎関係の政局に「関心がない」と答えた層が7割近くいた。国民は小沢一郎関係の政局に関心がないのだ。にも拘らず、新聞テレビは小沢一郎関連政局しか頑として報道しようとしない。

4

民主党がもしも宣伝広報に熱心であるのなら、インターネットを用いて国民へダイレクトに政策を訴える、という作業を10年前からやっていて当然だったと思う。そういうことを基本的にはしていない。政党の中でインターネットに最も関心が薄い政党の一つが民主党だ。
今はどうなのか知らないが、10年位前の時点で民主党の広報は労組系が担当していた。そのメディア感覚は化石的というかお話にならないものだったが、そういうところに民主党は広報を委ねていた。

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民主党菅直人周辺は政策マニアな性格を持つ。
この政策マニアな人々は、どうも、「正しいことをしていれば、いずれ国民に評価してもらえるはず」と思い込んでいるように思われる。私には信じがたい感覚なのだが、そう思い込んでいると前提すると、ある程度行動が理解できる。
政策マニアな人々は、民主党議員の中でも、割合にマスコミから好意的に取り上げられることが多かった。だから新聞テレビが原則的に民主党の敵なのだ、という意識を欠いているように思われる。比較的にメディアから好意的に扱われてきたので、メディア対策の必要性を感じないで済んできた人々が多いと思われる。もしも自分の意見や存在が完無視された経験を痛いほど味わい、かつ表現する能力を持っていたら、広報宣伝の必要性というのを感じるだろう。
メディア対策に無策であるから、マスコミが自身の思惑を持って報道洪水を始めると、民主党は全く対応ができない。

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一部マスコミで強く小沢一郎贔屓の言説が流通しているのは、小沢一郎はマスコミ内に小沢一郎支持者を植えつけているからだ。このマスコミ内支持者は小沢一郎自民党幹事長時代に作っておいたのが種になっているようだ。
小泉純一郎への批判がマスコミに全く存在しなかったのは、飯島秘書が強力にマスコミを統制していたからだ。たぶん。アメリカからの強力な締め付けもあっただろう。読売新聞はアメリカの情報機関の持ち物だから。*1
自民党小泉純一郎政権後期から安倍晋三政権にかけて、「チーム世耕」を作って宣伝戦を国内に対して行なっていた。2chは当時「チーム世耕」関連の疑いのあるプロパガンダに溢れ、他の利用者から呆れられていた。インターネット内「チーム世耕」的な書き込みは自民党の秘書が大量に書いていたとも言われている。死ぬほど頭の悪いネトウヨ的コピペはスクリプトで書き込まれていたんじゃないかと私は疑う。
民主党小泉政権時代も全然メディア対策をしておらず、市井の民主党ファンが「チーム世耕」的なものに対抗していた。このあたりの事情は、表現規制反対運動で出版社がほとんど動かず読者ボランティアが死ぬほど頑張ってきたのと並行的な関係にある。

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昨年年末から今年初頭にかけて菅直人がテレビやネットに出演し発言するようになったのは、既存マスコミが民主党の味方ではないらしいとやっと気づいたためなようだ。http://www.technorch.com/archives/1938887.html
遅えよ、とは思うんだが、政策に関する情報流通が少しは増え、少しは日本が好転するだろうか。
菅直人政権は、政治力学を調整しようとして調整能力がないから大コケにこけているが、それでも表現規制反対の観点で見ると、将来枝野幸男政権ができる場合を除けば、おそらくこれ以上望めない程度には表現規制反対に好意的な政権だ。意味不明な人事もたくさんあるけれど。色々手遅れになっているような気もするが、良い仕事を残して欲しいと思う。

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画像は http://piapro.jp/t/A5P9 から。

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