カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

大江志乃夫『靖国神社』

大江志乃夫『靖国神社岩波新書

靖国神社 (岩波新書)

靖国神社 (岩波新書)

1

日本では、古くから戦場での死者を敵味方問わずにともに祭る習慣があった。〔略〕
靖国神社のように〕敗戦した敵の戦死者の霊を捨ててかえりみず、戦勝の栄光に包まれた勝利者である味方の戦死者のみを祭るという考え方こそ、大変特異な異例の思想であるといわねばならない。(120-121p)

2

ある遺族の嘆き
〔略〕そしたら家の息子らがいうのにゃ、「〔略〕〔靖国で祀られている〕戦死者(の遺族の背後に)は偉い人があって、みんなで盛り上げでんだから、ああして年百万も貰えるけども、(戦災死者の遺族には)そうして骨折る人がねえがら貰えねえで、線香代も貰えねえんだがら仕方がないんだよ」〔略〕涙が出ましたよ。(3p)

おなじアメリカ軍の砲弾にあたって死んだのに、軍服を着ていた者は名誉の戦死とされ、その遺族には政府から年金が支給され、戦死者の遺族は遺族会を結成して慰霊祭をおこなっている。おばあさんの不満は、食糧増産の「戦士」としておだてられて一所懸命に働いてきた〔農作業中にアメリカ軍の艦砲射撃により殺害された〕農民の遺族は、慰霊祭への参加さえも拒否されたということにあった。〔略〕遺族会の会員は政府から会費以上の年金を支給されており、自分たち〔非軍属の「戦死」者遺族〕は線香代ももらっていない〔略〕。
〔略〕おなじ砲弾の犠牲者でありながら、なぜ死者の身分によって差別されなければならないのか。〔略〕〔靖国神社は〕戦争による犠牲者にたいしてさえも差別を作り出した。(4-5p)

靖国神社とは死者を差別する装置である。そして利権の温床である。

3

靖国遺族年金&軍恩給付金は、終戦から62年たった現在も年間一兆円支払われている。財源は税金である。
日本の税収は約30兆円だから、全税収の3%はいまだに靖国関係に支払われているわけである。
日本の国家予算は約80兆円だから、国家予算の1.25%をいまだに靖国関係は啜っているわけである。
日本のGDP国内総生産)は約540兆円だから、GDPの約0.19%は終戦から62年たった今でも靖国関係に支払われている。
ネット右翼」の何割かは、この、靖国遺族年金&軍恩給付金で働かなくても食っていられる連中であると推定できる。こいつらこそ本物の国賊

4

愛国心教育」とは、これら利権を粉飾し、正当な異議と思考を阻害するための装置である。
[03:18]
トラカレさんによる、《現行教育基本法と「教育基本法改正案」の比較》
http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/education.html
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20060414
トラカレさんは、日本の知識人60人くらい及び大手新聞社が本来果たさないとならない義務を一人で果たしていらっしゃる。

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